すっかり年末の恒例となりました、「シネマ法話」が今年もクリスマスイヴに開催されます。
シネマ法話とは、映画を通して仏法の教えを伝えるものです。今年は東京、奈良、広島から布教を研鑽する浄土真宗本願寺派の僧侶たちが自らの人生に響いた映画を通して、仏教の教え、親鸞聖人のお念仏の教えをお伝えします。
今回のシネマ法話で取り上げられるのは、アメリカ映画『アリスのままで』、ドイツ映画『善き人のためのソナタ』、イタリア映画『ライフイズビューティフル』、韓国映画『無垢なる証人』。どの映画もとても胸に深く響く映画です。
なぜ映画は私たちの胸に響くのか、それは時代ごとの社会が投影されたものだからではないでしょうか。また、映画には私たち一人一人が抱えている普遍的な苦しみや悩みが、物語、つまりフィクションとして描かれているのです。映画を見て私たちが笑ったり涙したり、自然と色々と考えたりするのは、物語、フィクションを通して、自然と自分の抱えている苦悩や問題に向き合っているからだと思います。
物語ということで思い出すことがあります。 ある時、「仏教で説かれる『極楽』や『浄土』は私たち人間が思い描いた物語、フィクションでしかないのではないですか?」という質問に出会ったことがあるのです。大切な方との死別を通して感じられたことか、ご自身が死を見つめる中で考えられたことかは私には分かりませんが、私たちにとってとても大切な問いです。
その方は「私は死んだら『しまい』だと思います。でもそう思ったら辛くてやりきれないので、人間が作り上げた世界が極楽や浄土だと思います。」とおっしゃいました。
その方の問いを伺いながら、私自身感じたことがあります。それは「死んだらしまい」というのもまた、私の思い描いた物語、フィクションだということです。なぜなら死んだらどうなるか人間には誰にも分からないからです。
しかし、私たちは先を思い描かずには生きておられないのです。本当は明日死を迎えるかもしれません。一瞬先のことも誰も分からないのです。 ですが、私たちは明日を思い描かずには生きておられません。そういう意味で人生そのものも、自分の思い描く物語、フィクションと言えるのではないでしょうか。そういう意味で私たちの人生は映画に似ていると思います。
仏教では、人間の思いやはからい、フィクションを越えたさとりの世界のことを「浄土」と説かれていきます。 その途方もないさとりの世界より、私たちをめあてとしてはたらきかける物語があると説かれます。 仏様のお話、法話を聞くということは、私たちが仏様のお心に出あい、私を包む物語を聞いているということです。
「シネマ法話」は映画を通して、そのような私を包む物語を聞いていくものです。
今回「シネマ法話」でお話する僧侶は、現代に向けていかに仏様の教えを取り次ぐか法話研鑽をしている僧侶たちです。全国各地で布教合宿や布教研修を行い、科学や哲学、漫画、音楽などさまざまな分野から仏さまの慈悲のお心や、限りないはたらきを伝えようと、すったもんだしながら全員で取り組んでいます。この「シネマ法話」もそのチャレンジの一つです。
そして今年も昨年に続いてライブ配信も行います!「銀座までは行けない……」という方はオンラインで、お越しになれる方は会場で、仏様のお心をぜひご一緒にお聴聞いたしましょう!
■シネマ法話~映画を通して、仏さまの教えを知る~
日 時:12月24日(金)14:00-16:00
(会場+ライブ配信、1週間の見逃し配信付き)
会 場:銀座SALON KOKOROアカデミー
(〒104-0061 東京都中央区銀座2丁目6-4 竹中銀座ビルディング5階)
受講料:1000円
ライブ配信のお申し込みは、12/22(水)までです。リンク先からお願いします。
https://tsukijihongwanji.force.com/ginzas…/s/KokoroAcademy
会場はお席がある限り、当日でもお申込みいただけます。
昨年のシネマ法話
「ゴッドファーザー」那須智雄
「あなたその川を渡らないで」田坂亜紀子
「その男ゾルバ」岡原弘和