川越を多様性の街へ。街を挙げたLGBTQの祭典にお寺が会場に!?

皆さん、こんにちは。埼玉県川越市の天台宗寺院・最明寺の千田明寛です。
現在、最明寺では川越市の後援イベントとして10/4から11/22までLGBTQの啓発を主とした「SAITAMA RAINBOW フェスティバル」が開催されています。

開催期間中、最明寺には虹色の幟が立てられている。

LGBTQのイベントに寺院が会場となる前代未聞の出来事について、御紹介させてください。

私の住む川越市は今年の5月1日に同性カップルを事実上の婚姻として認める「パートナーシップ宣誓制度」を発行しました(2015年に渋谷区から始まり、川越は全国で48番目の自治体です)。 これにより、セクシャリティに捉われない街づくりが進められようとしています。

今年1月にはLGBTQ当事者やアライ(支援者)が中心となり、埼玉県内にも性的マイノリティの当事者が居ることを伝えるパレードも川越駅周辺で大々的に開催されました(埼玉レインボープライド2020)

多様性を認める街の動きに合わせ、寺院で同性カップルの仏前結婚式をスタート 〈LGBTQ WEDDING〉

このような街の動きに合わせ、鎌倉時代より川越に根差す最明寺も「すべてのカップルに幸せを」をコンセプトにセクシャリティを問わない仏前結婚式をスタートさせました。
https://saimyouji-wedding.com/

多くの宗教が「同性愛」を認めないのに対し、仏教はあらゆるセクシュアリティを否定しません。差別をしない、平等を説く仏教の精神を持つ寺院は、ダイバーシティを取り入れる街の動きにおいて今後欠かせない存在になると私は思っています。

街の新しい挑戦を伝統宗教施設として何かサポートしたいとの思いから、敢えて「お葬式」ではなく人の「生」に関わりたいとセクシャリティに捉われない「結婚式」を始めるに至りました。残念ながら、コロナウィルスの影響でまだ実際に挙式をあげたカップルはいませんが、国内外から数十件のお問い合わせを頂いております。

最明寺での仏前結婚式は一律20万円から(衣装は自由)写真はモデル撮影会に参加してくれた久保沙里菜さんとみほとけさん

LGBTQフレンドリーな街を目指し、業種の垣根を超えた実行委員会が設立

お葬式のイメージがある仏教寺院がLGBTQの結婚式をやるというニュースは、お蔭様で多くのメディアに取り上げていただき話題になりました。そのおかげか、最明寺には日頃よりLGBTQの方々が集まり談笑したり、時には合宿したりする憩いの場として機能しています。

当事者の方々と話し合い、もっと川越から世界へ向けてLGBTQの啓発を進めたいと10/4からは一ヵ月超にわたるイベント『SAITAMA RAINBOW フェスティバル』が企画されました。寺院だけでなく、和菓子屋などの老舗業者、県議会議員など「多様性」をテーマに業種の垣根を超えて、街を挙げた取り組みが11/22まで続けられています。

このイベントのため、市内の和菓子屋とLGBTQのイメージカラー虹色の上生菓子を共同開発した。

オープニングイベントとなった、アメリカの同性婚をテーマにした映画「ジェンダー・マリアージュ」の鑑賞会は日本での同性婚訴訟に取り組む団体「MARRIAGE FOR ALL JAPAN」との共同企画。コロナウィルスの感染拡大防止につとめながら、最明寺のミニシアターに45名の方が集まりました。

前段のトークショーの中では「仏教寺院がLGBTQ啓発に取り組む社会的効果」として、参加者の中から「敷居が高いと思っていた寺院にこうして関われることの嬉しさ」や、「伝統宗教施設が自分たち性的マイノリティの味方になってくれることの心強さ」などが語られました。

地元埼玉の食材を使用してつくられた色鮮やかな精進料理また、10/11のカミングアウトデーにはお寺が1時間毎に虹の6色にライトアップされたり、精進料理の色合いもレインボーになるなど奇抜な企画が目白押しです。精進料理を手掛けるのは、曹洞宗の折橋大貴師。宗派の垣根を超えて、この活動に参加してくださいました。

地元埼玉の食材を使用してつくられた色鮮やかな精進料理

一見奇抜に見えるアイデアには、まずは見た目からLGBTQのテーマについて関心を持ってもらいたいとの考えがあります。最明寺では障がい者の支援や、乳がんのピンクリボンの取り組みも行っておりますが、やはり活動の中心となるのは当事者やその家族になります。しかし、社会に関心を広く持ってもらうためには一般の方にどれだけアピール出来るか。お寺だからこそ出来る活動を主に、現代風にアレンジした趣向を凝らしています。

11/22には「生と性 自分らしさを生きるとは」をテーマに日頃よりLGBTQの支援活動に取り組む中島潤さんの講演もございます。(詳細は下記にて)

私自身が2016年から天台宗の開教使として、インドに留学させていただいた経験があります。かの国は、人種や宗教、言語が入り交じる正に「多様性」のるつぼ。そんな中でも、人々が調和して生活出来ているのは自分と違う他者への気づかいや思い遣りがあるからだと感じました。向こうでは「マイノリティ」になる日本人の私を、誰も差別することなく温かく迎え入れてくれた感謝の気持ちが、今のボーダレスな最明寺の根本となっております。

皆様もぜひ、「LGBTQ×寺院」にご興味を持たれた方は最明寺にお越しくださいませ。

●『SAITAMA RAINBOW フェスティバル 2020』
講演会〈「生と性」自分らしさを生きるとは 子ども達にあなたはどんな未来を残したいですか?」〉

日 時:11月22日 15:00 開場、16:00 開演
会 場:最明寺(埼玉県川越市小ケ谷61)
参加費:一般3000円、会員2500円、学生1000円
ゲストスピーカー:中島潤

お申込みはコチラから↓
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf1gNDYEyvkiB6JXbMZQFTid85qCKcHNbI0OpibmduqtSBhKw/viewform?vc=0&c=0&w=1&flr=0&gxids=7757

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