A. 衣替えします。
お坊さんの衣に衣替えがあるのか、ということですが、あります。ちょっと他宗のことは定かではないですが、私が所属する浄土真宗本願寺派の服飾規定では、世間と同じように、6月1日に冬用の衣から、夏用に衣替えし、10月1日に、冬用の衣に衣替えをするように決められております。
具体的にどう変わるのか、と言う事ですが、その前に、大抵お坊さんは、3枚の衣類を着けています。一番肌に近いところから襦袢(じゅばん)、その上に白衣(はくえ)を着ます。この2枚は下着のようなもので、この上に、黒い衣や、色のついた法衣を着、そして、その上にお袈裟を着けます。
で、それぞれに、気候に応じて夏用と冬用があるわけですが、その大きな違いは、素材と、生地の厚さや織り方でしょうか。夏用の下着は、綿の、軽くて吸湿性の高いもので、冬用では、ウールが使われたりします。法衣に関しては、夏冬ともに、絹か化学繊維を用いてありますが、生地の厚みと、織り方が異なります。冬用の法衣はみっちりと織られていますが、夏用は、「絽(ろ)」と呼ばれるような、透け感のある風通しの良い織り方がされたものを着用します。
しかし、衣替えすると言ってもその程度で、洋服のように袖や丈の長さや形が変わったりすることはありません。ですから、よほど注意して見ないと、その違いはわからないかもしれませんね。