坊主DAYS

あまり漫画は読まない方だ。
そもそも登場人物が多いとワケが分からなくなるし、何十巻と出ている長編漫画はそれだけで気が失せてしまう。私の本棚はものの見事に漫画が1冊も無い。

そんな私に知り合いから手向けられた一冊の漫画「坊主DAYS」。
これが何とも面白かった。というより大変勉強になった。

著者の実家は臨済宗(禅宗)のお寺さん。若くして実家のお手を継ぐ実兄の修業模様がコミカルに描かれている。その内容がかなり凄まじい。僧堂と呼ばれる修業道場に出向く際、入門を断られても丸2日も低頭し続ける。毎日のスケジュールはきっちり決まっていて、座禅・読経・禅問答・掃除に作務(講座・托鉢・剃髪など)、睡眠時間はたったの4時間とかなりハードスケジュール。もちろん携帯電話は禁止で、布団は掛布団らしきものがなく、敷布団を半分に折った状態に挟まって寝る。入門して1年以内は名前で呼んでもらえず先輩僧侶から全員「新到」と呼ばれ、お風呂は5日に1度だけ。

どう考えてもかなり過酷な生活。ただただ頭が下がる思いです。
でも不思議なことに漫画からは「辛くて逃げ出したい…」というニュアンスは伝わってこない。むしろ「修業っていいもんだぁ」と口にするお兄さんの姿が描かれていたのです。

そのほか、修業前に髪の毛の別れを惜しんで色んな髪型で遊ぶ姿や、なかなか会えない彼女に振られてしまったり…と若者の俗っぽい姿が描かれているのも楽しい。長く厳しい修行生活を終えた我が息子(住職)の記念テレホンカードを檀家さん向けに作るあたりも思わず笑ってしまった。そして何より修業を通して慈悲の心に触れ、徐々に僧侶の自覚が芽生えていく姿に感動する。

今まで私は「臨済宗=一休さん」くらいのイメージしか抱いていなかったので、漫画を通して随分色々知らない世界を知ることができた。漫画に親しみのないこの私が数時間でガガーッと読み切ってしまった。仏教やお坊さんと接点が無い人もぜひ手に取ってもらいたいと思った。きっとお坊さんや仏教の見方が変わるかと。

お寺に嫁いだ事であたかも仏教のエキスパートになるもんだと思われますが、案外他の宗派のことを知る機会は少ないものです。実は今回の坊主DAYSも思わず家族で回し読みしてしまったほど。(同じ宗派では付き合いも多く、結構狭い世界なのに・・・)という事で、このような漫画はお寺関係者にとっても非常に貴重な存在。

こじま あゆみ

滋賀県出身。キリスト教(カトリック)を熱く信仰する家庭で育つ。6人兄弟の長女でクリスチャンネームはマリア。 2014年春、お坊さんと恋愛結婚しお寺に嫁ぐことに。現在名古屋市にある真宗大谷派・開闡寺(かいせんじ)の若坊守として日々奮闘中。京都の老舗木版画店「竹笹堂」の元店長。