自他共に認める食いしん坊、食べることが大好きです。そんな私ですが、実は三度の飯より好きなものがあります。それが、本。素敵な本と出会うと、正に寝食を忘れて読み込んでしまいます。さてさて、今回の嬉しいお声がけ。1冊に絞り込むなんて、できません!と、ワガママを言って、ちょっと多目にご紹介。先ずは、コノ本から。
『ジョイ・ラック・クラブ』(エィミ・タン著)
私が10年近く暮らした、サンフランシスコが舞台の小説。中国系移民の母と娘の物語です。どんな人も、そして私自身にも大きな背景があり、今のいのちをいただいているのだと実感させられます。多くの人たちの願いが繋がり、いただいた私のいのちは、私だけのものではないと知らされることで、自分もそして他人のいのちまでもが愛おしく感じられます。
この小説に影響されて、おもちゃの麻雀牌「ドンジャラ」をサンフランシスコまで持って行った私。いつか本格的な麻雀を覚え、本の登場人物たちのように優雅に点心をつまみながら、卓を囲むことが憧れです。って、話がそれました。次の本です!
『蒼穹の昴』(浅田次郎著)
貧しい少年が宦官となり、成功する物語。本当に大事なのは、結果ではなく経過。何を成し得たのか?ではなく、どう生きたのか。主人公が、自分自身のいのちと一生懸命に向き合う姿に、感動せずにはおられません。
何も持たない主人公の少年が、占い師の根拠のない言葉を拠り所として生きていくのですが、それが健気で…。でも、ふと気付かされるんですよね、私はどうか?って。私は何を拠り所としているのだろう。
さて、この本の著者、浅田次郎を始め、山本周五郎、池波正太郎、藤澤周平、この辺はキケンです。読み始めたら、止まらない、止められない。時代小説好きですが、まったく畑違いのA.J.クィネルやカミュ、山田詠美にハマった時期もありました。特定の作家やジャンルの本を読み漁る、マイブームが幾度となくあったことが思い出されます。そして今、ブームという言葉では終わらせられない、あるジャンルの本にどっぷりです。そう、それは仏教。これが、面白い!!
『親鸞聖人に学ぶ』(一楽真著)
「仏教に興味を持ったけど、何から読めばいい?」と聞かれて、真っ先におススメしたいのがコノ本です。まるで話しかけてくれているような優しい言葉遣いに、ページをめくる手が進みます。今さら聞けない「念仏」や、よく耳にするけどイマイチ分からない「本願」を始め、仏教のココが知りたい!というポイントが丁寧に書かれていてオトクです。って、損得の話じゃないですね。失礼しました。
『そのお悩み、親鸞さんが解決してくれます -英月流「和讃」のすすめ』(英月著)
どさくさに紛れて、自分の本を紹介!書き進めるうちに、私への救いに変わってきた本です。正確にいうと、仏教の教えに出遇う前の私です。何を拠り所にして生きていけばいいのか分からずに、溺れるような思いだったあの頃。そんな自分自身に届けとの思いで書いたこの本が、生きづらさを抱える人への呼びかけとなったら嬉しいです。
ちなみに、何を拠り所にして生きていくのか問題。先に紹介した『親鸞聖人に学ぶ』では、「浄土が本当の拠り所となる」と書かれています。え?どういうこと?浄土って死んでから行くところでしょ。生きている今、関われるの?と思われた方、本を手に取って読んで欲しい~。目からウロコだと思います。あれ?今まで自分が思っていた仏教と違うな、って。
そう!違うんです。仏教と聞いてイメージすることは、人それぞれ。けれども、仏教が宗教である以上、救いがあるのは当然。だから、悲しく辛く苦しい時、そんな地獄のような状態から助け出して欲しいと私たちは願います。何なら、地獄に落ちる原因にうっすら心当たりがあるような時でも、地獄に落ちませんように!と手を合わせる。
けれども、仏教の教えに出遇うことは、地獄に落ちずにすむ方法を知るとか、落ちない技を身に付けることではないのです。手を合わせて、その対価として、仏さまに救ってもらうことでもないのです。地獄に落ちたくない!と思っていた私が、地獄に落ちてもかまわない!という世界に出遇うのです。念のために言っておきますが、それは投げやりな気持ちからではありません。
え?地獄に落ちてもかまわないって、おまけに、それが救いになるってどういうこと?そう思いますよね。そんな目からウロコの仏教が、阿闍世という実在した人物を通して書かれているのが、『人間は何を求めているのか 阿闍世の生き方を通して考える』(一楽真著)。
これは紙の本ではなく電子書籍です。電子書籍と聞いて敬遠される方もおられますが、慣れると便利です。出版されている響流書房さんには、気になる仏教書がお手頃価格で多くあるので、是非サイトを覗いてみてください。
そして!彼岸寺メンバーも登場している『VS仏教 “ブッダの教え”は現代の悩みに勝てるのか!?』。日めくりカレンダー『スター坊主めくり 僧侶31人による仏教法語集』も、よろしくです。ちなみに大行寺の本堂に置いてあるカレンダーは、私が担当している8日のままです。
色々と紹介させていただきましたが、最後に前のめり気味に告知をさせてください。5月25日に幻冬舎さんから新しく本が出ます!タイトル未定。ただ今、最後の追い込みの真っただ中でございます~。