僧侶も仏教に助けられている。大來尚順さんこれまでの活動の集大成!新刊『楽に生きる』発売

この記事は大來尚順さんよりご寄稿をいただきました。


こんにちは。山口県の浄土真宗本願寺派 超勝寺の大來尚順です。この度、(株)アルファポリスより新刊『楽に生きる』を上梓いたしました。

私は過去に『英語でブッダ』(現『超カンタン英語で仏教がよくわかる』)『カンタン英語で浄土真宗入門』『訳せない日本語~日本人の心と言葉~』など英語に関する仏教の本を出版し、また英語を使用した講演や伝道活動を実施してきたため、周囲から感じることですが、「大來尚順=英語」というイメージをもたれている方は少なくないように思います。

もちろん否定はできないのですが、実はプレッシャーを感じたり、そうとは言い切れないモヤモヤした気持ちを持っていました。しかし、それらを払拭し、私の伝道は「英語だけではない!」ということを体現したのがこの『楽に生きる』という本です。

その分、この本はこれまで出版させて頂いたどの本よりも書き直しが多く、内容に悩みに悩んで生まれた1冊です。

本書を一言で表現するならば、今の私の「等身大」です。

私は京都の龍谷大学で仏教を学ぶために18歳で地元の山口県を離れ、アメリカ留学を経て帰国。それから12年間、生活の拠点としている関東と自坊のある山口県の往来を中心に、仕事、布教、講演等で全国各地を飛び回りながら生活してきました。

そんな中、いつも思うことがありました。それは行く先々で多くの方々と出会うご縁に恵まれるのですが、さまざまな質問や相談を受けても、時間の都合上、なかなか一人ひとりとゆっくりお話して受け答えができないことでした。

さらに、ときとして自分よりも人生経験の深い方々に「生死」(しょうじ)」の問題についてお話することには不安がありました。

しかし、私の持論を話すのではなく仏教の教えを紹介し、少しでも気持ちを楽にしていただくことが私の役目だと割り切り、本書を書くことにしました。

僧侶の衣を脱げば、妻子持ちの40歳を目前とする一人の人間です。僧侶でありながらサラリーマンとして働く二足の草鞋で生活していることもあって、世の中そう簡単に割り切れることばかりでなく、日々の生活ではドロドロしていることもたくさん経験しています。

例えば、「無性にイライラする」「どうしても他人のことが気になる」「今後のことが不安」「自分が好きになれない」など、ねたみ・うらみ・いかり・かなしみを根源とするいろいろな感情が日々の生活の中で蠢いています。これは私自身を含め誰もが同じだと思いますが、それでも人はそれぞれ人生を歩んでいきます。

本書ではそんな中でこそ輝く仏教の考え方を、私の実体験も織り交ぜながら紹介しています。私自身、ずいぶんと仏教の教えに助けてもらっています。

一例を挙げると、私は自分の過去にいつまでたっても許せないことがあります。これは今でも変わりません。そして、またそんな過去に執着する自分を認めたくない気持ちも持っています。しかし、「闇があるから照らすということがある」(『仏教聖典』)という教えにより以前と比べて気持ちが楽になりました。

闇を闇として把握できてるということは、それを照らすことができる自分もいるというように考えることができるようになったからです。どこまでいっても自分もただ凡夫(ぼんぶ)でしかないということに気がつかされ、そんな私をそのまま受け止めてくださる阿弥陀如来をより身近に感じ、前向きに生活する活力をもらっています。

本書にはこのような体験談や仏教の智慧を紹介しています。

2020年12月で私の関東の生活は終わりです。2021年からは、20年ぶりに地元に戻り、自坊のある山口県に腰を据えて生活していきます。

新たな地で、新しい一歩を踏み出す前に、一つの集大成が本書でもあります。本書が、一人でも多くの方がこれからの生活を「楽に生きる」のに役立つ「気づき」となることを願っています。

彼岸寺は、仏教とあなたのご縁を結ぶ、インターネット上のお寺です。 誰もが、一人ひとりの仏教をのびのびと語り、共有できる、そんなお寺です。