【11/12】大阪・應典院で、上方の葬儀とお墓の歴史を辿るシンポジウム開催

「葬式をしない寺」で有名な大阪のお寺・應典院にて、京都・大阪を中心とした「上方」と呼ばれる地域の葬送儀礼やお墓についての歴史を辿るシンポジウムが開催されます。

現在、少子高齢化や家族構造の変化などにより、家族葬や直葬などの葬儀の形態も変化し、また継承者を必要としない永代供養墓やお墓を作らずに散骨や樹木葬等を行うなど、埋葬やお墓のあり方も大きく変容してきています。

そのような変化の過渡期にある現代において、葬儀やお墓のあり方を探る中で、これまでの儀礼や埋葬方法などがどのように定着してきたかを見ていくことは、とても意義あることです。しかしこれらのあり方は、地域の歴史などによって違いがあるものであり、全国を押し並べて論じることはできないものでもあります。特に上方と呼ばれる地域は歴史的にも古く、江戸中期には葬具の専門業者である「龕師(かんし)」が上方で誕生するなど、現在見られるような葬送儀礼やお墓の形を先取りしているようなところがあるのだとか。

そこで、近現代の上方の葬送墓制をあらためて見つめ直すことにより、葬送墓制研究にとっても、変わりゆく現代社会にとっても、大きな示唆を与えてくれるのではないかを考えるのが、このシンポジウムのねらいとなっています。

このシンポジウムの中心となるのは、「現代日本における死者儀礼のゆくえ-生者と死者の共同性の構築をめざして」という研究の代表を務められる国立歴史民俗博物館の山田慎也准教授。そして前近代から近代の転換については歴史学者の奈良大学准教授・木下光生さん、近代の墓制を中心に造園学の京都女子大学名誉教授・槇村久子さん、現代については「大阪七墓巡り」の復活を果たした観光家の陸奥賢さんが登壇され、報告が行われます。

「大阪七墓巡り」については、以前彼岸寺でも取り上げましたが、江戸時代・大阪町衆の間で行われていた、毎年盆に市中郊外の7ヶ所の墓所を巡り、有縁無縁を問わず「同じ大阪に住んでいた町衆、先人ではないか」とお参りをするという風習です。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)このような一種独特の風習があった上方の地において、一体お葬式というものはどのような形で行われ、どのような意味があったのか、人々の生活の中でお墓はどのようなものとしてあったのか。このシンポジウムを通してそのようなことを見つめ直す中で、現代の葬送儀礼やお墓の変化についても、見えてくることがあるのかもしれません。

「葬式をしない寺」で語られる、上方の葬儀とお墓の歴史。とても興味深いシンポジウムとなりそうですので、ご興味のある方はぜひご参加くださいませ。

 

■シンポジウム「上方で考える葬儀と墓:近現代を中心に」

日 時 2017年11月12日(日)13:30~17:00
会 場 浄土宗應典院(大阪府大阪市天王寺区下寺町1-1-27)
主 催 科学研究費基盤研究(B)「現代日本における死者儀礼のゆくえ-生者と死者の共同性の構築をめざして」
(研究代表 山田慎也(国立歴史民俗博物館))
料 金 無料(申込不要)
その他 特別協力 浄土宗應典院
詳細:http://www.outenin.com/article/article-9540/

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