【お坊さんの自由研究】ロウソク vs 扇風機!一番消えにくいポジションはどこだ!?

毎日暑い日が続いていますね。さて、8月といえばお盆。実家に帰られて、一緒にお仏壇に手を合わせたり、お墓参りに行かれる方も多いことでしょう。

お坊さんたちにとっては、お盆のお参りで大忙しとなる時期ですが、この時期毎年話題になるのが扇風機問題。もはや「お坊さんあるある」のなかでも鉄板と言っても過言ではないほど、多くのお坊さんが扇風機でロウソクの火が消えてしまうという事態を経験していることと思います。

そんなロウソクと扇風機を巡る問題ですが、私も夏のお参りを回る中で、何度となくロウソクの火が消えてしまう場面に出くわしました。しかし、扇風機が回っていても、ロウソクの火が消えずにすんだ、ということもあるため、これはひょっとするとロウソクの火が消えにくい扇風機のポジションなどがあるのでは?と考え、この夏、それを実際に調べてみようと思い立ったわけです。まさに「お坊さんの自由研究」ということで、調べた結果をご紹介したいと思います!

【お坊さんの自由研究】
「ロウソクが消えにくい扇風機の設置方法について」

1)研究の動機 

夏の時期、お参りの途中、扇風機の風でロウソクの火が消えてしまうケースがよくある。しかし、必ず消えるわけでもないため、ロウソクの火が消えにくい扇風機の設置方法があるのではないかということから、この研究を行った。

2)研究のねらい

扇風機をつけた状態で、お仏壇のロウソクが最も消えにくい設置方法を探る。

3)研究の方法

お仏壇を前に僧侶が座った状態で、ロウソクに点燭する。

仏壇前の座布団を中心にし、0°(僧侶の真横)、30°後方、45°後方、60°後方、90°後方(真後ろ)のそれぞれの位置に扇風機を設置する(イメージ図参照)。僧侶と扇風機の距離は、1.5mと2mの2箇所。計10箇所から風を送り、ロウソクの炎の揺れ具合をはかる。

実験のイメージ図

さらに、それぞれの位置で風量(弱・中・強)も変え、また首振り状態、首を下向きにした状態でも調べ、なるべくロウソクの火が消えない扇風機の設置方法を探る。

4)用意するもの

仏壇:1基 ロウソク:5本 僧侶:1人 扇風機:1台 
分度器、メジャー、筆記用具、ライター、座布団
※ロウソクは和ロウソクではなく、洋ロウソクを使用。

5)測定結果

炎の揺れ具合を、次のような段階に分けて判断した。
1:かすかな揺れ
2:少しの揺れ
3:炎が横向きになるほど、幅広く揺れる状態
4:炎が大きくなって揺れる状態
5:炎が小さくなり、消えそうになる状態

また、涼しさが感じられない場合には「※」を付した

● 0°の位置(僧侶の真横)

扇風機が1.5m離れた状態では、風量の弱、中ともにさほど揺れないものの、強の状態では炎が激しく揺れたり、火が小さくなり消えそうになった。また首振り時の方が炎の揺れが大きくなった。下向き時は、どの風量でも揺れが小さくなった。

2mの位置では、1.5mの時よりも揺れが小さくなったが、弱風の首振りでは、涼しさを感じられなかった。


●僧侶の30°後方の位置

1.5mの位置では、弱風の状態から炎が激しく揺れ、強風では火が消えてしまった。また首振り、下向きでも、強風では火が消えてしまう。

〈30°・1.5m・強風で火が消える様子〉

2mの位置からは中、強の状態ではほとんど火が消えそうになり、下向き・強風の条件では火が消えた。また、弱風では首振りに加え下向きでも涼しさが感じられなかった。


●僧侶の45°後方の位置

1.5mの距離からは、弱風でも火が小さくなって消えかかり、中風、強風とも火が消えるケースがあった。首振り、下向きで緩和されたが、扇風機の高さやロウソクのコンディションによっては火が消える可能性も考えられた。

