父親になりました

6月11日。世間がWWDCでのAppleの最新の動向に沸き立っていた頃。私はそれどころではありませんでした。6月10日の深夜に妻が破水し、直ぐに病院へ。予定日よりも一週間以上早く、私は焦るばかり。幸い当直に産婦人科の先生がおられたので診察していただき、出産は11日の朝からということになりました。
11日の朝、思ったより早く陣痛が進んでいることもあり、私が病院についた8時ころにはもう出産の準備が始まっていました。出産に立ち会うということはしませんでしたが、看護師さんに「おめでとうございます」と声をかけられるまでの時間は本当に長く感じられ、世のお父さんたちが感じたであろう「いざという時なにも出来ない」という無力感をこれでもかと感じながら、妻と子の無事を願うばかりでした。
9時45分。この世に一人の男の子が産まれました。きっと、どこにでもいるであろう男の子の一人です。でも、私にとっては我が子。「我が」なんて、執着以外のなにものでもありませんが、まだ目も満足に開けられない小さな顔と、精一杯あげる産声、そして小さいながらもしっかりと私の指を握ろうとするその手を見ていると、本当に涙が溢れるような感動と共に、私はこの子の父親としてしっかりと守り育てていかなければならないという思いがふつふつと湧き上がって来ました。この子のことで私はこれまで以上に執着を強め、苦悩を深めるかもしれません。しかしきっとこの子は、私の両親がこの私にどれだけのことをしてくれたのかや、「慈悲」の心を教えてくれることだと思います。
これからこの子の成長の中に、私も親として育てられる日々が始まります。共に仏さまに手を合わせ、お念仏させていただける日を楽しみにしながら、これまで以上に精進させていただきたいと思います。

不思議なご縁で彼岸寺の代表を務めています。念仏推しのお坊さんです。