「お葬式をしないお寺」として知られる大阪・應典院。教育や福祉、そして芸術を横断する取り組みを続け、劇場寺院とも呼ばれる應典院を舞台に、2017年12月から2018年1月にかけて約一ヶ月間「コモンズフェスタ」が開催されます。
「コモンズフェスタ」とは
「コモンズ」は英語で共有の財産、「フェスタ」はイタリア語でお祭りを意味する言葉。互いの知恵や人脈を共有し、認識や発想をより豊かにすることを目指して1998年から開催されている、アートと社会活動のための総合芸術文化祭です。毎年テーマに即して、演劇や展示、ワークショップなど、ジャンルレスな様々な催しが應典院を舞台に繰り広げられます。
ここが気になる!「コモンズフェスタ2018」
実に様々な展示や体験、講演などが行われる「コモンズフェスタ」ですが、ここで彼岸寺ライターが気になるプログラムをピックアップしてみました!
●【1/5〜10】(circle) mgr allergen0024インスタレーション(展示)
ゲンロン新芸術校成果展 岩渕審査員賞受賞作家のmgr allergen0024(メグル アレルゲン)によるインスタレーション。展示の着想は、なんとお釈迦様の十大弟子のひとり、目連(もくれん)の母の死後のエピソードなのだとか。お盆の由来ともなった物語から、どのような作品が生み出されたのか、興味深いところです!
●【1/15】当事者研究スゴロク~おれは挫折王になる!~(ワークショップ)
「当事者研究スゴロク」は、観光家/コモンズ・デザイナーの陸奥賢(むつさとし)さんが企画した参加交流型のソーシャル・ゲーム。失敗・挫折・苦労エピソードを話して、その「衝撃レベル」をみんなで評価してコマを進めていくという、なんとも不思議なゲーム。挫折や苦労が大きいほどコマをたくさん進めることができるため、自然とより衝撃の失敗・挫折・苦労エピソードが語られ、さらにそれらの体験が相対化されることによって心のリハビリにもつながっていくという、奥の深いゲームとなっています。
●【1/16】仏笑い(ぶつわらい)~仏の顔、何度でも作れます~(ワークショップ)
お正月に遊ばれる日本の伝統的な「遊び」の一つである「福笑い」。そんな「福笑い」を仏さま(阿弥陀仏)のお顔でやっちゃおう!というのがこの「仏笑い」です。阿弥陀さまの顔のパーツにはそれぞれ仏教の教えが表されているもので、遊びながらも仏教に触れることができるという画期的な福笑いなのだとか!
●【1/17】まわしよみ新聞~新聞メディアの新しい可能性を探る~(ワークショップ)
應典院コモンズフェスタ発祥の「まわしよみ新聞」。ネットの情報と違い、自分の興味関心のない分野の情報にも触れることができ、みんなで「まわしよみ」することが可能なメディアである「新聞」。そんな新聞を実際にみんなで読んでみて、面白い記事を共有し合い、新聞を再構築してみようというのがこの「まわしよみ新聞」です。三省堂の高校国語教科書にも採用されたり、11月には日本における最高の教育賞とも言われる「読売教育賞」の最優秀賞を受賞するなど、今後の広がりも期待されているワークショップです!
●【1/17】馬について語り、遊び、食べる会(トークシンポジウム)
日本でも世界でも、人間の生活と密接に関わってきた動物「馬」。そんな「馬」について考え、語り、遊び、そして食べてしまうというトークシンポジウムが開催されます。知っているようで知らない「馬」の世界。どんな事が語られ、そしてどんな風に調理されるのか……最後には應典院主幹の秋田光軌導師によって、きちんと馬の供養も行われるそうです。
●【1/21】グリーフケアとしての伝統仏教(トークシンポジウム)
お寺やお坊さんがこれまで担ってきた、葬儀や葬送の場。悲嘆(グリーフ)の場としての意味を持つこれらの儀礼について、僧侶や臨床心理士など、様々な形で関わってきた方々が登壇し、伝統仏教の葬送儀礼や作法に込められたグリーフケアとしての想いや役割について問い直すシンポジウムとなりそうです。このシンポジウムの他にも、グリーフをテーマとしたプログラムがいくつか用意されているようなので、合わせてチェックしたいところです。
いかがでしたでしょうか?他にも演劇など様々な催しが企画されているようですので、興味ある方は一度こちらから情報にアクセスしていただければと思います。
また「コモンズフェスタ」の企画とは別になっていますが、12月25日に應典院恒例となっている音楽法要「自分感謝祭」があります。自分を供養するという年に一度の場。「コモンズフェスタ」の始まりとなる「如是我聞」と合わせてご参加いただくと、今年の締めくくりに相応しい時間となるかもしれませんね。
盛りだくさんの「コモンズフェスタ2018」。一つでも気になるものがあれば、ぜひぜひご参加くださいませ!
■應典院「コモンズフェスタ2018」
期 間 | 2017年12月24日〜2018年1月21日 |
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会 場 | 浄土宗應典院(大阪府大阪市天王寺区下寺町1-1-27) |
主 催 | 應典院寺町倶楽部 |
運 営 | 應典院寺町倶楽部コモンズフェスタ・ワーキングチーム |
協 力 | 浄土宗應典院 |
詳 細 | http://www.outenin.com/article/article-9839/ |
【全22プログラム】
・12/24(日)-25(月)如是我聞 vol.6〈トークシンポジウム〉
・1/5(金)-10(水)(circle)〈展示〉
・1/5(金)-14(日)Little Voice, Little Press〈冊子販売〉
・1/6(土)-8(月・祝)暮らしのクロニクル〈ワークショップ〉
・1/7(日)應典院を俯瞰する〈トーク〉
・1/10(水)詩の学校〈ワークショップ〉
・1/12(金)-14(日)花の栞〈演劇〉
・1/15(月)演劇シチュエーションカード「劇札」〈ワークショップ〉
・1/15(月)当事者研究スゴロク〈ワークショップ〉
・1/16(火)仏笑い(ぶつわらい)〈ワークショップ〉
・1/16(火)直観讀みブックマーカー〈ワークショップ〉
・1/16(火)シエルソル〈演劇・ダンス〉
・1/17(水)「からだ」と「こえ」で、「みんな」を感じよう〈ワークショップ〉
・1/17(水)まわしよみ新聞〈ワークショップ〉
・1/17(水)馬について語り、遊び、食べる会〈トークシンポジウム〉
・1/18(木)『大阪少女 昭和編』〈演劇・リーディング〉
・1/20(土)震災×記憶 23年目の阪神・淡路大震災〈ワークショップ・演劇・感想会〉
・1/21(日)グリーフの基礎知識講座〈トーク〉
・1/21(日)悲しみのための装置2018〈演劇〉
・1/21(日)グリーフカフェ〈カフェ〉
・1/21(日)グリーフケアとしての伝統仏教〈トークシンポジウム〉
・1/21(日)グリーフタイム〈ワークショップ〉