物事が長く続いてきた日本文化に生まれたからこそ見えてきたチャレンジの方向性−オランダ滞在を経て思ったこと−

こんにちは。お寺出身、継承をテーマに活動している三浦祥敬です。

6月中旬から6月下旬にかけて、持続可能な社会への移行(トランジション)に関するリサーチのため、オランダに行ってきました。

先日「次の投稿では、仏教思想を活かした文化づくりについて考察したい」とお伝えしましたが、その前に、今回オランダに行って得た気づき、そして、それを活かした今後の目標について書けたらと思います。

仏教も含めた、日本の「継承」の力

オランダに行って、改めて日本の特異性にも思いを馳せました。皇位継承。100年以上継続しているファミリービジネス(家業)が世界1多いという事実。さらには◯◯道と道が付く領域が形を変えながら現代まで続いていること。これらは、他の国の人たちから見ると特徴的なことです。日本は「継承」という切り口で、海外の方々に貢献できる素地を持っています。

「何を継承していくのか」という視点も大事になってきますが、それぞれの判断に委ね、私が深掘りしていきたいと思っているテーマは「文化の持続可能性を考え、大切にしたいことを継承していくための思想・方法論」です。 

経営者は経営の仕方を学びます。それと同じように「継承の仕方」について学ぶ機会があればいいのでは?と考えています。

例えば仏教の領域でも、さまざまな解釈とともに多くのお経が作られてきたり、多くのお坊さんの仏教研究や実践のおかげで(=「継承の仕方」のおかげで)、2500年を越えた現代でも、その情報に新鮮に触れることができます。

紆余曲折ありながら仏教の領域もそれに関わる共同体も移り変わってきました。その変化の歴史に含まれている知恵はとっても魅力的なものだと思います。たとえば短い時間軸でいつ倒産するかわからない危機感を抱きながら活動する企業は、30年続くだけで長く生き残っていると言われますが、一方でお寺は100年以上続いていてもそんなに珍しいことではありませんよね。時代を超えて生き残ってきたからこそ、蓄積されてきているものもまた多いはずです。

私はオランダのリサーチを経て、文化の持続可能性の知恵を仏教を含む伝統文化の領域を深堀りしていくことにより、「物事を長く続けていくこと / 継承していくことに、資する思想は、何なのか」を特定していく新たな活動を始めようと思いました。それらをアーカイブしていき、仏教界の方だけでなく社会を生きるあらゆる方に活用可能な知恵として、整えていけたらと考えています。

もちろん、仏教の世界の継承を助けていくことにもそれはつながると考えています。私たちの足元に埋まってしまったものの中に、多くの宝物があります。今一度、継承を助ける知恵を自覚していくことで、その効果を高めていけるのではないでしょうか。

「継承する」って、どういうこと?

私は昨年2018年から「継承するって、どういうこと?」という質問をたくさんの人にしてきました。それぞれ思い思いの回答が返ってきます。

「昔から続いてきているものを変えない方がいいのだ」という立場の人もいますし、「伝統は革新だ」という立場の人もいます。継承への想いはさまざまです。どんな答えでも、生き生きと継ぐことへの思いを語る人の話は、すっと心に染み渡ります。

「継承すること」の意味合いは多様でいいのではないかと思っています。

ただ、時代は移り変わっていきますし、私たちは過渡期に生きていて、未来の当たり前の社会システムと当たり前の慣習が成り立つ世界と、これまで当たり前のように成り立ってきた社会システムと慣習が成り立ってきた世界との間に位置しているのではないでしょうか。

この時代に、改めて “継承” していくことについて考えていくことは、今一度「何を大切にし/何を手放していくのか」をはっきりさせていくことにつながるのではないかと考えています。

6月のオランダ訪問で見えた世界のトレンド

オランダではサステナビリティ(持続可能性)についての議論や地球環境に配慮した経済や社会のあり方が先進的に模索されていました。実際にオランダを訪問し、多数のカンファレンスに参加し、現地の人のこのテーマの関心の強さに心から驚きました。オランダでサステナビリティについて考えることは、もはや文化になりつつあります。

