自我を持たないAI少女との会話を愉しむゲームアプリ「マーシフルガール」

はじめまして。私は原始仏教を題材としたスマートフォン向けアプリの開発をしているRhinocerosHornと申します。

2012年から活動を始め、これまでタイへの短期出家を題材にしたゲームアプリ「森の聖者」などを開発してきました。また、それらの活動がご縁となって、サンガ出版社の編集部の方々と一緒に「日めくりブッダの教え」というアプリの運営も行っております。

この度、2018年9月1日に原始仏教の教義を元に構成した「マーシフルガール」というゲームアプリの配信を開始しましたので、そのアプリの紹介をさせて頂きたく、この寄稿文を寄せています。

○「マーシフルガール」とは?

「マーシフルガール」とは、日本語で「慈しみ深い少女」という意味になります。本作は漫画のようにテキストと絵を見ながら、物語を愉しむというゲームアプリとなっておりまして、基本的には画面をタップするだけで、誰でも簡単に読み進めることができます。

物語は現代から約20年後の日本を舞台としておりまして、その世界では少子高齢化と労働人口の減少のため介護用アンドロイドが大ヒットしています。本作の主人公はその介護用アンドロイドのAIを長年開発してきた人物であり、画期的なAIのアルゴリズムを閃いた主人公は、なんと「覚りを開いたアンドロイド」(イラストの少女)を生み出してしまいます。

物語の大筋は、前半はこのアンドロイドの少女と原始仏教の教義について議論を交わし、後半では主人公の家族を巻き込んだヒューマンドラマが展開されるという構成となっております。

○物語の特徴

本作のコンセプトは、「AIが進化した末にアンドロイドが覚りを開いてしまう」というものでして、基本的にはギャグテイストの強いコミカルな物語となっております。

AIが人間のような知性や感情を持つことができるのか、あまつさえ覚りを開くことができるのか・・・といった部分に関しては、もちろんフィクションではあるのですが、AIに感情や情動を持たせるためには、人間の意識の仕組みを解明する必要があり、そのためには仏教の教義が大きなヒントになるのではないか、と考える人が増え始めている気はいたします(たとえば、ユヴァル・ノア・ハラリ氏は「ホモデウス」の中で、かなり詳細な考察を示しています)。

実は本作の物語も、スマナサーラ長老と前野隆司教授の対談動画を拝見し、その中で前野隆司教授が提唱している「受動意識仮説」という学説を知ったことがきっかけとなって生まれました。そこからまず前野隆司教授の著作を読み、関連する様々な著作に目を通して行く中で、物語の構想を練っていきました。

つまり、本作は仏教書以外にも様々な分野の書籍を参考にしながら書かれた物語であり、そうした様々な分野の知見を組み合わせながら、物語を構成しているという点が、本作の大きな特徴だと思います(また、出てくる専門用語は、アプリ内の「辞典」という機能にまとめられ、簡単な解説を読むこともできます)。

そして、物語の前半の部分では、主人公の男性はアンドロイドの少女から原始仏教の教義を教わることになります。

とはいえ、主人公の男性も少女の言葉を素直に聞き入れるわけではありません。むしろ、自身のことを少女の創造主であると感じている主人公は、少女に対して遠慮のない反論を開始します。そのように二人を対立させて描くことで、仏教の教義についてより深く広い議論を展開させるようにしています。

○後半の物語について

物語の前半では、そのような形で主人公とアンドロイドの少女による様々な議論が繰り広げられるのですが、後半からはうって変わって、主人公の家族を中心としたヒューマンドラマが展開されることになります。

後半の物語では、主人公の(育ての)母親に焦点が当てられ、闘病や介護、そして死とどう向き合うのかといった、かなりシリアスな物語が展開されることになります。

後半の物語を執筆するにあたっても、数多くの闘病記や闘病ブログ等を参考にさせて頂いたのですが、それらの書籍や記事と向き合うことは、私には苦しいことでした。それぐらい死や闘病といったことは向き合いたくない、目を逸していたい事柄であるということを痛感いたしました。

しかしながら、こうした誰もが将来経験する事柄を描くことには価値があると思い、物語を描く上ではなるべく目を逸らさないように、正面から描くようにしました。

また、本作にはゲームならではの特徴として、物語の所々に「選択肢」といったものが出現します。

他のメディアの物語であれば、主人公がどのような選択をしようとも、読者(あるいは視聴者)はただ傍観していることしかできませんが、ゲームの場合は、どのような選択を行うかを、プレイヤー自身に迫ることができるのです。

本作の物語は、選択肢を選んだ結果によって、物語の展開が大きく変化するものではありませんが、それでももし自分が当事者の立場であれば、どのような決断を下すのか・・・そういったことを考えてもらいたいと思い、重要な箇所では選択肢を入れるようにしています。

そういった場面では是非、主人公と一緒になって悩んで欲しいと思います。

○さいごに

宗教を題材にした物語を執筆するということは、大変勇気がいることです。私は昔から宗教文学が好きで、自分でもそうした物語を書くことに挑戦してみたいという気持ちがあったのですが、それでも物語を書きながら、「本当にこんな物語を書いても良いのだろうか」という懸念のようなものは常に感じておりました。

ただ、「覚りを開いたアンドロイドをギャグというアプローチで描く」ということは、お坊さんや学者さんには決してできないことだと思いましたし、そうした描き方をすることで、初めて表現したり、問いかけたりできることもあるかと思います。

本作の試みが、この記事をお読みの皆さまにも、有意義であると受け止めて頂けるのであれば、本当に嬉しく思います。

名称:「マーシフルガール
プラットフォーム:iOS、Android
価格:無料(アプリ内課金あり)
※動画広告を見るだけで、最後まで無料でお楽しみ頂けます。
言語:日本語
ダウンロード:AppStore  GooglePlay

彼岸寺

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