2015年より始まった、禅僧・薬師寺寛邦さんによる音楽プロジェクト「般若心経MUSIC」が、10年という節目を迎えます。
日本で最も親しまれていると言っても過言ではない「般若心経」に、現代の音楽のエッセンスを加えた「般若心経MUSIC」は、読経も音楽も超えた新たなアプローチとして、日本のみならず世界にも発信され、たくさんの感動を生み出してきました。
そんな「般若心経MUSIC」の10周年を記念したコンサート「Circle of Harmony」が、2026年5月22日(金)ヒューリックホール東京にて開催されます。
開催にあたり、薬師寺さんからのメッセージをいただきましたので、こちらでご紹介をさせていただきます。
「般若心経」― 自分に気づくための響き ―
日々を生きる中で、私たちは思っている以上に、自分の気持ちがわからないまま過ごしているのかもしれません。忙しさの中でやるべきことをこなしているうちに、本当は疲れているのに気づけない。 本当はつらいのに、それを認める前に飲み込んでしまう。 本当は不安なのに、平気なふりをして進んでしまう。
私自身も、そういうことが何度もありました。 僧侶として生き、音楽を続けてきた中で、いつも順風満帆だったわけではありません。 うまくいかないこと、思い通りにならないこと、不安や焦り、劣等感。 そうしたものに、その都度ぶつかってきました。
けれど最近、強く思うのです。
大切なのは、そうした感情をなくすことではなく、その感情を通して、自分に何が起きているのかを知ろうとすることなのではないか、と。
「どうしてこんなにイライラするのだろう」
「なんでそんなことを言われたのだろう」
そう問いかけたくなることは多いのですが、そこで少し問いを変えてみる。 「なんで?」ではなく、「何のために?」で考えてみるのです。
「何のために、この感情があるのかな」 「何のために、その言葉が自分に届いたのかな」
そう問い直してみると、感情はただの邪魔者ではなく、自分の深いところを教えてくれるサインのように思えてきます。 不安の奥には、大切にしたい思いが隠れているのかもしれない。 イライラの奥には、ずっと我慢してきた本音があるのかもしれない。
ただ、そうしたものを見つめるには、まず心と体が少し緩んでいることが大切です。 力が入りすぎていると、自分の本音は見えにくくなるからです。
そのための入り口として、私にとって般若心経はとても大きな存在です。
般若心経は、「空」という教えを通して、私たちの思い込みを静かにほどいてくれるお経だと感じています。
「こうでなければならない」 「ちゃんとしていなければならない」 「認められなければ価値がない」
そうした思い込みを、力ずくで否定するのではなく、少しずつゆるめていく。 私は、般若心経にはそんな力があると思っています。
けれど、ここではいったん意味から離れてみたいのです。
私は子どもの頃から、毎朝のように般若心経を唱えていました。 その頃は、意味などほとんどわかっていませんでした。 それでも、不思議と気持ちがよかったのです。 声に出していると、心が整っていくような感覚がありました。
般若心経には、意味として理解する以前に、音の響きとして人の内側に届く力がある。 私はそう感じています。
大人になると、私たちは何でも先に意味を理解しようとします。 もちろん、それはとても大切なことです。 けれど、考える前に感じることもまた、大切なのではないでしょうか。 響きを通して心と体が整い、そのあとで言葉の意味が少しずつ深まっていく。 そんな入り方があってもいいように思うのです。
だから私は、般若心経は「学ぶ」ものであると同時に、「気づく」ためのものでもあると感じています。
そして、もし般若心経がまず響きとして人の内側に届くものだとするなら、その入り口は読経だけでなく、音楽であってもよいのではないかと思うのです。
だから私は、般若心経を音楽として届けることにも意味があると信じています。
お経を音楽にすることに違和感を持つ方もおられるかもしれません。 けれど私の中では、宗教という言葉には身構えてしまう人でも、音からなら入っていけることがある。 教えとして聞く前に、響きとして受け取れることがある。 そこから「この言葉にはどんな意味があるのだろう」と関心が生まれるなら、それもまた尊いご縁の始まりだと思うのです。
これまで、般若心経を歌うことで、多くの方と出会ってきました。 仏教に親しみのある方だけでなく、これまでお経に触れたことのなかった方、海外の方、宗教を持たない方からも、たくさんの声をいただいてきました。 それは、般若心経が宗派や立場を超えて、人の心に触れる力を持っているからだと思います。
気がつけば、般若心経MUSICという活動を始めて10年が経ちました。
この10年を振り返ると、音楽は私にとって、何かを表現する手段であるだけでなく、感謝を返していく方法でもあったように思います。 自分の中に起こることを受け入れ、そこから感じたことを音にして、誰かに手渡していく。 その繰り返しの中で、人は少しずつ成長していけるのかもしれません。
般若心経を「読む」ことに親しんでいる方にも、 「聴く」ことから出会う方にも、 そのどちらにも開かれた形で、これからも祈りの響きを届けていきたいと思っています。
その響きが、誰かにとって自分を責める時間ではなく、 自分に気づき、そして自分に還る時間となりますように。
仏教の声明の持つ荘厳な美しさと、現代の音楽とのクロスオーバーを体験できるこちらのコンサート。薬師寺さんのこの10年の活動の集大成となる貴重なステージを、ぜひ多くの方にご参加をいただければと思います。

薬師寺寛邦 般若心経MUSIC 10周年記念コンサート
◆Circle of Harmony 東京公演
日時:2026年5月22日(金) 開場 17:00 / 開演 18:00
会場:ヒューリックホール東京
(〒100-0006 東京都千代田区有楽町2丁目5-1 有楽町マリオン11F)
主催:株式会社MUGENクリエイションズ
●チケット販売情報
発売開始:2026年3月5日(木)10:00~
各プレイガイドにて一般発売開始。
e+(イープラス)
https://eplus.jp/sf/detail/4489690001-P0030001
チケットぴあ(Pコード:260-825)
http://ticket.pia.jp/pia/event.ds?eventCd=2608250
ローソンチケット(Lコード:74056)
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Zen Dharani -禅仏教音楽集- 薬師寺寛邦 キッサコ
IROHA records

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