松本紹圭です。
初めて吉村さんとお会いしたのは、もう10年ほど前だと思います。永平寺で料理を作る「典座(てんぞ)」の役をしておられた経験をいろいろ伺って、同じ仏教でも宗派によってこんなに違うんだ!と驚いたのが、懐かしい思い出です。思えば私に、宗派を超えていろいろ活動しようという目を開かせてくださったお一人が、吉村さんだったかもしれません。
吉村さんといえば、精進料理だけでなく、心理学に、漫画に、写真に、守備範囲が広すぎていつも驚かされてきましたが、そんな中でもやはり典座寮出身のお坊さんとして、常に料理には真剣に取り組んでこられました。私はお会いするたびに、仏教の視点から食事のこと、作法のこと、いろんなことを教えていただきました。
今回出版された『週末 禅僧ごはん』は、多彩な吉村さんの魅力がいっぱいにつまった一冊です。昨年出版された前作『気にしなければ、ラクになる。』は、仏教と心理の専門家としての吉村さんが前面に出ていましたが、本作は典座僧としての吉村さんに出会えます。おいしそうなビジュアルもふんだんに出て来て、料理の苦手な私でも、チャレンジしてみたくなります。「精進料理」って堅苦しい響きもありますが、そんなに難しく考えず気軽にヘルシーな料理を作る知恵なんですね。
吉村さん、ますますのご活躍を楽しみにしています!
著者の吉村さんにお願いしたら、快くコメントを寄せてくださいましたので、以下にご紹介します。
彼岸寺で精進料理blog【禅僧の台所 〜オトナの精進料理〜】を連載しております、吉村昇洋と申します。この度、わたくし初のレシピ本『週末 禅僧ごはん』(主婦と生活社)を上梓致しましたので、ご挨拶させていただきます。
さて、今回の本がどのような本かということですが、彼岸寺で連載してきたレシピに加え、曹洞宗の機関誌『禅の友』で連載の「禅僧ごはん」のレシピ、そして新たに撮り下ろしたものを合わせた厳選60レシピを掲載しております。
といっても、ただの精進料理のレシピ本ではありません。そもそも一般的に精進料理というと、肉・魚介類・卵、そして五葷(ごくん:ネギ科ネギ属の食用食物一般)を使わない料理をイメージすると思いますが、それ自体はただの食材を限定した野菜料理でしかありません。さぁ、ここで問題です。こうした野菜料理を精進料理と呼ぶためには、決定的に必要なことがあるのですが、何だかお分かりになるでしょうか?
それは”精進”の語にヒントがあります。つまり「食べる人の主体的に仏道に励む行為」がなければ、精進料理と呼ぶことはできないのです。では、その行為とは何か。詳しくはこの本をご覧になって頂くとよいのですが、簡単にいうと禅の作法に則って食べることであり、それ以外にも日々の生活に禅仏教のスタイルを取り入れるということにほかなりません。
しかし、食事作法をはじめとする禅を取り入れた生活を、日常に取り入れるのはそう容易なことではありません。そこで、より実践をしやすくするために”週末”に限定してライフスタイルをデザインし、提案をさせていただきました。
あなたも週末に心身共にリニューアルし、気持ちよくウィークデイを迎えましょう!!