京都坊主BARの若杜知美さんより、4月8日に開催される「ブッダのうまれた日-花を感じる90分の演奏会」のご案内をご寄稿いただきました。
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桜をはじめとしたさまざまな植物が美しい花を咲かせ
すべての命がいきいきと輝きはじめる4月のはじまり。
世界は生まれたばかりの純粋な清らかさに満ちています。
自然の草花やおひさまの光が
春のよろこびをあらわしているかのように映るこの季節は
わたしたち自身の内側にも
いのちが輝きはじめる巡りを感じることができます。
この春のみずみずしい華やかさに溢れる頃
ブッダの生まれた日を祝う’花まつり’は
この季節にふさわしい
とてもうつくしい行事です。
京都坊主BARの“BAR守”として
わたしは京都坊主BARという、浄土真宗本願寺派の住職が営むお店に毎日従事しています。「BAR」というと、お酒を飲む人にしか関係のない場所のように感じられますが、’お坊さん’がやっているということで、お酒が飲めない方やはじめてBARに来られる方もいらっしゃいます。わたし自身ももともとお酒をそれほど飲むわけではありません。
「BAR」というのは、CAFEでもRESTAURANTでもなく、他にはない特別な空間のように思います。一日の活動の時間から休息の時間へと移行するとき、日常と非日常の境い目のような場所に身を置き、自分のための時間を作ってあげること。それは森の中に入って深く呼吸をするような肩の力が抜ける時間であり、そんな時間をたくさんの人に味わっていただけたらという思いを持ちながら、毎日ここに立っています。
お店に来てくださった方々から「坊守さん(お寺を守る人。住職の奥さんをあらわす呼び方)ですか?」という質問を受けることもしばしばで、その都度、「いえ。BAR守です 笑。」と冗談まじりにお返事しているのですが、そんな咄嗟に生まれた表現も、あながちただの言葉遊びでもないなと最近思っています。なにしろ基本的に二人で運営している小さなお店です。お店でお客様のお話を聴かせていただいたり、お飲み物などを提供する以外に、どのようにすればこの場を心地よく感じていただけるかを考えながら、お店の顔であるマスターの仕事を補完するような形で空間や場を守っていく仕事という意味では、それを言い表せているのかなと思ったりしています。
僧侶の方ですか?という質問もよく受けますが、わたしは得度はしておりませんし、もともとは仏教が特別に好きであったわけでも、仏教系の学校に通ったこともない人生です。そんなわたしですが、仏教という世界に触れさせていただき、’花まつり’という行事をとても大切に思っています。
ブッダが生まれたのはうつくしい花園だった
万物が一年の巡りを終えてあたらしくはじまりゆく季節。
ブッダが生まれた場所は、一面のうつくしい花園であったと伝えられています。
ブッダの生まれた日を祝う花まつり。
わたしたちひとりひとりの内側にも
命の本質であるブッダが存在しています。
その命の種へと感謝をして水をやり、自分で愛を手向けていくことから、わたしたち自身にもあたらしい巡りがはじまっていきます。
仏教やブッダというと、普段馴染みのない方には自分とはかけ離れているように感じられる人もいるかもしれませんが、それはわたしたちの内側に絶えず流れている自然の巡りそのものです。
ブッダの誕生日を祝うことは、同時にひとりひとりの内に宿る英知と美しさを自分自身で慈しむことでもあるのだと思います。
毎日が忙しく外側の問題を解決していくことに頑張って過ごしているときなどは、その大切な種が自分の中にあることすら忘れてしまいがちになるのかもしれません。春のあたたかなおひさまに誘われて外に出掛け、桜や花々を愛でながら、お気に入りの写真を撮る人も多いのではないでしょうか?それとおなじように、ほんの少し立ち止まり、いつも寄り添ってくれている自分の内に息づく命の流れへと静かに手を合わせてみる。そして新鮮な空気を体の中に取り込むように、真っさらな気持ちであらたな巡りを生きはじめることは、今自分がいるこの場所でできる花まつりです。
ブッダのうまれた日-花を感じる90分の演奏会
4月8日、京都坊主BARではこの「ブッダのうまれた日」を一年に一度の大切な催しとして演奏会をおこないます。
ブッダが生まれた花園を見立てた花御堂。この日は店内を美しい花々に包まれるようにしつらえて、生き生きとした植物の香りに満たされながらの古楽の演奏会です。お寺に美しく祀られた花御堂の中に安置された誕生仏は、わたしたちそのものです。
古楽は文字通り、古い時代の音楽で、楽器も自然に還る素材でつくられており、その響きはやさしくじんわりと身体の内側へと馴染みます。今回の演奏会は昨年より楽器が増え、ヴィオラ・ダ・ガンバ、チェンバロ、リコーダー、ファゴットの編成で行いますので、さらなる豊かな音の重なりをお愉しみいただけることと思います。曲目はお花にまつわる音楽や仏教讃歌をはじめ、古楽の時代のルネサンスやバロック音楽などを中心に演奏します。仏教讃歌は明治期に西洋音楽の書法を取り入れて作曲された仏教音楽で、キリスト教の讃美歌のように美しく落ち着きをもたらしてくれます。楽器と楽曲の持つそれぞれのやさしさが重なり合う音はとても心地よいものです。
甘露の雨のように、甘くやさしい古楽の音色にたゆたうような時間に身をゆだね、ご自身の花まつりを感じていただく90分をお過ごしいただければと思っています。この日は一年に一度だけ、このお店の空間でのマスターのご法話をさせていただきます。
