お坊さんと読書

お坊さんって結構マジメに読書しているよなぁと思う。
まわりのお坊さんを見渡してみてもそう思う。「読まなきゃいけない本がまた増えたよー」とか「今月のAmazonの請求額がヤバイ」という会話は自然に耳に入ってくる。スポーツ大好きなお坊さんでも、きっと家の本棚はかなり充実しているに違いない。現にお寺に嫁いだ私はなかなかの本の多さに圧倒させられた。そもそもお寺は転居もなければ、親と同居が多い。先々代の買ったものと思われる本も残りやすい、仏教書なので流行り廃りがない。お寺なので敷地もわりと広い、つまり買った本は蓄積されやすい。というわけで、こと仏教書に関しては軽い資料館状態だ。

そもそも日本の出版文化は、仏典の印刷からスタートしているようなので、そう思うとお坊さんが読書に身を投じるのも何だか腑に落ちる気もするよう…な。お坊さんにも色んな方がいて、修業僧や本山で働くお坊さん、違う仕事と兼業するお坊さん、複数のお寺を運営・管理し守るお坊さん…と様々だ。私の旦那のように家のお寺を継ぐケースのお坊さんは、いわば自営業に近くて上司は自分のお父さん。そんなお坊さんにとって本はかなり強い味方なのだろう。お坊さんだけでなく、私のような坊守もけっこう本を頼りにしているし、お寺の奥さんは基本的に家にいることが仕事なので、読書時間もたっぷりある。というわけで結婚してから本を手にする時間は格段に増えた。

しかし仏教書は驚くほど高い値段のするものがある。
私が読んでいるようなポピュラーな書籍はそれほどでもないが、物によっては発行部数がそもそも少なく、もう増刷されていない古い書物だとかなりの高額だったりする。さらにタイトルが箔押し印刷とかゴージャス仕様になっているとますますお高い。(書いている内容が崇高なだけ仕方がない?)それでもお坊さんは本に関しては躊躇しない。我のため、皆のためなのかもしれない。

終わりなき仏教の学びを深めるために読書。
お檀家さんからオススメされた本も、勉強のため読書。
世間一般的によく売れている話題の書籍も、社会勉強のため読書。

お坊さんといえば人前で話をするイメージが大きいけれど、
その陰ではいそいそとページをめくってインプット・インプット。
お坊さんの読書は尽きない。

滋賀県出身。キリスト教(カトリック)を熱く信仰する家庭で育つ。6人兄弟の長女でクリスチャンネームはマリア。 2014年春、お坊さんと恋愛結婚しお寺に嫁ぐことに。現在名古屋市にある真宗大谷派・開闡寺(かいせんじ)の若坊守として日々奮闘中。京都の老舗木版画店「竹笹堂」の元店長。