銅像。それは人間が「偉人」として扱われる一つの指標と言っても過言ではありません。高知の坂本龍馬像、上野公園の西郷隆盛像、北海道のトーマス博士像など、偉人とされる人たちの多くは像としてその姿を今に残し、日本全国各地にはいろんな偉人たちの銅像が見られます。
そんな銅像界隈でも最もポピュラーなのは二宮尊徳(二宮金次郎)像でしょう。今では「歩きスマホを助長する!?」などの理由で撤去されることもあるそうですが、学校などで、薪を背負いながらも本を読んで学んでいた二宮尊徳の姿を見たことがある方も多いはずです。
そんな偉人の像でも、二宮尊徳に勝るとも劣らず数多く見られるのが、空海聖人や日蓮聖人の像。これまでこの三人の像がどれも1000体を超える数があり、一人の人物の像として日本一数が多い可能性があるのではないか、というのが定説でした。
ところがその定説に疑問を持ったのが、彼岸寺でもお馴染みの雪山俊隆(ゆきやまとしたか)さん。お寺でのライブイベントの先駆け「お寺座」など、ユニークな活動をされる傍ら、仏教界の情報マニアとしても知られ、以前〈「全国・除夜の鐘ライブ配信」のまとめ〉なども行っておられました。
そんな雪山さんが、ある時浄土真宗のお寺には開祖である親鸞聖人の像が建てられているケースがしばしばあることに気づきます。そして「日本で東西などの浄土真宗寺院を合わせると、約2万ヶ寺……全てのお寺にはなくても、ひょっとすると相当な数の親鸞聖人像があるかもしれない。寺院数から考えると、もしかしたら日本一多い可能性もゼロではないのでは?」と思い立ち、全国の親鸞聖人像をマッピングしながらカウントするプロジェクトを始動されました。
とは言え、なかなか一人で全国のお寺を回って親鸞聖人像があるかどうかを確認することはできません。そこで浄土真宗のお坊さんたちに声をかけるなど協力を集め、さらに雪山さんご自身も、Google Mapsのストリートビューの機能を使って、各地のお寺をチェック。
そしてなんと、現在1200体を超える親鸞聖人像が「発見」されています!
●親鸞聖人像マップ
https://tinyurl.com/24wdm39j
さらに、二宮尊徳の像のように、人物の像と言うとどれも似たようなもの、というイメージがありますが、親鸞聖人像をコレクションしていく中で、実はバリエーションも豊かであることに雪山さんは気づかれます。最も一般的なモチーフは、菅笠(すげがさ)に杖を持った、旅姿の像。これは親鸞聖人が、法然聖人の門弟が死罪や流罪となる「承元の法難」によって越後に流罪となり、その時の苦労を偲んだ姿とされています。
また、親鸞聖人の絵像を元にした座り姿の像や子ども時代のお姿、他にも40メートルもの大きさの親鸞聖人像や、落雷被害を受けたモミの木をチェーンソー作家が親鸞聖人の姿に仕上げた一木造りの像、奥さまの恵信尼と子の信蓮房を連れた3人姿のものもあるのだとか。こちらは妻帯したことでも知られる親鸞聖人ならではの像と言えそうです。
そしてこの冬の時期には、菅笠の上にこんもりと雪が積もり、まるで「しいたけ」のようになっている雪帽子姿も趣深いものとして紹介されており、コレクションされた画像を見るのも楽しめます。
コレクションされた親鸞聖人像は、こちらのTwitterアカウントや、まとめサイトで見ることができます。
●親鸞像コレクション
https://twitter.com/shinranzou
●親鸞像1日1像
https://min.togetter.com/eui3KXW
そして雪山さん、ちょっとした遊び心も発揮して、コレクションした親鸞像の画像をトレーディングカードのような形にして、実際のカードゲームやアプリのようにできないか、とも思案中だとか。実際に雪山さんのお寺・善巧寺さんのウェブサイトではお試しゲームとして「神経衰弱」で遊ぶこともできます。「面白い!」と感じた方は、ぜひ雪山さんまでご一報をお願いします!
ちなみに親鸞聖人は、今年でなんと誕生して850年の節目の年を迎えるのだとか。それを記念して本願寺などでは春に大きな法要が予定されたり、京都国立博物館では「親鸞聖人生誕850年特別展 親鸞—生涯と名宝」が3月25日から開催されるなど、注目を集める一年となりそうです。
そんな記念すべき年に「親鸞聖人像が日本一数の多い像である!」となれば、また一つ、盛り上がりに繋がるかも、しれません。そのためには皆さまからのご協力が必須!ということで、彼岸寺読者の皆さまにも、お力添えをお願いしたいと思います。
こちらの投稿フォームからどなたでも親鸞聖人像の登録ができますので、ぜひ皆さまもお近くのお寺に親鸞聖人像があるかを確認して、投稿してみてください!
●親鸞聖人像登録フォーム
https://tinyurl.com/2994jygc
ご協力のほど、よろしくお願いいたします!