念珠の直し方

数年前の「日日是好日」でも書きましたが、日々の法務でお念珠(数珠)を使っていると切れてしまうことがあります。これは念珠の珠と紐との摩擦で起こる現象なので、どうしても避けられないこと。ごく当たり前のことなので、縁起が悪いというわけではないにせよ、やはり少し残念な気持ちになります。皆さんも、そんな経験があるかもしれませんし、これから経験するかもしれません。

念珠・数珠にも宗派によっていろいろなタイプがあります。そのため一概には言えないのですが、浄土真宗で一般的によく使う単念珠という念珠はとてもシンプルな作りで、紐が切れても自分で直すことができます。もちろん、念珠屋さんがあれば、修理もしてもらえるのですが、自分で直すことができれば、また大切に使おうという気持ちにもなれますので、今回はその方法をご紹介したいと思います。

今回ご紹介するのは、単念珠の中でも、紐房(ひもふさ)と呼ばれるタイプの念珠です。まず準備するものとして、念珠の珠、そして紐2本。珠は切れた念珠のものをそのまま使いましょう。紐は、念珠屋さんで求めることができます。紐の長さは、一つは約1mほど、もう一本は、60cmほどの長さに切ります。(上の写真参照)

念珠の珠は、たくさんある主玉(おもだま)、一番大きい親玉が一つ、小さな小玉(二天玉)が二つ、そして親玉の下につけるボサのパーツからなっています。

まずは、この珠の配置を考えます。二天玉の位置が高くなるとなんとなくバランスが悪いので、中心、あるいはそれよりも少し下にくるように、主玉の数を調整します。

珠の配置が決まったら、珠に紐を通していきます。この紐を通す上で一番の問題が親玉。親玉の穴はTの形になっていて、そのままではとても通しにくい作りになっています。そこで用意するのが、針と糸と、ボンド。まずは針を使って、紐の先端を5mmほどほぐします。そして二つに分けて、片方を切り落とします。残った方にボンドをつけて細くなるほうに固めます。

これだけではまだT字の穴を通しにくいので、テグスを紐に結びます。そのテグスを親玉に通して引っ張れば、まずは片側が通りました。それから最初に決めた配置通りに主玉→二天玉→主玉→二天玉→主玉と通していきます。

そしてこの念珠づくりで一番の難所となるのが、再度親玉に通す作業です。すでに片側に紐が通っているので、もう一本をTの穴に通すのは至難の業。そこでいろいろな工夫をして通すのですが、私はテグスをまずまっすぐに穴に通して、そのテグスを、ゼムクリップを伸ばした物を使って、穴の中で引っ掛けて通す、という方法を使っています。そのテグスを慎重かつ大胆に引っ張れば……親玉に紐を通すことができるでしょう。

あとは親玉から出ている二本をボサに通します。ボサの穴も小さいので、テグスをそのまま使うと良いでしょう。うまくいかない場合は、二本の紐をテグスで縛って通したり、細く固めていない方の紐を、再度細く固めると通るはずです。

さあ、これで紐を通す作業が終わりました。次はこの残った紐の部分を編んでいく作業となります。まずは、もう一つ用意した紐を半分にします。そして念珠を通した紐でその折った部分をギュッと結びます。この時に、念珠の珠に緩みがないようにしっかりと結んでおきましょう。念珠は使っている内にどうしても緩んでしまいますが、最初くらいはカチッと締まった状態で使えると気持ちが良いものです。

二つの紐を結んだら、まずは一編み。念珠の側を上にして、紐を十文字になるようにします。どれか一本の紐を取り、どちらでもよいので、隣にある紐の上にかかるようにします。今度は紐がかかった上をぐるっと回すようにして、また隣の紐の上にかけます。同様に四本の紐を隣の紐の上にかけたら、最後の紐は、最初の紐と二本目の紐とで出来た輪に通します。そして四本の紐を引っ張ると、編み目ができます。この時この編み目をボサ側にギュッと引っ張ると、2本の紐を結んだ結び目を隠せてキレイに見えるようになります。

今度は念珠側を下にして編んでいきます。編み方は、最初の一編みと同じ。紐を十字にして、隣の紐にかけていき、最後の一本は、一本目の輪に通します。さて、ここから編み方が二通りあるのですが、そのまま同じ方向に編み続ければ丸編み、一回ごとに方向を変えると角編みになり、編みこみの形が少し変わります。今回はよりかっちりした印象の角編みをしてみましょう。先ほどの編んだ方向と、今度は逆方向に紐をかけていきます。編み終わったら、また逆方向に。最初が右回りであれば、右→左→右→左…と繰り返して編んでいきます。編んでいくと、写真のようになるかと思います。これを好みの長さになるまで繰り返せば、編みこみが完成です。


あとは、一番初めに編んだようにもう一度念珠側を上にして一度だけ編み、一番長い紐で、グルっと他の紐を束ねるように結びます。そして紐の先の長さを整えれば完成です!

とは言え、同じ単念珠でも、紐房のものだけではなく、丸い房や女性用ですとたくさんのフサフサがついたタイプのものもありますし、また浄土真宗以外の念珠・数珠も、それぞれ少しずつ違った特徴があるものですので、今回の方法だけでは直せないものもあります。そのような場合はやはりプロにお任せするのが良いでしょう。それでももし、家に切れた念珠や古い念珠があれば、一度この紐房の念珠に自分で直してみる、ということに挑戦するのも良いのではないでしょうか。

あるいは、念珠屋さんに行けば、珠と紐を別々に買い求めることもできますので、自分の好みの珠と、好きな色の紐を組み合わせて、自分だけのマイ念珠を作ってみる、というのもおすすめです。自分で作ったマイ念珠を持つことで、仏さまにお参りすることがより身近なものになるかもしれませんね。

日下 賢裕

不思議なご縁で彼岸寺の代表を務めています。念仏推しのお坊さんです。