お寺から現代アートの発信を 〜求む、アーティスト!芸術を通じて日本を元気に〜

本記事は埼玉県川越市の最明寺・千田明寛さんよりご寄稿をいただきました。


こんにちは、埼玉県の川越市にあります天台宗・最明寺の副住職をしております千田明寛です。この度、最明寺の襖にたくさんの妖怪たちがやって来ました。

襖絵を描いてくださったのは、同じ川越市在住のVisual Artist YOHAKUさん。インスタグラム(@yohaku_dope.jap.works)で可愛い妖怪の絵を描くことで話題になっているアーティストです。

暗い時代にアートで笑顔と元気を

なぜ、このような絵をお寺に描くことになったのかと言いますと、絵にしかり、音楽にしかり、アートというものは言葉や人種を超えて私たちに訴えかけてくるものがあります。それは勇気であったり、感動であったり、時には悲しみ等のネガティブな感情もあるかと思います。禅語に文字では真理を説くことは出来ないという意味の「不立文字」という言葉がありますが、それに通ずるものがあるかもしれません。暗いニュースばかりが続く中でアートを通じて、お寺に来てくれる人に笑顔を届けたい。そのような想いから今回のコラボがスタートしました。

昨今、日本人の寺院離れが進みここ50年で多くの寺院が消滅すると言われています。最明寺も例外ではなく、少しずつではありますが後継者が居ない人が墓じまいをするケースが増えております。私はいま寺院に必要なことの一つに、若い世代や女性達にお寺に、仏教に興味を持ってもらうことを日ごろから挙げております。子供はこれからの時代を担う宝です。そして、子供が集まるとお母様方の女性たちも集まってきます。お寺とは本来は人と人、そして人と社会を結ぶ役割を担っていました。お寺からアートを発信して日本を元気にしたいというのには、そのような思いも込められています。

お寺と地域のアーティスト

YOHAKUさんも元々仏教への関心が強く、小さい頃からお寺などに行くのが大好きだったそうです。自信のインスタグラムにもお釈迦様の絵などを投稿していたことで話題を呼んでいました。私のお寺は他にもアーティスト達と協力して仏教に纏わる様々な作品を作っております。

3年前に川越に出来た和ろうそく屋「haze」(http://haze.jp/)の和ろうそくアーティスト・戸田佳佑さんには供養のためのつちぼとけ様を50体作っていただきました。手作りのため一つ一つの表情が微妙に違い、何とも愛くるしいですよね。仏具屋で発注するのは簡単ですが、敢えて街の人と手を取り協力していくことが今後のお互いのためになると信じております。私はアーティストが自分の芸術を追及する姿と、私達僧侶が一心に仏道に邁進する姿は何処か通ずるものがあると思っています。実際に、YOHAKUさんと話していると心の中に仏道が生きているなぁと感じました。今回のYOHAKUさんも戸田さんからの紹介でした。川越では何かお寺で作品をつくってみたい人は最明寺へ行くというコミュニティが出来つつあります。

仏教と妖怪のご縁

なぜ、今回の絵に「和の妖怪」を選んだのかと言いますと、仏教と妖怪というのは実は意外と縁が深くて、室町時代に制作された妖怪たちの『百鬼夜行絵巻』の妖怪行列は仏教の舞楽法会を模していると言われています。そして、この絵が保存されているのは京都の真珠庵というお寺です。

また、日本で初めて妖怪学を研究したのは「妖怪博士」と呼ばれた井上円了。彼は浄土真宗のお寺の出身でした。その他にも仏教で悪人を地獄に連れていくとされる火車は、いつしか日本の妖怪として取り入れられた等、仏教と妖怪は通ずるところはたくさんあります。

ゲゲゲの鬼太郎の妖怪たちもオープニングではお墓から出てきますよね(笑)。妖怪って本来であれば子供に怖がられる存在のはずですが、この妖怪達は全然怖さがなくて寧ろこんな妖怪が居たら会ってみたいと思えるような魅力があります。今回は妖怪たちの百鬼夜行にお釈迦様と龍も参加しています。私をこれを見た時に、きっと他の人たちにもこの絵を通じて元気を与えられるのではないかと思いました。

お寺でアートを広げたい

日本は海外に比べてアートが不毛の国です。世の中には美しい作品を作り出せるアーティストがたくさん居るのに埋もれてしまっている。しかし、地域のコミュニティとして機能してきたお寺は人と社会を結ぶためのハブになれます。きっと、お寺を通して多くの人とアートを結びつけることもできるでしょう。お寺の広い敷地(キャンバス)をアートを通じて盛り上げていきたい。今はそんなことを考えています。

YOHAKUさんも元々、クラブのDJやHip Hopアーティストしても活躍していた方とのこと。お恥ずかしい話、お寺を通じなければ私は性格的に一生彼と出会うことはなかったと思います。こういう素敵な出会いも仏教を通じてもらうことが出来ました。仏縁ですね。有難いことです。

これを見たアーティストの皆様。音楽でも、絵でも、陶芸でも、書道でも、そこに仏教を感じることが出来れば何でもよいです。ぜひ、お寺を通じて何か面白いことをしませんか。皆様の力が必要です。お寺からアートを通じて、地域に日本に笑顔を届けましょう

彼岸寺

彼岸寺は、仏教とあなたのご縁を結ぶ、インターネット上のお寺です。 誰もが、一人ひとりの仏教をのびのびと語り、共有できる、そんなお寺です。