【英月さん新刊刊行記念特別対談】第二回 踏ん切りがつかないなら、それが答えです。

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楊木:英月さんの率直で赤裸々な人生奮闘記だからこそ、多くの人に共感をもって(あるいは愛あるツッコミをしていただきながら)読んでもらえるのではないでしょうか。『お見僧』(書名を省略しました)によると、アメリカでの生活は本当に大変そうでしたし、生活していくのにも必死!という印象だったのですが、むしろ日本に帰る方がツライというお気持ちだったんですね。もしこのままアメリカにいたら、どんなふうになっていたと思いますか? アメリカでお寺をつくる話もありましたよね。

英月:そうですね、どうなっていたかな? 「もしも」はないって言うけれど、考えるのは楽しいですよね。ドラえもんの「もしもボックス」ではないですが、ありえないことが前提だから、無責任に、発想の枠から飛び越えて、自由に想像できる。だから「もしも、あのままアメリカにいたら」って考えたら、ワクワクします。結婚していたかな? 子供もいたかな? なんてね。私が僧侶になっちゃうくらいですから、何が起こっても驚かない!笑

お寺をつくるために着々と準備をしていたし、応援してくださる方たちも多くおられたので、どんな形にせよ、お寺はできていたと思います。帰国する1年ほど前に「グッと!地球便」というテレビ番組が取材に来てくださって、その時は、まさか自分が日本に帰ることになるなんて思っていなかったからアツく語っていたんです。カフェみたいに、人々がふらっと立ち止まれる場所。サンフランシスコで、そんなお寺をつくりたいって。だから、もしかしたら、彼岸寺さんとは、アメリカに新しいタイプのお寺を作った僧侶として、ご縁をいただいたかも知れません。そして、それを読んだのぞみーから、本を出しませんか?と、お声がけをいただいて…。って、結局、今と同じだ!笑

アメリカに渡ったばかりの頃の英月さん

楊木:どちらに転んでも出会えていたらすごいですよね! 「写経の会」での経験から人が集まれる場所をつくりたいという思いが湧きおこり、「じゃあお寺をつくろう!」という発想にいたるのは、なんというかバイタリティがすごいです。そのエネルギーはどこから生まれてくるのでしょうか。

いずれにせよ、きっと英月さんはどこにいても仏教を生きていることには違いなさそうです。以前、「アメリカにまで飛び出していったのに、結局はお釈迦様の手のひらの上にいた!」とお話されていたことを思い出しました。本当に色々な経験をされていて、行動派な英月さん。なにかしたくても、踏ん切りがつかずにできなかったり、二の足を踏んでしまうことに悩む人にアドバイスがあれば、ぜひお願いします。

英月:アドバイスなんて、とてもとてもです。だって私自身、29歳まで踏ん切れなかったんですから。鬱々として、二の足を踏んでいた。ずーっと、足踏みをしつづけていた。熱湯に放り込まれたカエルはそこから飛び出るが、水から茹でられたカエルは飛び出ないという有名な小話がありますが、「うちはお鍋の中でゆっくり茹でられているカエルやぁ~」と、思っていました。ダメだと思いつつも、飛び出せない。二の足を踏み続けて、自分の人生を失ってしまう。

でも、今、思い返すと、踏ん切りがつかないのなら、踏ん切りがつかなくていいんです。二の足を踏んでいるのなら、踏み続ければいいんです。踏ん切らなければならないという思いに、縛られ、焦り、苦しんでいたんです。二の足を踏んでいるのなら、それが答えです。ためらい、しりごみをしているのなら、それでいいんです。お鍋から飛び出たカエルのその後は、誰も知りません。もっといえば、考えて飛び出たわけではないのです。熱湯だったから、そこにいれなかっただけです。

私も、お見合いがなければ、アメリカに家出をしなかったと思います。何がいいたいのかというと、自分で考え、決めているようで、実はそうじゃないってことなんです。

熱湯だから、とか、お見合いがたくさんあったから、とか、周りの状況によって、自分の行動が決められる。

お寺をつくろう!というのも、同じことです。「写経の会」を続けるなかで、周りの状況がそんな感じになってきた。じゃあ、それに向き合っていこう。私ができることをしよう、と。『史記』の言葉じゃないですが「士は己を知る者の為に死し」です。私を理解し、認め、応援してくれている人がいる。じゃあ、喜んでそこに尽くしていこうじゃないか!と。まぁ、鼻息が荒いこと、この上ないのですが。それが、バイタリティがすごいという風に映るのかも知れませんね。本の帯じゃないですが、確かに生命力は強いかも、ですが。


第三回につづく!

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