お坊さんたちが普段首元に着けているお袈裟をご存知でしょうか。輪袈裟(畳袈裟・折五条)とも呼ばれる種類のお袈裟で、元々は「五条袈裟」という大きなお袈裟を、簡略化したもの。現在では、日常用として使用されている、お袈裟の一種です。
そんなお袈裟にもSDGs(エスディージーズ)の考えを、という思いのもと「浄土真宗本願寺派の浄土真宗本願寺派・福岡県北九州市小倉の寺院連合」と、京都の老舗法衣店「直七法衣店」さんとがコラボした「SDGs輪袈裟」が誕生しました。(一般の方が着用できる「式章」もあります!)
SDGsとお袈裟
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、貧困の克服から、ジェンダー平等、国家間の不平等の是正、そして持続可能な消費と生産の確保など、17の目標が掲げられています。
そんなSDGsとお坊さんたちが着けるお袈裟がどう繋がるのか?と思う方もおられるかもしれませんが、元々僧侶が着ける「袈裟」のルーツは、「糞掃衣(ふんぞうえ)」にあります。古来インドでは、捨てられた布を拾い集め、縫い合わせ、袈裟が作られていました。つまり、リサイクルの精神が、仏教には本来備わっていました。
そして今回作られたこの「SDGs輪袈裟」もその理念に立ち返り、SDGsの価値観に沿ったプロジェクトとして、小倉のお坊さんたちが企画をされました。実際に輪袈裟に使用される生地は、回収された衣料から高度な技術により再生したポリエステルを原料とした糸がヨコ糸として使用されています。
小倉織と直七法衣店
さらに今回輪袈裟に用いられるのは、豊前小倉藩(現在の福岡県北九州市)で江戸時代初期に生まれた「小倉織(こくらおり)」。袴や帯として織られてきた「小倉織」は、多用した経糸が色のリズムを生む、立体感あふれる「たて縞」が特長です。徳川家康も愛用したと言われ、丈夫でしなやかな質感の木綿布は、日本全国で珍重されていました。戦時下の昭和初期に一旦その技術は途絶えましたが、染織家「築城則子」氏が偶然に出会った小さな布の断片から、2年近くの試行錯誤を繰り返し、1984年に復元・再生。北九州の伝統技術を蘇らせました。
そんな伝統的な「小倉織」の技術と、現代の技術を用いて再生可能な糸を織物としたのは「小倉 縞縞(こくら しましま)」さん。SDGsの17の目標を表した17の色相を小倉織の特色である濃淡を用いて、美しい縞模様に織りあげられています。
その「小倉 縞縞」さんの作られた生地を使って、輪袈裟に仕立てるのが「直七法衣店」さん。「直七法衣店」さんも不殺生の繭(まゆ)である「アヒンサシルク」や、再生率の高い環境に優しい素材である 「ヘンプ」を使用した法衣、ジェンダーレスの法衣など、SDGsに積極的に取り組んでいるのだとか。
「直七大学」まなぶ宗教 オンライン
さらにさらに「直七法衣店」さんは「直七大学」というオンラインでの仏教や宗教の学びの場も提供されており、YouTubeでのお坊さんたちとのやり取りやお経の練習などをライブ配信されるなど、大変特徴的な活動もされている法衣店さんとしても現在注目されています。こちらもぜひチェックをいただければと思います!
・直七大学
https://naoshichi-kyoto.jp/manabu/
・直七法衣店さんの活動一覧リンク
https://linktr.ee/naoshichi
子どもたちの笑顔のために
さらに今回のプロジェクトでは、ただ身につけるだけでなく「着用することにより、SDGsの輪を世界中に広げ、子供たちの笑顔を増やしていきたい」という理念のもと、「SDGs輪袈裟」の売り上げの一部を、浄土真宗本願寺派の重点プロジェクト「子どもたちの笑顔のために募金」に寄付されるそうです。
「式章」一般の方が着用できる、お寺参りの必需品です
また、こちらの製品は、僧侶用のみならず、門徒(檀家)様が身につける「式章(しきしょう)」タイプもあり、今後は他宗派様の袈裟や、経本カバーや念珠入れなど各種小物も検討しているのだとか。
ぜひ多くの方に、このプロジェクトを知っていただき、SDGsの輪が広がればと思います!
■直七法衣店「SDGs袈裟」
https://naoshichi-kyoto.com/collections/sdgs/