そのままの自分を愛しましょう

連続テレビ小説「あまちゃん」は、多くの人に愛された番組です。主人公は、いつも前向きに目標に向かって突き進み、周囲の人は、主人公に背中を押されるように前向きになっていく。東日本大震災の復興というテーマも重ねられ、視聴者の心に元気を与えてくれました。

この番組は「アイドル」をキーワードとして展開していきました。でも、主人公の「アイドル」としてのあり方は、芸能界で活躍する魅力的な若い男の子・女の子という一般的なイメージからもっと大きなものへと変換させたのではないでしょうか。地元で、地元の人々との関係性に支えられ、生き生きと生きていく人といったように。しかし、誰もがこのような「アイドル」のあり方を目指さなければならないのではありません。

「仏説阿弥陀経」というお経には「青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光」とあります。自分自身の色で輝く、ということです。

たとえばバラの大輪、色とりどりの花畑に咲く花、私たちはそういう華やかなものに目がいきがちです。しかし、そういうものばかりに価値があるのではありません。仏壇の花に注目する人はあまりいません。しかし、金子みすゞさんは「仏壇」という詩の中で、仏壇の花のありように目を向けます。

家(うち)にやお庭はないけれど、
お仏壇にはいつだつて、
きれいな花が咲いてるの。
それでうち中あかるいの。

仏壇に飾られた花は、バラの大輪や色とりどりの花畑に咲く花とは違った、質素で地味な花なのでしょう。でも、みすゞさんは、その花を「きれい」で「それでうち中あかるいの。」と綴っています。自分の色で咲く花は、地味で質素でも、美しいのです。そして、周囲を明るくしてくれます。

自分の色とはどんな色なのでしょう。

落ち着いた青色に輝く人もいれば、明るく黄色に輝く人もいる。華やかに赤く輝く人もいれば、清楚に白く輝く人もいる。人は一人一人、この世に生きているということで、充分に存在価値があります。無理な背伸びをする必要はありません。自分を愛し、自分を認め、そして精一杯自分の色で輝きましょう。

阿弥陀如来という仏様は、「慈悲」の仏様です。どのような人にも必ず寄り添ってくださり、悲しいときには共に悲しんでくださいます。仏様は、一人一人の存在価値をきちんと認め、その人の人生を支えてくれる存在です。

そのことに気づいたとき、あなたはあまちゃんのように、自分の色に輝く自分を心から愛することができるでしょう。
●藤堂尚夫(とうどう たかお)さん プロフィール
福井県 真宗山元派 上西山正善寺 住職

一言自己紹介(現在携わっている活動など)
小さな寺の住職ですが、み仏の教えが少しでも皆様のもとに届くようにと願っております。自坊や近隣の寺院で、時折、法話をしています。hasunohaで悩みに仏教的視点からの回答を届けております。

彼岸寺

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