みんなで話してみんなで聞く。『オンライン話し合い法座』

はじめまして!藤井大樹と申します。広島市で活動している桜餅が大好きな浄土真宗の僧侶です。僧侶の傍ら、音楽療法士として高齢者施設などを訪れたり、音響や配信のお仕事もちょこっとしています。最近では音声SNS・clubhouseで「嫌なことを置いて帰る部屋」というのを細々と開催しています。 人と関わることに、とても興味がある人間です。

今回はそんな私が参加している「オンライン話し合い法座」についてご紹介します!


話し合い法座って?

そもそも【話し合い法座】ってなんでしょう?

教えを聞き、教えに聞く

宗教を味わうコツは、【わたしのこと・自分のこととして聞いてみる】ことです。

教えを聞くのと同時に、聞いたことを自分に問う。【いのちは尊い】という教えを聞いたら、「自分は【いのちは尊い】と本当に思ってるのかな?」と問う。

そんな、教えを聞き、教えに聞くというスタイルが宗教を味わうコツです。

教えを聞き、教えに聞き、そして語る

蓮如上人(れんにょ・しょうにん)は、そこに「語る」ということを加えてお勧めされます。

 仏法は一人居て悦ぶ法なり。一人居てさへたふときに、
  まして二人寄合はばいかほどありがたかるべき。
 仏法をばただ寄合ひ寄合ひ談合申せのよし仰せられ候ふなり。

教えを聞き、教えに聞き、そして一緒に語る。これが話し合い法座の原型です。

自分の言葉で、自分を語る場

話し合い法座の特徴は「一緒に語る」ことです。僧侶もそうでない人も、仏教に詳しい人もそうでない人も、みんなひっくるめての語り合い。

【わたしのこと・自分のこと】を大切にしながら、一般論でない自分の意見・思いを語っていただきます。つまり答えのない法座なのです!

具体的に大切にしていることは、
① 僧侶が一方的に話をするのではなく、みんなで聞いたことや分からないことを、日常生活の疑問や悩みを通して話し合い確認し合う。
② Q&Aではなく「聞く・話す」を繰り返しながら宗教的な教えに問う。
③ それぞれの違いを認め合いながら話し合うこと=聞き合うこと。
  時間を共有しながらその時の【であい】を深めていく。


オンライン ✕ 話し合い法座

コロナ禍以前の話し合い法座はリアルな場でのみ開催されてきました。それを2020年に「オンラインでやろうよ!」と立ち上げたのが、オンライン話し合い法座です!

開催するうえで、仲間たちと最も時間を割いて考えたのは、どうすればオンラインで安心・安全を担保しつつ、居心地の良い空間を用意できるか。そこで、話し合い法座を満喫してもらうために【場の約束】を提案しています。

場の約束① みんな同じ立場で。

全員が話をできるように場を整える係として、進行は僧侶が務めます。
質問の回答者でもなく、先生でもないので、〇〇さんと気軽に呼んでもらいます。

場の約束② 話し合い、聞き合い、自分を深めましょう。

話す時間と同じように、聞く時間も大切。話し合い法座は、良し悪しを決める場でありません。また全員が納得するような答えを出す場でもありません。話し合いを通して、ご自身を深める場です。

場の約束③ 話は置いて帰ります。

1番大事なことです。聞いたことや話したことはこの場に置いて帰ります。参加した感想や参加して気づいたことをSNSなどで発信するのは大丈夫ですが、個人情報や個人の尊厳に関わることを持って帰って拡散することは厳禁としています。


これまでの歩み

開催会場は「直七大学」さん。会場と言ってもオンライン上で、直七法衣店さんが宗教・宗派を超えた学びの場を2020年から用意してくださっています。そこの講座のひとつをお任せいただいています。

>>>「直七大学」さんについてはこちら
https://naoshichi-kyoto.com/collections/buddhist-interest

これまで、6回「オンライン話し合い法座」を行ってきました。毎回進行担当を替えて、場の約束を大事にしながらテーマに沿って話し合います。これまでの「オンライン話し合い法座」はこのような感じでした。

第一回 「わたしの幸せってなんだろう?」

初めてのオンライン話し合い法座。多くの人が求めている「幸せ」。自分が考えている幸せと他の人の幸せって何がどう違うのか話し合いました。「自分の価値観をチェックしてみる」そんな仏教的な時間でした。

第二回 「自分らしさってなんだろう?」

所属や年齢・仕事など、自分を「自分」としているものを再確認しながら、わたしたちの自尊感情を見つめる時間となりました。進行の武田さんの鋭い視点により、参加者からは「新しい気づきを得た!」との嬉しい声も。

第三回 「苦手な人 嫌いなひとのこと」

自分が苦手な人やもの・嫌いな人やものを書き出して、話し合いを深めていきました。「自分はどんな人でありたいか?」と自分のことをみんなと考え・自分のことを再発見していくような取り組みでした。

第四回 「私にとって大事なもの」

自分にとって大事なものが何であるかを振り返ってもらいました。お互いの大事なものは関係し合っているし、違うからこそ受け入れられた時には嬉しい。違いを受け入れ合う場の大切さをみんなで話し合いながら考えた時間でした。

第五回 「仏教的人づきあいのすすめ」

仏教は人づきあいについて、とても丁寧に考えてきた宗教です。わたしたちが悩んでいる色々な人づきあいについて話し合いながら、仏教的観点で深めていく。普段は考えることがないようなことを話し合い、改めて気づかされることの多かった場でした。

第六回 「孤独について」

第六回のテーマは「孤独について」。みんなと繋がっているけれど、本当に自分のことを理解してくれる人は、いない。誰もが抱える「孤独」をみんなで話し合いながら、理解し合うということ・共感ということなどを考える時間となりました。

参加者の感想

オンライン話し合い法座は毎回バラバラに班分けされ、話し合うメンバーはいつも違います。そんなドキドキの場の感想を聞かせてもらっています。

穏やかにお迎えくださるのが、とても心地よいです。せっつかれず、何を話してもよくて安心していられる場だなあと感じています。

人見知りで口下手な私には、少ない人数での話し合いはありがたかったです。担当の僧侶の方も優しい感じで見守ってくださったので、ビクビクしなくてすみました。

他の人の言葉は勿論、自分の口から出る言葉も自分に返ってきて、勉強になりました。元気がなかった人が少し元気になっていったような気がしています。
人は吐き出す事によって、一つ進めるのだと思います。

次回予告!

そんなオンライン話し合い法座。次回の開催が決まっています。

テーマは「コロナと私」。2020年からのコロナ禍を、一度振り返ってみようという試みです。進行は唐溪悦子(からたに・えつこ)さん。彼女の感性から紡ぎ出される言葉を案内役に、私の心を見つめていく時間です。初めてのかたも、ぜひぜひご参加ください!

彼岸寺は、仏教とあなたのご縁を結ぶ、インターネット上のお寺です。 誰もが、一人ひとりの仏教をのびのびと語り、共有できる、そんなお寺です。