お坊さんとのお付き合い

私は結婚するまで、5年間お坊さんの彼と交際しました。
取り立てて相手がお坊さんだからといって変わったことはありませんでしたが
わりとコソコソとお付き合いしていたのは事実です。

というのも、彼の家(お寺)にお邪魔したのは結婚の1年前。
それまで彼の家族に私の存在はあまり知られていませんでした。
もちろん彼の両親は彼の言動から薄々察していたと思いますが、
とくに彼女だからといってお寺に出入りする機会はありませんでした。

それはやっぱり「人目に触れるから」です。

普段から一歩外に出れば近所の人に挨拶や会釈される事が多く
お檀家さんをはじめ、地域の人からも「お寺さんの人」と認識されている彼。
「この前○○で見かけましたよ!」みたいなやり取りも日常茶飯事のようです。
なので、たとえ法衣を脱いでいてもプライベートがあるようで無いのが事実。

そのように顔を知られている彼なので、噂話にも時々登場するのでしょう。
前に「若さんが若い女性と歩いていて婚約相手だと話した」という噂話がまわったそうです。
本人いわく、若い女性と歩いたこと自体まったく身に覚えも無く(もちろん私も記憶にない)どこでそんな風に話が変化したのか分からないことがありました。噂話という伝言ゲームは原型を留めずにどんどん広がるんだなぁと驚いたことがあります。(ご年配だとなおさら?)

また、一緒に遊んでいるときに彼が忘れ物をして家に一旦帰らなければいけない事がありました。お寺に私が着いていくのはマズイという事で、ちょっと離れた公園に一人車から降ろされ、全く知らない土地の公園で一人ポツンと待たされた事もありました。

そんなわけで、彼のお寺に気軽に立ち寄る機会がありませんでした。
手が届きそうで4年間もの間、遠い遠い存在だった彼の実家。
私はパソコンを前にGoogleマップでお寺の外観を見るぐらいでしか、近づけませんでした。

あとはやっぱり、法衣姿だと不自由な事もありました。
普通だと仕事帰りにデートなんて簡単にできるハズなのに、
お坊さんの真っ黒の法衣姿はどこにいても本当に目立ってしまうので不自由です。

たまたまお昼どきでお腹ペコペコだった私たち。
でも、彼が法衣姿だったためレストランに入ることができず(私は気にしないけど)
仕方なく私がマクドナルドに買いに走って、車中でハンバーガーを食べたこともありました。

どれも今では可愛い思い出ですが、お坊さんとお付き合いするのはちょっと不便な思いもするかもしれません。(もちろん人にもよるでしょうけど)

でもいざ、結婚が決まると180度転換したようにお寺やお寺を取り巻く人と急接近することになるので(今までのコソコソのお付き合いは一体何?というくらい)これもまた特別な経験だと後々思い知るのでした。

こじま あゆみ

滋賀県出身。キリスト教(カトリック)を熱く信仰する家庭で育つ。6人兄弟の長女でクリスチャンネームはマリア。 2014年春、お坊さんと恋愛結婚しお寺に嫁ぐことに。現在名古屋市にある真宗大谷派・開闡寺(かいせんじ)の若坊守として日々奮闘中。京都の老舗木版画店「竹笹堂」の元店長。