「お寺の掲示板」本・第二弾!『お寺の掲示板 諸法無我』発売!

9月28日に新潮社から『お寺の掲示板 諸法無我』が発売されました。これは2019年9月に発売された『お寺の掲示板』(新潮社)の続編であり、ダイヤモンド・オンラインでの連載『お寺の掲示板の深~いおことば』をまとめたものです。

連載も気が付けば80回を超え、息の長いコンテンツとなっていますが、これがはじまったのは2018年10月。知り合いのダイヤモンド社の編集者に「ダイヤモンド・オンラインに一回で良いので掲示板大賞の作品の紹介や告知をさせていただけませんか?」とお願いしたことがきっかけでした。

まさかそれが3年以上も続く連載になるとは私も含めてそのとき誰も想像していませんでした。ここまでの長期連載になることを想定していなかったため、過去に書いたことを私自身があまり覚えておらず、現在大変苦労していますが、連載はなんとか続いています。(順調にいけば、今年の年末で連載が100回を迎える予定です)

ダイヤモンド・オンラインというメディアの特性もあり、第一回目から一貫して「仏教のことをまったく知らないビジネスパーソンが朝の満員電車の中でスマホで読む」というコンセプトで書かれています。取り上げられている文言も高僧の言葉から芸能人の言葉まで多種多様なので、仏教初心者の方でも読みやすい作りになっています。

また、今回書籍化するにあたって、さらなる加筆修正を加え、連載になかった掲示板も多数追加していますので、連載を読んでいた方も違う感覚で読んでいただけます。

ちなみにサブタイトルの「諸法無我」とは、仏教の教えの三法印(諸行無常・諸法無我・涅槃寂静)の一つであり、「すべてのものは実体がなく移り変わるものである」ということです。この言葉を選んだのは、新潮社の担当編集者の方から、「続編のサブタイトルは仏教の四字熟語でいきましょう」と最初から言われたのがはじまりですが、正直なところ、なかなか良い四字熟語が見つかりませんでした。しかし表紙に「俺が(我)」という掲示板が選ばれると聞いて、「諸法無我」というタイトルになりました。

仏教の中でも非常に重要な教えですので、これをきっかけに「諸法無我」という言葉を覚える人が増えれば嬉しいです。

かく言う私も、「お寺の掲示板大賞」の運営を通じて、いままでに5000以上の掲示板の文言を読ませて頂きました。掲示板の言葉にはそれぞれのご住職の思いが込められており、それらの言葉を読む中で私自身が多くのご住職から大変勉強させて頂きました。

本の中で取り上げた掲示板にはどれも思い入れがあるのですが、一つ挙げるとすれば、「人生に花が咲こうと咲くまいと 生きていることが花なんだ 生まれてきたことが花なんだ アントニオ猪木」という掲示板です。ちょうど本の執筆中(6月頃)、猪木さんの体調がすぐれず、衰弱した状態で病院から動画を発信しているのをたまたま目撃しました。普通はそのような状態を世間にはあまり晒したくないはずですが、自身の姿に恥ずかしさを全く感じていない様子でした。猪木さんはまさに「生きていることが花なんだ」という自身の言葉をしっかり体現していると思い、急遽本の中に入れさせていただきました。

広島・超覺寺さんの掲示板

そのほかにも心に刺さる言葉が沢山掲載されています。『お寺の掲示板 諸法無我』を読んで、ぜひ多くの方々に掲示板の世界に足を踏み入れていただければ幸いです。価格も1000円とお求めやすい値段になっています。何卒よろしくお願い致します。

最後に、今作も掲示版を書かれた寺院関係者のみなさま、撮影者の方々の大変暖かいご協力がなければ、絶対にこの本ができることはありませんでした。心より深く感謝申し上げます。そして、「お寺の掲示板大賞」に携わってくださっているすべての皆様にこの場を借りて厚くお礼を申し上げます。


こちらは前作の『お寺の掲示板』になります。

浄土真宗本願寺派僧侶。1976年生まれ、福岡県出身。早稲田大学社会科学部・第一文学部東洋哲学専修卒業。早稲田大学文学研究科東洋哲学専攻修士課程中退。 築地本願寺内の(一社)仏教総合研究所事務局に勤務の後、2011年~2017年までドイツ・デュッセルドルフのドイツ惠光寺において、ヨーロッパ開教や日本文化を発信する事業に携わる。2017年より(公財)仏教伝道協会に勤務。 2018年に「輝け!お寺の掲示板大賞」を企画し、話題を集める。著書に『お寺の掲示板』(新潮社)。連載に「「お寺の掲示板」の深~いお言葉」(ダイヤモンド社「ダイヤモンド・オンライン」)などがある。