自由でびっくり! 英月スタイルの写経法

さて、お経さんを「写経」するとは、
どう言うコトなのでしょうか?

前回、お経さんを一文字一文字写すのは、
その大事な内容を、ひと口ひと口、ゆっくりと
咀嚼して行くのと似ていると言いました。

ゆっくりと食べ、ココロを満たしていく。

では、どうやって食べるのか?どうしたら、
より、栄養を吸収出来るのか?

突然ですが、今、これを読んでくださっている方は、
男性ですか? 女性ですか?
結婚していますか? 独身ですか?
経営者ですか? 雇われていますか?
子供がいますか? いませんか?
歳を重ねたと思いますか? 若いと思いますか?

今、並べた言葉は、見えない壁です。

例えばワタシなら、
女だから、僧侶だから、こんな歳だから…。
こうしなければいけない。こうあるべきだ。
こうしちゃイケナイ。等々。

見えない壁で自分を取り囲み、
時にはご丁寧に、蓋までしちゃっている時があるような気がします。
そして時に、それによって悩み苦しむ。

もちろん社会と言う枠組みの中で生きる以上、それらは必要です。
けれども必要以上の枠組みや蓋が、
悩みや苦しみの原因となっているのなら、
それを取り除いちゃうコトも、時には大事なコトかも知れません。

そうです!
英月スタイルの写経では、筆は使いません。

写経と聞いて先ず思い浮かべるのは、
筆、墨、半紙ではないでしょうか?
印刷技術の進んだ現代に行う写経です。
そんな枠の中に入れちゃうのは、モッタイナイ!

では、何で書くのか?
何で書いて頂いても結構です。
もちろん、筆で書いて頂いてもいいですが、
筆を使う時は注意が必要です。
なぜなら、ついついキレイな字で書こうと思ってしまうからです。

写経は書道教室ではありません。

字のキレイ云々よりも、内容にココロを向けて欲しいのです。
なので、筆以外をおススメします。

思い通りの字が書けないから、
キレイな字を書こうと思わなくなる、と言う点で、
割り箸や、小枝などはおススメです。
おまけに、楽しいです。

サンフランシスコで行っていた写経の会では、
スケッチブックにクレパスで絵を描いておられる方もいました。
お経さんの内容をご自身の中で咀嚼し、絵として表現されていたんです。

そう、頂き方、食べ方は自由です。

英月スタイルなんて言っちゃいましたが、
みなさんが、みなさんのスタイルで
お経さんと向き合って欲しいと思います。

お経さんと言う最高の素材を、
オコガマシクも、英月訳として訳させて頂き、
みなさんにお届けします。

あとは、みなさんが、みなさんのお好きなやり方で、召し上がるだけ。

次回は、どんなお経さんを英月訳として提供するのか?についてお話します。

photo: Noriko Shiota Slusser

真宗佛光寺派大行寺住職。 銀行員生活を経て2001年に渡米。ラジオパーソナリティを務める他、TVCM、ラジオCMなどに出演。また「サンフランシスコ写経の会」を主催する。 2010年、実家の寺の跡継ぎとなるため帰国。大行寺で始めた「写経の会」「法話会」には、全国から多くの参拝者が集まる。 講演会や寺院向け講習会の講師を務めるほか、テレビで芸能人の悩みに答えるなど、その活動は多岐にわたる。 『毎日新聞』で「英月の極楽シネマ」連載中。 著書『あなたがあなたのままで輝くための ほんの少しの心がけ』(日経BP社) 共著『小さな心から抜け出す お坊さんの1日1分説法』(永岡書店)