彼岸寺20周年おめでとうございます!
仏像を古典技法で製作販売する四国の工房、「よしだ造佛所」の吉田沙織です。
工房の移転と疫禍が重なりお休みしておりますが、彼岸寺「あなたにとって仏像とは?」というテーマでインタビュー記事を執筆しておりました。
思えば、彼岸寺とのご縁は7年前にダウンロードした坐禅アプリ「雲堂(Undo)」からでした。
坐禅は細く長く続けておりましたが、当時、妊娠・出産で外出が難しくなったことに加え、特に産後は体調やメンタルの波で数分も座れなくなりました。
「あぁ坐禅したいなぁ」と思っていたとき、たまたま「雲堂」に出会い、少しずつペースをつかむことができました。開発してくださった皆様、本当にありがとうございました。
アプリに親しむうち、作った人たちのことを知りたくなり、ネットで検索し彼岸寺にたどり着きました。オンラインのお寺!?と驚きつつ、オープンな雰囲気と真摯な志を感じ、たちまちファンになったのでした。
雲堂にお世話になったことから、何か私もお寺を盛り上げるお手伝いがしたいと、ライターとして申し出ました。
そしてもう一つ、ご縁が深まったことがありました。
毎年夫の故郷(石川県)に墓参に行くのですが、彼岸寺代表の日下師のお寺「恩榮寺」が滞在先の目と鼻の先にあったのです。気づいたその足でご挨拶に伺ったのも懐かしいです。その節はありがとうございました。
最後の記事から早3年が経ちました。疫禍の影響を受け、書きかけた記事も途中のまま……申し訳ありません。なんと、昨年は廃業を考えるまで行き詰まっておりました。
多くの寺院さまが感染予防のため、催事を縮小・延期・中止されましたね。
私たちの仕事も寺院さまと共にありますので、それまで話が進んでいた仏像製作・修理も立て続けに延期・中止となったのです。
幸い立て直すことができたので、今日は近況報告としてお話させてください。
工房経営者として「疫病さえなければ」と考えていたある日、「このような時だからこそ仏像を新造・再興しよう」と奮起される和尚さまのニュースを目にします。
そのお姿に、疫禍がこれまでの在り方を見直すきっかけをくれたのではないですか?と諭された気がしました。
すぐに、これまでご依頼いただいたお客さまに、手紙とアンケートをお送りしました。
御仏像をお納めした後のことを、明確な意図を持って尋ねたことがなかったのです。大変反省しました。
そして、これが転機になりました。
お客さまから、思いがけず新たな事業のアイデアをいただいたのです。
お客さまのお声を元に、既存の造仏・修理事業にアフターフォローを加え、新たに寺社専門の広報PR事業を立ち上げました。
今このページをご覧の皆さまに、何かしらのヒントになることがあるかもしれませんので、それぞれ説明いたします。
1.仏像安置後のアフターフォロー
お像にとって、工房から移動した直後はある意味ストレスが非常に大きいときです。
それまで過ごしていた環境と変わるためです。
ご安置先の環境に数ヶ月かけて近づけることもあるのですが、そのような準備が難しいケースがほとんどです。
にもかかわらず、傷みを予防するにはどこに気をつければ良いか、ほとんどの施主さまは当然ご存じありませんでした。
そこで、アフターフォローとして、1年間の経過観察と品質保証、10年後のコンディションチェックを実装しました。仏様の定期検診ですね。
お傷みをできるだけ遅らせるため、低コストでできる御安置環境の改善案などのアドバイスもさせていただきます。
2.寺社専門の広報PR代行
「メディアに知らせても取材に来てもらえない」
「認知を高めたいが、そこまで手が回らない」
という僧侶の皆さまのお声がきっかけで立ち上げた事業です。
PR(Public Relations)とは、業種にかかわらず、新聞やテレビに取材してもらい社会での認知を高め、信頼を獲得したり、継続的で良好な関係を作っていくための活動です。広告料を払って露出する広告とは異なります。
世代を超えて地域社会と関わる寺院さまにとって、社会とのより良い関係づくりにPRは有効であり、求められているのだと気付かされました。
私にとって最初のPRは、現在進行形の仁王像(まきでら長谷寺所蔵/高知県)の修理が始まった2020年でした。
当時は自己流のPRで、地元メディアに手紙を出し取材してもらいました。それを、寺院さまと檀家さまがとても喜んでくださったのです。
せっかくなら自己流ではなくプロに学ぼうと、PRプロフェッショナル協会主催「PR塾」の門をたたきました。https://pr-professional.jp/
当時の状況からすると本当に思い切った決断だったと思いますが、自己流ではわかりえなかった、プロの視点やノウハウを叩き込んでもらえました。
その甲斐あって、現在1リリースあたり毎回5〜8社の取材を獲得しています。
また、掲載・放送された日だけではなく、ニュースをSNSで拡散することで、露出を1〜3ヶ月持続することができ、非常に手応えを感じています。
PRの成果は、即効性のある広告とは違って長期的な目で見る必要がありますが、短期的にもお寺への参拝者が増加したり、檀家さんの士気が高まるなどの効果が見られました。
長期的な戦略が必要という点では、ある程度期間をいただき、寺院さまとやりとりする機会の多い仏像製作・修理とPRの組み合わせは、非常に相性が良いと感じます。
本サービスは以下の内容を、通常半年〜1年かけて丁寧に行います。
1) PRの方向性の決定・PR設計
2) テーマが合致するメディアを選定
2) 報道資料(プレスリリース)を作成
3) 各社へアプローチ
4) 取材当日の記者対応
5) 掲載・放送をSNSで拡散
6) 1)〜5)を改善を加えつつ継続
もしご興味がありましたら、お気軽にご連絡ください。
https://zoubutsu.com/contact-form/
さいごに
工房としては非常に苦しい3年でした。
でも、そのおかげで新しい事業が生まれ、寺院さまや御仏像との接点が増えました。
注文が突如白紙になり、廃業を考えて1ヶ月程だったでしょうか。無事に危機から脱することもできました。
彼岸寺20周年の節目に、こうしてご報告できることを、嬉しく思います。
苦しいときに、お寺で少し話すだけ・少し坐るだけでも、随分心が楽になる体験もし、改めて仏法を守り伝える皆さまの尊い日々に思いを馳せております。
Co-Buddhistとして、仏像製作工房として、御仏を荘厳するものでありたいという願いに加え、寺社専門PRプロデューサーとして、寺院と社会のより良い関係づくりに貢献することをミッションに掲げ、精進してまいります。
そして、「あなたにとって仏像とは?」。
いずれまた、「造佛所のえんがわ」で語り合える日が来ることを楽しみにしております。
お読みくださりありがとうございました。
余談ですが、趣味で続けていた龍笛で、雅楽奉納演奏の機会をいただくようになりました(撮影:田村紀子さん)。
仏教と雅楽は深い関わりを持ちますね。ぜひ雅楽でも、お寺を盛り上げていけたらと思っております!