先日「今年も花まつり!お釈迦さまも辛いカレーを食べていた!?」の記事をお書きいただいた、柳衛さんから新たなるお釈迦さまとカレーの関係についての情報をいただきました。
先日、こちらで投稿したカレーの歴史についての続報です。
お釈迦さまが食べたかもしれないカレーの味についてご相談した桂紹隆先生より、一通のメールが入りました。先生の教え子であり、情報提供者である日本学術振興会特別研究員(RPD)の井上綾瀬先生にこの彼岸寺の記事をお伝えしたところ「この表現だと誤解を招く可能性がある」とのコメントを頂いたということでした。
ゴゴゴゴゴゴゴ……
……やっちまった……
井上先生によれば、勿論南米大陸発見前なので唐辛子は使われておらず、「辛いカレー」とはいっても、それは唐辛子の辛さというよりは「胡椒辛い」と表現すべき辛さだということです。
思わず「そう…一味…違うのね」と呟きながら、井上先生の連絡先を調べてお詫び申し上げたことでした。なお、学術論文を検索できる国立情報学研究所のデータベースCiNii(https://ci.nii.ac.jp/)で検索したところ、『律蔵』に記載された薬品や砂糖、塩についてなど、大変興味深いご研究をされてました。スパイスについても、今後ご研究をまとめて学会にて発表される予定とのこと。大変楽しみです!
なお、井上先生の龍谷大学での講義の記録はこちらのURLに載っております。
あの「悪魔の糞」を仏弟子たちは知っていた!!!
さて、上記のデータベースから井上先生のお名前で検索をすると、「樹脂の薬」という聞きなれないテーマの論文が出てまいります。それを拝読していると、「ヒング」という薬が出てきました。編集部の日下さんと確認すると、「これって……」「ひょっとして……」と、思わず背景に「ドドドドドドドドド……」あるいは「ざわ……ざわ……」とオノマトペが出てくるような雰囲気に。
そこで慌てて井上先生に確認すると「そうです、『ザ!鉄腕ダッシュ!』で『悪魔の糞』として紹介されていたアレです」とのお返事!井上先生の論文によりますと、その「ヒング」は、薬として用いられるものであり、所有をしないことが大原則の出家者にも、所持と使用が認められていたものの一つとして『律蔵』に出てくるのだとか。
おお、まさか『ザ!鉄腕ダッシュ!』に登場した謎のスパイスが、実は仏典にも記述があるとは!!感激!!!番組スタッフの方、御覧になってますかー!!?
また、インドでヨーガの修行をした経験のある別の方から、アシュラム(僧院)では香辛料は修行の妨げになるから、提供するカレーには工夫がされていたという情報も戴きました。
一口に「辛いカレー」といっても、その奥深さに思わず呻った一件でした。いつか、「お釈迦さまが食べたかもしれないカレーの再現イベント」などがあっても面白いかもしれませんね! スパイス関係の企業の方、コミットお待ちしております。