「正信偈」がオトクな理由

今回は、お経さんでもない「正信偈」を、エコ贔屓した理由。
それを、正々堂々、述べてみたいと思います。

ずばり、オトクだからです。
オトクな理由は2つ。それは…。

「正信偈」は、「スーパー・お守り」で、なおかつ「オールマイティ・お薬」だからです!

???

と、読んでおられる方の動揺が、こちらにも伝わって来たような気がしました。
ゴメンなさい。でも、私は大真面目なんです。

まず、「スーパー・お守り」について、説明させてくださいね。

普通のお守りは、交通安全、家内安全、合格祈願に、恋愛成就などなど。
自分にとって、都合の悪いコトを避け、都合の良いコトが来るようにお願いします。
けれども、残念なコトに、お守りを持っていても交通事故に遭う時は遭いますし、好きな人と、一緒になれるとは限りません。

それに対して、「スーパー・お守り」は、都合の悪いコトを避けてはくれません。ましてや、都合の良いコトを連れても来てくれません。そう、このお守りを持っていても、嫌なコト、辛いコト、苦しいコト。そんな人生の問題は、決して無くなりません。

でもね。
都合の悪いコトが起こっても、良いコトが来なくても、人生を、頂いたいのちを、喜べるようになる。

問題の多い人生を、その問題の中を、まるで大きな船で進むように、渡って行ける。そんな、不思議なお守りなんです!

と言っても、ちょっと、ピンと来ないですよね。
「人生とは重き荷物を背負って坂道を登るようなもの」。
これは、徳川家康さんが言ったとされる、有名な言葉です。

家康さんが言うような、下ろす事の出来ない荷物を、ムリヤリ下ろそうと努力するのではなく、
荷物を背負えること、重い荷物を背負って、坂道を上ることが、喜びに変わっちゃうんです。
それが、「スーパー・お守り」。

では、なぜ、そんな不思議なことが起こるのか?
実は、そのことについて書かれているのが、「正信偈」なんです。

でも…。

その「スーパー・お守り」って、本当なの?
実際に見る事が出来るお守りでさえ、持っていることによって安心は出来ても、正直、効力はあまり期待できないし…。
それを証拠に、お守りを買って受験に失敗したからって、訴える人っていないですもんね。
そこで、「オールマイティ・お薬」の登場です!

「正信偈」の内容は、「スーパー・お守り」ですが、そのはたらきは、「オールマイティ・お薬」なんです。

念のためにもう一度言いますが、私は大真面目です。

ところで、10年近いアメリカ暮らしの中で、お薬のお世話になることが何度かありました。
よくガイドブックなどには、現地でかかった病気には、現地のお薬が効く、と書かれていますが、私は違ったんです。日本で市販されている漢方薬が、いつも劇的に効いたんです。風邪かな?と思ったら、それを大量に飲むんですね、すると治る。
もちろん、アメリカで市販されている色々なお薬も試しましたが、私には、効かなかった。

風邪薬ひとつでも、色々な種類があります。
日本のお薬とアメリカのお薬は違いますし、日本のお薬だけをみても、新薬がどんどん開発されています。仮にタンスの奥から、ひいおじいちゃんが使っていたお薬が出て来たとしても、それは飲めません。
そう。場所を選び、時代を選び、人を選びます。
私に効いた風邪薬が、あなたに効くとは限りません。

けれども、「正信偈」は、「オールマイティ・お薬」。
つまり、場所も時代も人も、選ばずに効くんです。

実際のお守りとは違い、目で見ることも、触ることも出来ない「スーパー・お守り」。
そのお守りが、「オールマイティ・お薬」として、実際に、はたらきましたよ、効きましたよ、ということも「正信偈」には書かれているんです。

「スーパー・お守り」に出遇ったら、人生がどう変わったか?
そんな興味深い体験談がなんと7人分!

古くは1800年ほど前のインドの龍樹さんから、この「正信偈」を書いた親鸞さんの先輩の法然さんまで。時を超え、インド、中国、日本と国を超えて伝わり、はたらいたお話。と、言うより、ノンフィクションの記録。

そんな「スーパー・お守り」が、あるということ。そして、それに出遇えたこと。
それは「オールマイティ・お薬」だから、過去、多くの人たちにはたらき、そして、自分にも、今、はたらいていること。

すっごく嬉しい!
そんな親鸞さんの、感動と喜び。
それが、たった840文字にギュッと凝縮されている。

おまけに、体験談って言いましたけど、ただの自分の話じゃナイんです。
お経さんに裏打ちされた、お話。つまり、色々なお経さんの内容も「正信偈」には取り込まれているんです。

お釈迦さんが、どうしてこの世に出て来たのか?
そんなことも、書かれています。

ね、「正信偈」って、すっごくオトクでしょ。

 

 

真宗佛光寺派大行寺住職。 銀行員生活を経て2001年に渡米。ラジオパーソナリティを務める他、TVCM、ラジオCMなどに出演。また「サンフランシスコ写経の会」を主催する。 2010年、実家の寺の跡継ぎとなるため帰国。大行寺で始めた「写経の会」「法話会」には、全国から多くの参拝者が集まる。 講演会や寺院向け講習会の講師を務めるほか、テレビで芸能人の悩みに答えるなど、その活動は多岐にわたる。 『毎日新聞』で「英月の極楽シネマ」連載中。 著書『あなたがあなたのままで輝くための ほんの少しの心がけ』(日経BP社) 共著『小さな心から抜け出す お坊さんの1日1分説法』(永岡書店)