彼岸寺 参拝者の皆様。
こんにちは。浄土真宗本願寺派の僧侶、神崎修生と申します。
今回は、私たちが行っている「bラーニング」という寺院関係者向けのオンラインサロンについて寄稿させていただきます。
彼岸寺によく参拝される方はそうではないかもしれませんが、お寺や僧侶と接点がない方にとっては、お坊さんってアナログな人?という印象を持っている方もおられるかもしれません。
私もお参りでお宅に伺った時など、法事の予約などでスマホを取り出したら、「えっ。お坊さんもスマホとか使うのですね」と驚かれることがあります。お宅までは車で伺っているのですが、車とスマホとでは少し印象が違うようです。
お坊さんと直接会ったり、話したことがないという方も若い方では多いですし、お寺での日常生活や仕事内容についてよく分からないのも頷けます。
実情はというと、ある程度若い僧侶でしたら、PCやスマホは当たり前に使いますし、SNSやホームページを活用して、お寺の取り組みを発信したりもしています。
また現在、新型コロナウイルスの影響により、各業界と同様、お寺業界もオンライン化が進んでいます。お寺の催しや日常の読経をオンラインで配信したり、お寺間の会議もオンラインでおこなわれる事例も目にすることが多くなりました。
今回は、そんなお寺業界のオンライン化の一事例として、お坊さんたちのオンラインサロン「bラーニング」という取り組みについて、紹介をさせていただきます。
特に、お寺の活動に関心をもっていただいている方や、寺院関係者の方などに読んでいただけますと幸いです。
▷オンラインサロン「bラーニング」とは?
「bラーニング」は、寺院関係者向けのオンラインでの学びと交流の場です。Facebookや、zoomなどのツールを活用して、学びと交流を深めています。
主な内容としては、
①お寺業界の最新のニュース紹介
②寺院運営や僧侶のスキルアップにつながるコラム配信
③オンライン勉強会
をおこなっています。
お坊さんという言葉が分かりやすくて使ってはいますが、「bラーニング」は、僧侶だけでなく、坊守、寺族、寺院子弟の方も、ご参加いただいています。
2019年1月に、小林信翠さん、清水谷勇哲さん、私神崎修生の3名で立ち上げ、その後、福山智昭さんを迎えて、現在は僧侶4名で運営をしています。
2020年4月現在、全国各地、各宗派の190名を超える寺院関係者の方々がご参加くださっています。
◇bラーニングはこちら
https://www.facebook.com/monksalon/
▷どうして「bラーニング」をはじめたのか
bラーニングを立ち上げた理由は、お寺が地域に存在していることと関わっています。
ほとんどのお寺では、ご葬儀やご法事も大切な役割と位置づけ、お勤めしています。亡くなっていかれた方は、これまでお寺に通ってくださり、時間をご一緒した方も多く、その最後をお見送りし、お勤めすることは、僧侶・寺族の大切な役割だからです。
しかし一方で、いつご葬儀が入るかが分からないため、遠方での研修会などに参加がしづらいという面もあります。私自身も、福岡県にある信行寺というお寺の副住職であり、とても良い内容の研修会が東京であっていたとしても、日が近づいてみないと、参加できるかどうかが分からないといった状況でした。
こうした課題があり、場所や時間の制限を超えられる、オンラインでの学びや交流の場をつくれるといいのではないかと思ったのが、bラーニング立ち上げの最初の理由でした。
それ以来、オンライン勉強会などを通して、学びや交流が育まれています。
▷オンラインでお坊さんの勉強会
「bラーニング」では、定期的にオンライン勉強会を開催しています。過去には、ご葬儀やご法事、お墓に関するもの、お寺での居場所づくりや、お寺を取り巻く環境分析など、様々な内容で勉強会を開催してきました。
先日も、葬儀、特に寺院葬(お寺での葬儀)をテーマにした、勉強会を開催致しました。全国各地から、様々な宗派のお坊さんが30名参加され、学びを深めました。
bラーニングの運営メンバーでもある小林信翠ご住職から、ご自身が勤める本門佛立宗 光薫寺さまでの寺院葬の取り組みについてご発表いただき、共に学び合いました。
小林ご住職からは、
・寺院葬を始めた経緯
・寺院葬の流れ
・必要なものや、費用
・寺院葬の良さ・課題
・今後の展望
などについてお話をいただきました。
光薫寺さまでは、30年を超える寺院葬の歴史があり、また、熱心なご信者が多くおられ、(新型コロナ以前は)毎日200名前後の方が参拝され、お題目をとなえる声が途切れることのないお寺です。
こうした実際の事例をもとに学ぶことができることは、とてもありがたいことで、今回ご発表いただいた小林ご住職をはじめ、ご協力くださる皆様に本当に感謝しています。
また、質疑応答や、参加者同士の意見交換の時間では、様々な質問やご自身の経験からのお話など、多様なご意見を挙げていただきました。
ご参加者それぞれが、お寺という現場で真摯に取り組まれている方ばかりなので、そこからも実際の事例や工夫についても学ぶことができるのも「bラーニング」の特徴です。
お釈迦様は、「諸行は無常である(世の中は移り変わっていく)。怠ることなく勤め励みなさい」とご遺言をのこされたといいます。これからも、bラーニングでは、継続的にオンラインでの学びや交流の機会をつくっていきます。
▷「bラーニング」で大切にしていること
「bラーニング」では、「自利利他(じりりた)」や、「自他の抜苦与楽(じたのばっくよらく)」の姿勢を、とても大切にしています。
自らと他者の、悲嘆や孤独といった苦悩が少しでも和らぎ、共により良く生きていける。そのような場としてのお寺のあり方を、互いに学び合い、刺激し合い、共働していくような機会を、これからもつくっていきます。
このような取り組みに関心のある寺院関係者の方は、是非「bラーニング」にご参加ください。
また、彼岸寺 参拝者の皆様も、「bラーニング」の取り組みを、是非応援いただけますと幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
合掌
浄土真宗本願寺派 教證山信行寺
副住職 神崎修生
◇bラーニングはこちら
https://www.facebook.com/monksalon/
●著者プロフィール
神崎修生(かんざきしゅうせい)
浄土真宗本願寺派僧侶。福岡県の信行寺にて副住職を勤める。対話を取り入れた法事をおこない、年間1,000名を超える方の思いに耳を傾けている。僧侶向けのオンラインサロン「bラーニング」の運営や、「仏教やお寺をもっと身近に」をコンセプトとした「オンライン寺院」の運営をおこなっている。