彼岸寺をごらんのみなさん、はじめまして。
京都に住むライターの杉本と申します。
この町に住んでいると、毎日たくさんの人がお寺を見に来られます。有名な寺院では、アートとして見てもすばらしい庭や仏像、襖絵などを見ることができますし、少し町を離れた山にあるお寺の静謐さに、しばし忙しい日常を忘れるのもまた良いものです。
でも、「観光」では庭や建物、仏像など、お寺の「ハードウェア」にあたる外側の部分ばかりがクローズアップされているように思います。お寺という「場」の面白さは、お寺を預かる住職=お坊さんという「ソフトウェア(OS)」が、そのベクトルが大きく変化させるところにあります。たとえば「重要文化財の建築を後世に残したい」と保存に力を入れる方もあれば、「このお寺に来て多くの時間を過ごして欲しい」とイベントや法話に力を入れる方もあります。お寺の「現在」って、ほんとにお坊さん次第なんですよね。
観光でお寺を訪れることが「外側からお寺を眺める」ことだとしたら、お坊さんにお会いしてお話することは「内側からお寺を見る」ということだと思います。見るだけのお寺もいいけど、もう一歩踏み込んでお寺と縁を結んでみたくなった人たちに向けて、お寺の「現在」を伝えてみたいという思いから、今回この「彼岸寺」で連載のご縁をいただくことになりました。
インタビューでは、主に「お寺を開く」ということに取り組みながらお寺のあり方を模索し、俗世にいる私たちと向き合おうとされているお坊さんにお会いしていく予定です。記事を読んで「こんなお坊さん、会ってみたいな」と思われた場合は、イベントなどの機会にお寺を訪れていただければうれしいです。もしも「あのお寺のお坊さんにインタビューしてほしい」「うちのお寺にもインタビューに来てほしい」というようなリクエストがありましたら、ご一報いただければ幸いです。
「坊主めくり」というタイトルは、「お坊さんを通じたお寺紹介をしたい」という思いからつけさせていただきました。お坊さんを「めくる」なんて言い方をして叱られないかしらと、(実は)ドキドキしています。