【一寺に一冊】開いてビックリ!仕掛けに感動!『ポップアップ絵本 おしゃかさま』

お釈迦さまのご生涯を描いた絵本はたくさんありますが、今回はその中でもとびきりの異彩を放つ一冊をご紹介します。その名も『ポップアップ絵本 おしゃかさま』。

以前、西本願寺で開催されたお坊さんの大博覧会「ごえんさんエキスポ」のレポートでも、この『ポップアップ絵本 おしゃかさま』の読み聞かせが行われたことをお伝えいたしましたが、そのあまりに精巧に作られた仕掛けに、私も大いに感動させられました。とにかくこの絵本、ものすごいんです!!!

まず目をみはるのが、その美しく細やかに描かれたイラスト。多くの飛び出す絵本では、立体的に飛び出した部分の裏側には何も描かれていない白地の状態であることがほとんどです。しかしこの本では、パッと目の行かないであろう立体部分の裏側にまで、しっかりとイラストが描き切られています。

そしてさらに驚かされるのが、その仕掛けの工夫の多様さです。お釈迦さまのご生涯には数々のエピソードがありますが、この絵本ではその中でも特に意義深い「お誕生」、「四門出遊(しもんしゅつゆう)」、「降魔成道(ごうまじょうどう)」、「説法の旅」、「涅槃」の5つの物語が描かれています。それら一つ一つのシーンに応じて仕掛けが異なっており、わずか10ページという構成ながらも、お釈迦さまのご生涯が実に見事に表現されています。

「ごえんさんエキスポ」、メリシャカブースでの読み聞かせの様子。

 

その中でも特に印象的で、この絵本でハイライトとなるのは、やはり「降魔成道」のシーンです。見開きわずか2ページで、お釈迦さまが悪魔を降伏させ、今まさにお悟りを開かれる瞬間が、飛び出す絵本ならではの表現方法でありありと描かれる様は必見です。お釈迦さまが悟りをひらかれたという感動と、その表現の工夫への感動が相まって、この場面を見るだけでもこの絵本を手にする価値があると言っても過言ではありません。

そんな『ポップアップ絵本 おしゃかさま』ですが、絵本の作者、諸橋精光さんはなんと真言宗のお坊さん。僧侶でありながら、数々の絵本や紙芝居を描かれ、仏典のエピソードからも絵本を作られているという驚きの経歴の持ち主です。さらに仕掛けを担当されたのは、ペーパーエンジニア・立体絵本製作者のさくらいひろしさん。実に多彩な仕掛けを作り上げる立体絵本クリエイターとして知られています。

そんな仏教絵本と立体絵本のエキスパートとも言えるお二人がコンビを組んだ渾身の力作。お釈迦さまのご誕生をお祝いする「花まつり」で子どもたちとお釈迦さまの物語を一緒に楽しむのにも、最適の一冊となっております。

一寺に一冊、ぜひどうぞ!

【※ネタバレ注意】
本来なら、どのような仕掛けとなっているかは実物で見ていただきたいですし、新鮮な感動が欲しい方には全くオススメしないのですが、実物を見ることはなかなか難しいかもしれません。購入検討にあたって、もしどうしてもどんな中身になっているのか知りたい方は、こちらに動画もございますので、ご参考までに。
https://youtu.be/A6T6SuGOh9Q

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不思議なご縁で彼岸寺の代表を務めています。念仏推しのお坊さんです。