聖徳太子「和」の心に出会える斑鳩の光景、僧侶が描く12分の映像体験 映画「三塔周景」YouTubeにて公開中

三塔の周り、季節が周る 
12分の短編に流れる悠久の時間

今年は「聖徳太子1400年御遠忌」となります。

奈良県斑鳩町には法隆寺をはじめ太子ゆかりの寺院がたくさん存在します。中でもひときわ目を引くのが「いかるが三塔」と呼ばれる三つの仏塔です。

「法隆寺五重塔」「法輪寺三重塔」「法起寺三重塔」

映画「三塔周景」は3つの仏塔の周りに広がる光景を2年に渡って記録、12分にまとめた映像詩です。

映画「三塔周景」の製作によせて

融通念佛宗浄念寺住職 映画監督 横田丈実

私は奈良県斑鳩町にある寺院に生まれました。幼い頃の記憶は祖父からお経など仏事の作法を習ったこと。どちらかと言うと父より祖父が率先して孫の教育に当たってくれたようです。祖父とは月に一度奈良市内にある映画館に足を運びました。息抜きの意味もあったんでしょうね。主に怪獣映画を楽しみました。その頃の体験が私を映画作りに向かわせたのかもしれません。

龍谷大学に進み仏教を学びながら、映画研究部に在籍し、更に映画に接近する日々を過ごしました。大学卒業後は本格的にお寺の仕事に関わることになったのですが、映画作りの道を諦めることはできませんでした。初めて映画を作った大学時代から30年余り、いまだに二足の草鞋を続けています。作品数も16本を数えることになりました。

新作「三塔周景」はカメラマンの横山健二氏と共に斑鳩の光景を2年に渡って記録しました。タイトルにある「三塔」は斑鳩に建つ3つの仏塔のことですが、なるべく塔を見上げる構図は避けるようにしました。仏塔や仏像は見上げることによって信仰心が湧くように作られています。しかし今回はあえて見上げることをせず、周りの風景に溶け込んだ場所よりの構図にこだわりました。人々の営みをそっと見守る仏塔、それが仏のおしえ、また聖徳太子のまなざしにも繋がる気がしました。

映画は夏よりはじまり、秋から冬に、春へと移ります。その後に夏のパートを少しだけ付け加えました。季節の周(めぐ)りを描きたかったのです。

よく満開の桜を前にして「来年もまた見ることができるかなあ」そう話される高齢者の方がおられます。その時の表情には寂しさと共にある種の安らぎが同居しているように思えます。命が尽きることの哀しさと、大いなる循環の中にある安らぎがあるからでしょうか。

作品を何度か観ていただけると感じてもらえるかもしれませんが、夏にはすでに秋の気配があり、秋にはすでに冬の気配があり、冬にはすでにと、重なり合うものがあります。それは「生」の中にすでに「死」が重なり、「死」の中に「生」があるといった感覚に近いかもしれません。

長々と語ってしまいましたが、映画「三塔周景」は余白の多い作品です。観てくださった方がそれぞれに解釈いただければ幸いです。

作品はYouTubeにて映像配信中です。
聖徳太子の「和」の心がひと時でも多く広がることを願っています。

◆映画「三塔周景」

撮  影:横山健二
音  楽:島田篤  
ピアノ:島田篤  
バイオリンⅠ:西村泳子  
バイオリンⅡ:稲冨友有子  
ビオラ:小間久子  
チェロ:大橋友子  
ギター:清野拓巳
レコーディング:沢村光(MAGIC BUS RECORDING STUDIO)
題  字:横田敬子
宣伝美術:サトリデザイン
監  督:横田丈実
YouTube:https://youtu.be/geLP2EJtJNM
作品詳細:http://yokotatakemi.com/works_16.html

◆監督 横田丈実 経歴
1966年奈良県斑鳩町に生まれる。龍谷大学文学部仏教学科卒業。
実家である融通念佛宗浄念寺で僧侶として暮らしつつ、映画製作を続けている。
「FISH BOX 魚箱」(1999)や「あかりの里」(2003)など作品は多岐にわたる。

彼岸寺

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