春のあたらしい巡りの内なる命のはじまりに。
この日の特別なお飲み物として、ワインやウイスキーなどをはじめ、ハーブを使ったお飲み物もご用意しております。演奏のあとには、無農薬で丁寧につくられた甘茶をお召しあがりいただきます。
豊かな自然の恵みを五感で味わいながら、自分自身のいのちの巡りをやさしく慈しむ日曜日をお過ごしいただければうれしいです。
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「ブッダのうまれた日-花を感じる90分の演奏会」公演情報
日時 | 2018年4月8日(日) 1ST STAGE 17:00開演 2ND STAGE 19:30開演 *開場は開演30分前 *各ステージで演奏と住職のお話の内容が異なります *途中休憩があります *両ステージお申し込みの場合は参加費が合わせて6500円となります。 お飲みものはそれぞれのステージで1ドリンクお召し上がりいただけます。 お席の都合がございますので、お申し込み時にお伝え願います |
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会場 | 京都坊主BAR( 京都市中京区油小路錦上がる東側 ) |
出演者 | =演奏= ::ensemblekreanto(アンサンブルクレアント):: 中川 日出鷹(fagoto/ファゴット) 京都市立芸術大学卒業。パリ地方音楽院、フランクフルト音楽大学 大学院、アンサンブル・モデルン・アカデミーのそれぞれを修了。 国内外の音楽大学でのレクチャーや作品委嘱等、現代音楽に力を注ぐ。 2015年京都・2017年東京でのリサイタルはサントリー芸術財団の推薦 コンサートに選ばれる。2013年、ルッツェルン音楽祭アンサンブルメンバー として演奏する。2014年、京都市芸術文化特別奨励賞受賞、明治安田 クオリティオブライフ文化財団海外音楽研修生。アマービレフィルハーモニー 管弦楽団団員。関西室内楽協会会員。 . 福盛 邦彦(bekfluto/リコーダー) リコーダーを秋山滋、クラリネットを長門由華の各氏に師事。主として リコーダーでの演奏活動を行いながら、クラリネットをはじめとした 様々な楽器を用いた演奏を行う。また、演奏活動の傍ら楽譜の浄書・ 作成、楽曲の編曲などの活動も行う。ガナッシュ・リコーダー・アンサンブル、 木管アンサンブル ヒアデス、RTG-Gambalde Trio、各メンバー。 長堀リコーダー教室、NHK文化センター 守口教室、新響楽器 箕面センター/ 武庫之荘センター、ハセガワ楽器 川西第一センター、各リコーダー講師。 . 西谷 玲子(klaviceno/チェンバロ) 京都市生まれ。京都市立堀川音楽高校音楽(現京都市立堀川音楽学校)を 経て京都市立芸術大学音楽学部ピアノ専攻卒業。京都市新人芸術家選奨を 授与される。OBG、KBS等のラジオ音楽番組パーソナリティーの経験により 持ち前の音楽的好奇心に磨きをかけ現在に至る。こども向きのトークコンサート、 室内楽のピアノ、バロックスタイルのアンサンブルクレアントのチェンバロ奏者と して活動。現在、京都音楽院講師。全日本ピアノ指導者協会正会員。 . 中野 潔子(gambovjolo/ヴィオラ・ダ・ガンバ) 大阪音楽大学学理科卒業、同大学院修了(音楽学)。ヴィオラ・ダ・ガンバを 坂本利文氏に師事。ガンバコンソートや様々な楽器とのアンサンブル、ソロなどで 各地の音楽祭やコンサートに出演。また身近に音楽を楽しんでもらうという趣旨で 様々なアーティストを招き、茅葺民家などで「美山茅葺音楽祭」を開催。 京都音楽院講師。アンサンブルクレアント、Le tissage 各メンバー。 . =おはなし= 羽田 高秀 京都坊主BAR店主/浄土真宗本願寺派光恩寺住職 . =イラスト= ダイモン ナオ |
参加費 | 3500 円 ( ワンドリンク付き )/通し参加 6500円 |
申込方法 | 1.bozu@bozu-bar.jpへお申込メールもしくは店頭にて直接受付 その際に(1)参加者のお名前 (2)参加人数 (3)メールアドレス (4)当日ご連絡が取れるお電話番号 (5)希望公演時間 をお知らせください2.会費を店頭で直接お支払い、もしくは下記までお振込みください ▼振込先情報 【金融機関名】ジャパンネット銀行 【支店名】すずめ支店 【口座種別】普通 【口座番号】3074558 【口座名義】チャクラネット(カ※ご入金いただくまでは仮予約となり、ご入金をいただいて本予約完了となります。 仮予約中は、後からのお申込の方でも入金済みの方を優先させていただきます。 開催日7日前以降のキャンセルは返金できませんのでご了承ください。 |
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若杜 知美(わかもり ともみ)
京都坊主BARに従事。ソムリエ。
BAR守としての仕事以外に、アーユルヴェーダにもとづくセラピー的なヨガクラス、星の巡りを感じる講座やライティングなどを行なっており、心と体の両面から、ひとりひとりがのびのびとした本来の自分へと近づくためのサポートをすることをライフワークとしている。また、“一本のワインには造り手の人生とそれを育む自然が詰まっている”というコンセプトで、「FEEL in the BOTTLE」というイベントや、salon 「ワインと月を巡る旅 Life in nature」を開催。
連載「ワインと星と12ヶ月」
http://niwa-magazine.com/listen/wine-star-13/