A.神社は神様の宗教、お寺は仏様の宗教です。
神社とお寺の違い、ということですが、神社は、日本の様々な神様をお祀りし、神様に対しての儀礼を行なう場であります。対してお寺は、仏様をご安置し、儀礼を行ない、自らのさとりを目指していく為の場であります。
これだけだと、なんだ、違うのは信仰の対象だけか、と思われるかもしれませんが、それが大きな違いなんです。
まず仏教は、インドでお釈迦様(ブッダ)が興された宗教であり、世の真理を明らかに見つめる中に、自らの抱える根本的苦悩を解決=「解脱」を目指す事を基本とする教えです。そして、神と人との関係を基軸として成り立つ一神教や多神教とは異なり、神に祈念するのではなく、どこまでもブッダの説かれた真理=「法(ダルマ)」を依り所とし、自己を見つめていく、という特徴があります。
対して神道は、古代国家の成立の過程で、国生みの神話や、原始的な民俗信仰・自然信仰とが結びついて自然発生的に生まれた宗教で、祖霊信仰や、アニミズム的な要素も強く、日本の農耕文化と深い関係を持つ宗教で、開祖となる人物がいないこと、多神教である事、神と人との関係を中心とし、教えよりも祭祀・儀礼を重視する、などの特徴があります。
と、仏教と神道はこのような違いがあるのですが、「神」と「仏」も全く違う存在です。神道における「神」は、自然や祖霊などの、人智を超えた力を神格化したものでありますが、「仏」と言うのは、真理を悟り、人の持つ根源的な苦を解決した者の事を指します。ですから、「神」に対する儀礼は、豊作などの利益を得、天災や病などの不利益を回避する為の意味合いが強いですが、「仏」を信仰するというのは、私自身が真実に目覚め、あらゆる苦悩を超越した「仏」の状態を目指す、という意味のあるものと言えます。
ですから、お寺と神社では、単に信仰の対象が違うだけでなく、宗教としての目的や意味も、全く違うものなんですね。