2mの距離からは、やはり弱風でも炎の揺れが起こり、中風でも首振りの状態で火が消え、強風ではどの条件でも火が消えてしまった。


●僧侶の60°後方の位置

1.5mの距離では、弱風で消えかけ、中、強風では火が消えた。首振りでも強風では消えてしまったものの、下向きにすることでかなり緩和されている。

2mの距離では、やはり強風では消えやすいものの、弱風では炎の揺れはかなり抑えられていた。ここでも下向きにすると、かなり風の影響が緩和されている。


●僧侶の90°後方の位置(真後ろ)

1.5mの場合、弱風ではかなり揺れが抑えられ、中風でもある程度は抑えられていた。しかしやはり強風では消えやすく、これまでかなり風の影響を抑えられた下向きでも炎が消えてしまった。

2mでも、弱風は揺れは抑えられたものの、中風、強風ともにかなりの揺れがあった。強風・下向きの条件では炎が消えてしまったことから、真後ろに扇風機を設置する場合、下向きにすることによって、風の影響を抑えることが難しいと推測される。


6)わかったこと

扇風機を設置する角度によって、ロウソクが受ける風の影響はかなり変わることがわかった。特に影響を受けやすかったのが、後方45°の位置で、中風でも消えるケースがあり、また後方60°でも、炎が消えやすいことがわかった。

それに対して真横に設置した際には、強風でも消えそうになることはあったものの、炎が消えてしまうことがなく、また中風でも他の位置よりも風の影響がないようだったため、扇風機を設置する場合には、僧侶の真横がベストポジションと言えるのではないだろうか。

また扇風機と僧侶の距離では、やはり遠く離した方が風の影響が少なくなるものの、条件によってはより強まるケースも見られ、また弱風ではかえって涼しさが感じられないケースもあるなど、遠く離せば良いというものでもなさそう。

風量に関しては、やはり強風ではほとんどの角度で消えてしまうことがわかった。中風でも条件によって消えやすい角度もあるので注意が必要。しかし、弱風では消えることがなかったので、ロウソクを消したくない場合には、弱風が良いと考えられる。

首振りと下向きの場合には、首振りによって、炎の揺れが大きくなるケースもあったため、あまりオススメはできない。しかし下向きにすると、一定程度、風の影響を抑える効果があることが言えそうだ。

8)結論

今回の実験で、僧侶の真横に扇風機を設置すると、ロウソクの火は最も影響を受けにくいということがわかった。また、扇風機の首をやや下向きにすることで、風の影響を少し抑えることができたので、僧侶の真横、首をやや下向きにして設置することが、最も火の消えにくい設置方法と考えられる。

また、扇風機は暑さをしのぐための道具であることも考えると、より近い距離で、さらに風量も強めの方が涼しさをより感じることができるため、〈真横・1.5m・中風・下向き〉という条件が、最も効率の良い、扇風機の設置方法と言えるのではないだろうか。

ただし、扇風機の高さや、仏壇の大きさ、ロウソク立ての置かれた位置(高さ)、また僧侶の体格などの条件によっても風の影響が変化する可能性もあり、この結果が必ずしも当てはまらないことも付け加えて、本研究を終えることとする。


いかがでしょうか?思った以上に、扇風機を置く位置によって、風の影響に変化がありました。そして、扇風機を真横に置くと、最も風の影響が少なそうですよね。

しかし、実際に真横に扇風機を置くと、お仏壇を収納する場所についている外扉や、お仏壇の扉が風によって動いてしまったり、僧侶の身体にぶつかってしまう、というケースもあったりします。もしそのような場合には、真後ろに置いて、少し風を弱めると良いかもしれません。

また、和ロウソクは洋ロウソクよりも消えにくいという利点があるのですが、和ロウソクを使う際の注意点としては、扇風機の風によって炎が強まり、燃焼速度が早くなることで、蝋が早く溶けてしまい、ロウソク立てから蝋がこぼれてしまうということがあります。またクーラーの風でも、同様のケースを経験したことがあるので、和ロウソクを使用される際にも、風には注意が必要です。

この夏のお盆。ぜひこの研究を参考にして、ロウソクの火を消すことなく、お参りいただければ幸いです!

日下 賢裕

不思議なご縁で彼岸寺の代表を務めています。念仏推しのお坊さんです。