この度、仏教伝道協会ではインド国内で仏教と共存し、交流していた他宗教（隣人）について学びを深める連続講座「ブッダの隣人〜インドの宗教と仏教〜」を開講致します。
仏教伝道協会は、これまで「仏教初心者講座」や「世界の仏教」など、それぞれの仏教宗派や教えが伝わった地域などを切り口として、仏教の多様な姿を明らかにするための講座を開催して参りました。ただ、仏教教団は単独で存在していた訳では決してなく、他の宗教教団（隣人）と交流しながら共存してきました。今回の連続講座は、こうした隣人について学びながら、「隣人から見た仏教」について捉え直す試みとなります。
今回の連続講座では、インドを舞台に①バラモン教（仏教誕生以前）②ジャイナ教（仏教の誕生）③ゾロアスター教（大乗の興起）④イスラム教（仏教の衰亡）の四つの宗教を採り上げます。
・バラモン教【仏教誕生以前】
インドで最も古い宗教がバラモン教です。バラモン教は最古の聖典『リグ・ヴェーダ』に代表されるヴェーダ聖典を権威とする宗教で、司祭階級であるバラモンを中心に伝承されてきました。また、仏教が誕生する少し前に「ウパニシャッド」と呼ばれる、哲学的な思索が展開された文献を生み出しました。そこで語られる「業」や「輪廻」、あるいは「我（アートマン）」といった概念は、インドにおける宗教共通の課題となりました。バラモン教は、一方では様々な学派（六派哲学）を生み出し、他方では熱烈な神々の信仰を生み出しました。こうした多様な流れは、後世に「ヒンドゥー教」としてまとめられます。
・ジャイナ教【仏教の誕生】
ゴータマ・ブッダと同時代に、同じ地域で活躍したマハーヴィーラが開いた宗教がジャイナ教です。ヴェーダ聖典の権威に依らず、また出家者（沙門）によって担われた点など、ジャイナ教と仏教との間には、多くの共通点があります。ジャイナ教は徹底した苦行で知られておりますが、そこには「業」の独特の捉え方が関わっている模様です。また生命の捉え方や、他宗教に対する相対主義的な姿勢など、ジャイナ教が語りかけるメッセージは現代を生きる我々にとっても重要に思われます。
・ゾロアスター教【大乗の興起】
紀元前後に西北インドで誕生した大乗経典に基づき展開された大乗仏教ですが、ほぼ同時期に西北インドに伝わってきた古代ペルシャをルーツとする宗教がゾロアスター教です。善対悪、光対闇といった二元論的世界観は、大乗仏教の世界観にも影響を与えたのではないかという説もあります。また、世界最古の宗教であるゾロアスター教は、例えばニーチェ『ツァラトゥストラ（＝ゾロアスター）かく語りき』やゲームのキャラクターなど、現代にいたるまで創作活動のインスピレーションの源泉であり続けています。
・イスラム教【仏教の衰亡】
７世紀前半にアラビア半島で生まれたイスラム教は、ほぼ同時期に貿易商によってインドに伝えられたとされています。やがて、12世紀のイスラム教政権による仏教弾圧が始まり、13世紀初頭の大寺院破却などによってインド仏教は歴史から姿を消す……というのが、教科書などで語られるインド仏教の衰亡ですが、最新の研究によれば、そうした「悪役としてのイスラム教」というイメージはどうやら一面的な模様です。当時、ヒンドゥー教やイスラム教の台頭によって、仏教教団が迫られた選択について探っていきたいと思います。
今回、こうした「ブッダの隣人」についての、最高の講師陣が集いました。全ての講義を受講していただくことはもちろん、興味のある回や、一回だけでの受講も大歓迎です。
皆さんにとってのインドのイメージが更に豊かになり、また仏教についての解像度が更に高まることを念じております。是非ともご参加下さいませ！
◆連続講座「ブッダの隣人〜インドの宗教と仏教〜」
第1回バラモン教（9月2日） 加藤隆宏先生（東京大学准教授）
第2回ジャイナ教（10月7日） 河﨑豊先生（東京大学附属図書館助教）
第3回ゾロアスター教（10月28日） 青木健先生（静岡文化芸術大学教授）
第4回イスラム教（12月2日） 保坂俊司先生（中央大学教授）
時 間 : 各回 18:30～20:30
会 場 : 仏教センタービル(東京都港区4丁目3-14)/オンライン同時開催 ※ZOOM を使用
参加費 : 各1回2,000円（学生割引1,500円 申し込み時に学校名・学部名・学年を備考欄にご記入下さい）
※会場・オンライン共に要事前申込/事前支払
定 員 : 会場60名/オンライン 100名
※見逃し配信あり
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お申込は下記のリンクからどうぞ！！
https://www.bdk.or.jp/event-2/continuous-courses-buddha.html
