こんにちは。浄土真宗寺院で若坊守をしているリンゴと申します。この度、私が運営する坊守向けオンラインコミュニティ「お寺マダム」より書籍を出版することになりました。坊守さんたちの声をまとめた一冊です。
お寺の生活って？
私は約10年前に一般家庭からお寺に嫁ぎました。偶然好きになった相手がお坊さん。そんな私が結婚に踏み切る際、お寺で始まる日常生活をイメージすることはとても困難でした。当時、すがる思いでPCに向かい「お寺 嫁ぐ」などキーワード検索をしていました。ですが、お目当ての情報はなかなか見つけることができませんでした。（当時の私にとって、彼岸寺さんのサイトは毎日アクセスするほど貴重な情報源でした。この場を借りてお礼申し上げます）。
結果、お寺の生活は具体的にイメージできないまま、私は清水の舞台から飛び降りるような気持ちで結婚に踏み切ることになりました。ひと昔前と比べ、お寺同士の結婚ばかりではなく、一般家庭から嫁ぐ（お婿さんの場合も）方が増えた事もあり、似たような経験をされた方はきっと少なくないのではと想像します。しかし、実際に嫁いでみて分かったことは「お寺の生活は、お寺ごとに異なるので説明が困難」という事でした。宗派、地域、お寺の規模、一緒に関わる寺族（住職の家族）の関係によって大きく状況が変わることを知りました。
お寺の奥さんの本音は？
私は2021年1月に、坊守向けオンラインコミュニティ「お寺マダム」を立ち上げましたが、その理由は「お寺という特殊な環境に身を置く坊守さんが、悩みや課題を話し、刺激し合い、支え合える場が必要だ」と感じたためです。ひと昔前と比べ、SNSで発信されているお寺の奥さんも増えましたが、私自身お寺の奥さんと多く接するなかで、ある共通点に気が付くことになりました。
お寺の生活の大変さを突き詰めていくと、その要因は「コミュニケーション不足」ではないかという事です。お寺での生活は、仕事とプライベートの境界線が分かりづらいものです。そんな日常生活を共に過ごす、寺族同士の人間関係がキーポイントだと感じました。お寺での生活は、寺族一人ひとりの理想や願望、認識のズレ、世代ギャップを日々調整することになります。ですが、先代夫婦の意向が色濃く反映されがちなお寺の内部では、「嫁の立場では色々と意見を言い辛い……」という状況が往々にしてあると思います。（もちろんそうでないお寺もあります）
悲しいことに「お寺や仏教は好きだけれど…」「こんなハズじゃなかった…」「次世代には同じ苦労をかけさせたくない」と吐露する方もおられるのが実情です。
お寺の暮らしを心地よくするためには？
お寺の暮らしを心地よくするためには、結婚前から寺族としっかりコミュニケーションを図ることが大切だと思います。お寺での業務実態や生活スタイルを予め知り、結婚後にお寺とどのように関わるのか、何をお互い求めているのか、しっかり寺族と相談することが必要だと思います。ですがそのフォーマットが今まで存在しなかったことに気が付きました。具体的に何に着目して確認するべきなのか。本書では「現役坊守が思う、結婚前に確認したいこと」と題して、第4章で細かく記しました。また、お寺のリアルな生活をお伝えするために、現役坊守50名の方の、お寺の生活アンケートの結果も紹介しています。また、それぞれ環境の異なるお寺の坊守さん5名のインタビュー記事も掲載しています。
【目次】
・はじめに
・第1章 お寺と僧侶・坊守（ぼうもり）の実態
・第2章 私のお寺での生活（5名）
・第3章 お寺の奥さん50人の声（アンケート結果より）
・第4章 現役坊守が思う「 結婚前に確認したいこと」
・第5章 4コマ漫画「寺嫁のすばらしき日々」× お寺マダム
・おわりに
こんな方に読んで欲しい
本書を作成する当初は「これからお坊さんと結婚する方に」と思い、筆を取りました。ですが、多くの若手坊守さんの声を聞き、書き進めていくうちに、多くの寺院関係者に知っていただきたいと思うようになりました。とくにこれからお嫁さん（お婿さん）をお迎えする寺族の方にも、ぜひ読んでいただきたいです。何故ならお嫁さんだけの意識だけでなく、双方の歩み寄りによって、より効果が発揮できると感じているためです。
【こんな方におススメ】
・お坊さんと結婚する予定の方
・跡継ぎ予定のお坊さん
・お嫁さんを迎える（すでに迎えた）寺院関係者の方
・若手坊守の方
・お寺と限らず、家業を持っておられる方
ありそうで無かったマニアックな本書ですが、どうか必要な方に届くことを願っています。
■『浄土真宗のお寺の奥さん50人に聞いた お寺のリアル』
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発行：2022年3月26日
著者：お寺マダム
