彼岸寺をご覧の皆様、こんにちは。私は臨済宗妙心寺派海禅寺副住職で、「キッサコ」という名前で、般若心経の音楽を制作しております薬師寺寛邦と申します。
実はこの度、6月30日に学研プラス様より、二作目となります般若心経の本を出版することとなりました。
タイトルは、「心がととのう新しい般若心経CDブック」です。
この本は、2016年から般若心経をハーモニーと音楽に乗せてアレンジする「般若心経コーラスバージョン」を制作して以来、約6年ほど般若心経を音楽の角度から向かい合い続けてきた中で生まれました。「般若心経をより身近な言葉で伝えることはできないだろうか……」という思いから、般若心経を意訳し、「空(くう)-般若心経-」という1つのポップスソングを作ったことがきっかけで出来た本です。
よくよく考えてみますと、実は私自身が、この6年の間に、般若心経やお経へのイメージがガラリと変わっていたのです。
私はお寺で生まれ育ちましたので、小さい頃から学校に行く前に毎日唱えておりましたし、お経とは、基本、本堂で法事などの仏事にお唱えするものというイメージが強くありました。しかしこうして般若心経の音楽を制作していく中で、たとえば、レコーディングスタジオでずっと般若心経を録音したり、散歩中にその録音データを確認したり、とある日は、娘にギターで般若心経を弾き語って聞かせたり……
自分の日常の中に、いつの間にか「般若心経」が存在していました。
私はこの般若心経ミュージックを通して、改めて般若心経の虜となり、自分自身が心をリセットする時間を作らせてもらっていることに気づきました。
「すべては空である」というとんでもない命題を心に直球に突きつけてくる般若心経。でもそれは、1度目を閉じて、また目を見開き、目の前のことと向き合っていく、ということだと私は思います。
とりわけ、昨今は膨大な情報に埋め尽くされ、忙しなく動いている日々の中で、そんな素敵なきっかけを与えてくれる般若心経がそばにある日常。それって、案外いいものだな、と。
その感覚を、この本を通して、皆様と共有できればと思っております。
本書では、その「空」の詩に、イラストレーターhakowasa氏の優しい素敵な絵が添えられ、まるで絵本のような感覚で、楽しんでいただけます。
また、CDには私の般若心経ミュージックより厳選したアレンジと、楽曲となった「空」アコースティック ver.などミニアルバムとして音源を収録しております。
見て、読んで、そして聴いて、じんわり般若心経を感じていただける1冊となっております。
よろしければぜひこの本を通じて、「般若心経」をあなたの日常に置いていただけたら幸いです。