お寺から自閉症・発達障害の支援を Light It Up Blue 川越 in 最明寺

本記事は埼玉県川越市の最明寺・千田明寛さんよりご寄稿をいただきました。


毎年4月2日は国連が定めた世界自閉症啓発デー(Light It Up Blue)で、日本では8日までの一週間を発達障害啓発週間と定めています。この期間、パリの凱旋門やシドニーのオペラハウス、エジプトのピラミッドなど世界中の多くの観光名所・施設が「青」に照らされ、その啓発に努めます。

「青」は希望や平和・癒しを表す色です。

この青色に輝く光を見て、多くの人に自閉症と発達障害について興味関心・理解を持ってもらいたいとする目的があります。

日本ではNPO法人あっとオーティズム(http://happy-autism.com/)が取り纏めをしており、世界と同様に国内でも多くの観光地や企業がこの活動に参加しています。

最明寺は、この活動に参加して今回で3年目になります。徐々に地域の協力を経てイベントが拡大し、今年から川越市の後援事業となりました。実行委員会を立ち上げることで街を挙げて大きな盛り上がりを見せています。(https://www.saimyouzi.com/info/2019/02/42-48.html

埼玉出身のアーティスト達が最明寺でチャリティーライブを開催

埼玉出身または埼玉で活躍するアーティスト達が最明寺に集結します。

かつて一世を風靡し、2005年には年間シングル1位を獲得した「青いベンチ」を唄うサスケが「青い本堂」の中でライブを行います。埼玉県の毛呂山町出身のアーティストです。

そして、仏像に一番近いアイドルとして注目を浴びるみほとけが川越のご当地アイドル川越クリアーズと一日限りの限定コラボライブを開催します。4月8日の花まつりに向けて、みほとけが振舞うカレーライスも境内地でお楽しみにいただけます。

※この活動の収益の一部は自閉症・発達障害支援の団体へと寄附されます。

障害者(アウトサイダー)アートの青い展覧会

もう一つの目玉として、川越で美術を通じて障害者支援をおこなっているあいアイ美術館(http://www.aiai-art.jp/)の生徒さん達による青い絵が約100点、最明寺の本堂に展示されます。自閉症の彼らが持つ色彩感覚は独特な感性があり、見る者を魅了して止まない絵を描きます。期間中(4/2-4/8)毎日無料で展示しております。

なぜお寺がこのような活動をするのか

お寺が自閉症と発達障害啓発の活動をしていることに少し目新しさを感じる方も居るかもしれません。この活動の根底には私のインド留学の経験が強く生きております。元々、私自身が日本に住んでいる時はこの活動について全く知りませんでした。世界と比較し、日本でのLight It Up Blueの認知度はまだまだ低いです。

インドで生活していた丁度この時期に、ハイデラバードにある「ハイデラバード仏像」が青くライトアップされているのを見ました。その時に「あれは何ですか?」と現地の人に尋ねたのが私がこの活動を知ったきっかけです。

日本で仏教というと、どうしても死後に関わる存在というイメージがありますがインドの仏教は寧ろ「死」と関わるより「生」の方が強い印象があります。寺院に居る僧侶たちは日常の勤行の他に、参拝者の悩みや人生の相談を受け、本当に親身になって耳を傾けていた姿が今でも目に焼き付いています。その他にも、親が居ない子供たちのために孤児院を運営したり、仏教の親戚になるジャイナ教は動物病院をお寺の中に持っていたりと様々な社会福祉活動に精を出しています。「日常の中に宗教がある」という日本の感じとは違い、「宗教の中に日常がある」のがインドの宗教観です。

私はその経験を通じ、日本に帰り自分のお寺でも出来ることはないかと考えこの「自閉症・発達障害」の支援を2017年より始めました。生活に困っている人、助けを必要とする人に手を差し伸べるのが宗教者の役目であると私は考えます。

障害者への対応について、その理解や雇用、教育、生活や自立支援に関してまだまだ認知度は高くありません。障害者へのイベントの課題として「当事者やその家族及び支援者」しか興味を持たないという一面が少なからずあります。しかし、本当に社会を変革したいと思うならば、必要なのは健常者の人に如何に関心を持ってもらうかです。

そこに「お寺」という媒体が介入することで、私はより多くの人に発信する力が発揮できる「地域のハブ効果」が期待できると考えました。

観光地の川越という立地を活かし、青く光る本堂にまずは興味を持ってもらうことで活動の意義についても知ってもらいたいです。おかげ様で、現在では地域の障害者支援に取り組む団体やその支援者、商店街の仲間たち、観光協会、そして川越市と多くの人達の協力を得るイベントになりました。

私の宗派・天台宗の教えには「一隅を照らす」という代表的な教えがあります。意味は「各々が置かれた場所で精いっぱいの努力をすることで、それぞれの光がやがて世界を覆う大きな光になってくる」との意味ですが、私はこの青い光を通じて助けを必要としている誰かの元へその支援が届くことを切に願っております。

4/6と4/7のイベント、多くの方の御参加おまちしております。

彼岸寺は、仏教とあなたのご縁を結ぶ、インターネット上のお寺です。 誰もが、一人ひとりの仏教をのびのびと語り、共有できる、そんなお寺です。