【イベントレポート】お寺 SOCIAL DAY (Pt.1) – お寺×クラウドファンディングの可能性

彼岸寺読者の皆さん、こんにちは。一般社団法人未来の住職塾の遠藤卓也です。 以前、彼岸寺でも告知させてもらった「お寺 SOCIAL DAY」というイベントを、2019/7/23(火)に開催しました。 お陰様で多くの方にお集まり頂き、賑やかな一日となりました。
イベント当日「彼岸寺で見て来ました!」という嬉しい声もありましたので、イベントレポートを寄稿いたします。

お寺に蓄積されるソーシャル・キャピタル

「お寺 SOCIAL DAY」は2部構成。第1部は僧侶・寺族限定の「お寺のためのクラウドファンディングセミナー」、第2部はどなたでも参加できるミートアップイベント「Temple Meetup お寺アイデアソン」です。

なぜ、今回このような構成の企画になったかというと、私自身が昨年からこの春くらいまで「お寺の場づくり」というテーマで全国各地のお寺を取材させてもらったことに起因しています。

学芸出版社さんよりご縁をいただき、未来の住職塾塾長の松本紹圭と私で『地域とともに未来をひらく お寺という場のつくりかた』という本を書きました。(9月刊行予定)この本のために取材させていただいたお寺の場づくり事例は多岐に渡ります。

例えば、地域の高齢者たちが楽しく健康になれる「金曜健康サロン」(東京都・長昌寺)や、ひきこもりのための居場所活動「Cafe☆Tera」(福岡県・宝樹寺)。障がいをもつ子と家族のための「お寺でくつろぎば」(東京都・勝林寺)など。地域や社会の課題に対して当事者性を持って取り組む住職や寺族の姿と、お寺を「居場所」としてひと時休息する人々の良好な関係性が見えました。

東京都・豊島区 勝林寺「お寺でくつろぎば」の風景

お寺と地域社会は一連托生。お寺が今後も長らく継続していくためには、お寺の課題のみにフォーカスするのではなく、地域や社会の課題も視野にいれたいですね。これは未来の住職塾で各寺院が自坊の「事業計画」を作成する際にもお伝えしていることです。

地域に根ざしたお寺は長年培った信頼や、協力者となってもらえる人間関係を有することが多く、「お寺のソーシャル・キャピタル」ともいえる社会関係資本を蓄えています。その強みを充分に活かすには、しっかりとした計画をたて、協力者や資金をあつめるプロセスが必要になってくるでしょう。
今はまだ一寺院の活動だとしても、それが社会や地域に求められる内容であれば、必ずや活動を広げるべき時がやってきます。(例えば「おてらおやつクラブ」は、その先駆的事例です)

私は取材を進める中で「これからのお寺に必要なこと」の一端が見えてきました。周囲から認められる活動を行なっている寺院が、これからも安定的に活動を継続していくために、必要となりそうなサポートをしていきたい。そう考えての第一歩がこの「お寺SOCIAL DAY」です。

お寺×クラウドファンディングの可能性

お寺は檀家さんが支えてきたという歴史がありますが、近年は一般に広く開かれたイベントが盛んになっていることもあり、檀家さん以外にもお寺を大切に思う人の範囲が拡大しています。「檀家じゃないからお布施をお渡しするような関係ではない。でもお寺に感謝する気持ちを形にあらわしたい」そんな人が増えてきているのではないでしょうか?
思いのあらわしかたは人それぞれかとは思いますが、世の中に既にある仕組みとして、期待や信頼を経済価値に変換するクラウドファンディングがひとつの参考になりそうです。

そこで第1部の「お寺のためのクラウドファンディングセミナー」を企画しました。大変ありがたいことにクラウドファンディングのプラットフォーマーとしては大手の株式会社CAMPFIREさんのご協力を得ることができ、COOを務める大東洋克さんに講師をお願いしました。

大東洋克 (株式会社CAMPFIRE取締役COO)

香川県善通寺市生まれ。2002年GMOインターネット株式会社入社。アクセス事業本部長、ドメイン事業本部長、IxP事業統括本部長を経て、2009年にGMOドメインレジストリ株式会社を設立、同社常務取締役に就任。2013年に独立し、Webコンテンツやニュースメディアのデータ分析、機械学習を活用したWebコンテンツ最適化などの事業に参画。2018年に株式会社CAMPFIREに入社し、クロスボーダー事業部長として海外事業推進とアライアンス事業推進を担当。2019年3月株式会社CAMPFIRE取締役COO就任、CAMPFIRE事業、融資型クラウドファンディング事業、海外事業戦略などを管掌。

大東さんによるクラウドファンディングの基礎レクチャーに始まり、寺院のクラウドファンディング事例紹介や寺社での実施実績データ分析をおこないました。後半のパネルディスカッションでは、「晋山式(住職の就任式)の資金集めクラウドファンディングは成立するのか?」という問いや、お布施のキャッシュレス化の話題まで。クラウドファンディングというテーマでも実に未来の住職塾らしい展開で盛り上がりました。

伽藍の維持管理や修繕、大きな行事(周年記念事業、晋山式)など、これまでお寺が寄附をお願いしていた資金をクラウドファンディングで募るというイメージを抱いていた方が多かったようですが、それらはあまりクラウドファンディング向きではないことがわかってきます。

より多くの共感を得やすいのは、例えば先に挙げた場づくり事例のような社会貢献につながる活動や、「お寺の裏山に眺望抜群の宿坊をつくりたい!」のように賛同者が期待感を持ち易いプロジェクトのほうが良さそうです。

クラウドファンディングは目的ではなく手段

セミナーを通じて、大東さんが強調されていたのが、クラウドファンディングはお金の集め方・人とのつながりの作り方という「手段」であり、それ自体が目的にはなり得ないこと。
そして、その手段を使って何を実現したいのかという事業計画が必要になるでしょう。実現しようとしている事業への共感・信頼・期待などがあってはじめて、クラウドファンディングは成功します。手段の前に、目的をはっきりさせることが大事であると。事業としてしっかり練りこまれているかどうかが問われます。

「クラウドファンディングは目的ではなく手段である」これは当たり前のようでいて抜け落ちやすい、実に大事な観点に気づくことができました。

CAMPFIRE社のキャッチコピーは「夢見る人を、はじめる人に。」

各地のお寺が主体となって地域に開かれた場をつくり、居場所となり雇用をうみ、「このお寺を支えたい」という気持ちが増えていく。そんな未来を想像したときに、クラウドファンディングという手段は誰でも使いやすいツールとして整えられています。
お寺がチャレンジする際には、私たち未来の住職塾でもサポートできるよう準備をしておきたいです。

(Part.2へつづく)

【告知】
9月より始まる「未来の住職塾NEXT R-1」では半年間共に学び、お寺の事業計画を策定する受講生を募集しています。

詳しくは下記のHPをごらんください。
http://mirai-j.net/next

遠藤卓也

1980年東京都生まれ。立教大学卒業後、IT企業で働く傍ら2003年より東京・神谷町 光明寺にて「お寺の音楽会 誰そ彼」を主催。10年以上続く活動において、地域に根ざしたお寺の「場づくり」に大きな可能性を感じ、2012年より住職向けのお寺経営塾「未来の住職塾」の運営に携わる。「お寺の広報」をテーマとする講演・研修や、お寺のHP・パンフレット制作などを手がける。また、音楽会やマルシェなどお寺での様々な「場づくり」もサポートする。趣味は音楽と妖怪。ビア好き。