『月刊住職』だけじゃない? お寺の業界誌が面白い!

いま『月刊住職』が注目を集めていますが、お寺業界の専門誌はそれだけじゃありません。本当に数多くの専門誌・専門紙・冊子があります。その中からほんの僅かですが、今回は私の手元にあるものを中心に数冊紹介したいと思います。

そういう訳で浄土宗系に偏っています。他のお寺系専門誌を購読されている方は、ぜひ情報をお寄せくださいませ。

まずは定番中の定番、仏教ばかりでなく宗教全般の総合新聞からスタートしましょう。


■『中外日報』(中外日報社発行)

1897年創刊、117年の歴史を持つ老舗業界紙。週2回発行(昨年までは週3回発行)、12ページという情報量を誇り、ネットに引けをとらない速報性も確保しています。宗教界を取り巻く様々な問題や新しい動きを余すところなく伝えてくれます。仏教各宗派ごとのトピックや話題の人のインタビューなど、これだけで宗教界の大きな動きはほぼ押さえられるのではないでしょうか。

彼岸寺関係からも、映画についてのコラム「シネマ特別席」で大阪・應典院の秋田光彦さんと彼岸寺の松下弓月さんが連載中、「論・談」コーナーには松本紹圭さんと井出悦郎さんが登場しました。

▼ お寺が開く日本の将来(松本紹圭)
http://www.chugainippoh.co.jp/ronbun/2012/0821rondan.html

▼ お寺づくりに直結する「僧侶の人柄」―「誰が言うか」に大きな価値(井出悦郎)
http://www.chugainippoh.co.jp/ronbun/2014/0308rondan.html


■『浄土宗新聞』(浄土宗発行)

その名の通り、浄土宗が発行する新聞で、毎月1日発行。全国の浄土宗寺院に配布され、各寺院が申し込んでそれぞれの檀家宅へ直接配達されています。今月の6月号(No.568)は、4月29日に増上寺で開催された”世界最大級”のお寺フェスティバル「向源」が一面で紹介されています。他にも浄土宗檀信徒ならずとも興味深い話題が豊富です。檀信徒が経営するお店を紹介する「おだんか名店街」も注目です。

▼ 月刊 浄土宗新聞(浄土宗出版)
http://press.jodo.or.jp/news/


■『華頂』(知恩院発行)

浄土宗総本山知恩院の発行する月刊の教化冊子で、毎月1日発行。知恩院の行事予定・報告を中心としながらも、仏事Q&Aや漫画などグラフィカルに楽しめます。そして一番の見どころは、何と言っても4月号から始まった松島さんの連載「現代社会とお念仏」でしょう! 毎回反響が大きいそうですが、私は今月号の「苦しみを隠す社会」が一番ビビッときました。

▼ 知恩院機関誌『華頂』
http://www.chion-in.or.jp/02_sanpai/han/ote.html


■『本願寺新報』(浄土真宗本願寺派発行)

これは手元にないのですが、ケンユウさんがレポートしてくださっています。人気コンテンツ「みんなの法話」はネットでもご覧いただけますので、気になる方はまずはネットで確認してみてはいかがでしょうか。


■『花園』(臨済宗妙心寺派宗務本所強化センター発行)

彼岸寺で「坊主めくり 〜現代名僧図鑑〜」を連載中の杉本恭子さんが、2011年4月からエッセイ『お坊さんにご用心』を好評連載中です! カワイイ表紙がステキですね。


■『春秋』(春秋社発行)

宗教書を中心に思想、哲学、心理、文学評論、音楽、経済経営などの各部門の専門書の刊行を続ける春秋社のPR誌。彼岸寺で「禅僧の台所 〜オトナの精進料理〜」を連載中の吉村昇洋さんが、2014年1月から「マンガで読む仏教」を連載中です。


■ お寺御用達の通販カタログいろいろ

お寺には季節・行事に合わせて沢山の通販カタログが送られてきます。もちろん仏具・お寺グッズ専門のカタログで、なかなか面白い商品が目白押しです。ただ、どれも分厚くて重たいんですよね・・・。

以上、お寺業界誌の一端をご紹介させていただきましたが、いかがでしょうか? しかしこれは氷山の一角・・・お寺業界誌の世界は広大で奥深いもの。私も見たことも聞いたこともない専門誌が山ほどあることでしょう。カッコイイものやマニアックなものなど個性豊かですが、仏教を学ぶ入口として、あるいは日頃の信仰を確かにするものとして役立てていただければと思います。

※「これは外せない!」「こんなユニークなのがあるよ!」という方は、ぜひその見どころをお知らせください!

(桂浄薫)

1977年、奈良県天理市・善福寺の次男として誕生。ソニーを退職後、2007年に僧侶となる。2015年、善福寺第33世に晋山し、和文のお経をオススメ。2014年から、おてらおやつクラブ事務局長を務め、お寺の社会福祉活動にコミット。1男2女1猫の子育てに励む。趣味はランニングと奈良マラソン。音痴と滑舌が課題。