今回のリサーチトリップでも、社会変革に挑戦中の前向きな方々にたくさんお会いすることできました。

オランダでは何人もの方にお話を伺う機会をいただきました
さまざまなプログラムに参加しました

サステナビリティを意識しつつ活動していくことは今後の企業活動、NPOの活動など、あらゆる活動を実行していく上で重要な点になっていきます。日本でもその波が徐々に広がっていくでしょう。

「サステナビリティ」と横文字で書くと、さも新しい考えに聞こえますが、別に特段変わった考えではありません。古来の日本の自然と人の関係はすでにサステナブルなあり方だと思いますし、日本に息づいてきたエッセンスと現代のトレンドの重なるところは非常に多くあると思います。

しかし、過去に息づいていた知恵も、現代の状況や未来の世代に向けてチューニングしていかないと、世の中の大きな流れに調和しづらいものになります。「サステナビリティについて考えること」がブームのように扱われ廃れたとしても、持続可能な生き方と協働の仕方を探求することは、いつの時代も私たちがやっていくことではないでしょうか。

ちなみにオランダで出会わなかった議論は、文化のサステナビリティについての話です。オランダは貿易によって成り立ってきた国で、現在は多くの移民を受け入れています。そこでは文化を継承していくという視点はあまり熱心に扱われないことなのではないかと考察しています。

一方、日本では、文化の切り口からサステナビリティについて考えていくことが始めやすいと感じています。すでに私たちが当たり前のように触れていることに、たくさんの思想や智慧や実践、技術が残されています。私自身、仏教思想とサステナビリティの流れの接点に、「文化のサステナビリティ」という切り口でアプローチしてみたいと考えています。

継承の知恵で、サステナブルな文化を作っていくために(お願い)

日本の伝統文化の領域に生まれた私ですが、「こんなしがらみだらけの場所、捨ててしまいたい」と思ったことは正直、小さい頃から数限りじゃないほどあります。

しかし28歳となった現在、海外に行く機会や、たくさんの前向きなお坊さんたちとのご縁をいただき、日本の文化に面白さを感じることができるようになってきました。ご縁とは面白いものですね。

次の世代のための実験活動を継続していくこと。それが私の課題です。

日本でこれまで得てきたご縁。オランダで得た気づき。サステナブルな文化を作っていくことに貢献していくべく、今後、以下の2つを作っていこうと思います。

(1)継承の知恵を蓄積していくWEBアーカイブプラットフォームの開発

(2)継承の知恵をインタビューを通して可視化していくカード制作のぷろじぇプロジェクト

そこで、皆さんにお願いです。

「継承」にまつわるテーマをさらに深めていくために、活動資金を募るクラウドファンディングを始めました。現在、クラウドファンディングのページ上に反映されていない情報も含めると、16名/20万円強のご支援をいただいています。

https://camp-fire.jp/projects/view/163098

アイデア実現に向けて、その資金を集めていくことは避けられない課題です。特にWEBプラットフォームの企画や開発は自分一人でできるものでなく、サービス化以降も荊の道になるかもしれません。

しかし、伝統文化が持つ豊かな土壌の価値に気づかせてもらったからこそ、少しでも発展していくように活動を継続していけたら嬉しいです🔥 活動する中での発見や気づきは随時イベントや文章で還元していきたいと思っています。

どうぞ応援ご支援をよろしくお願いいたします。

三浦祥敬

1991年お寺生まれ。京都大学卒。持続可能な世界へのトランジション(移り変わり)をリサーチするインデペンデント・リサーチャー。特に人の内面の世界が移り変わることへの興味から、内的なトランジションをサポートする 1on1 セッションの実施やプログラムの実施、哲学をはじめとした領域とのコラボレーションをおこなう。文化を継いでいく人たちがゆるやかな連帯を紡ぎ、ともに持続可能な継承を探求・実践するコミュニティ「Sustainable Succession Samgha」を運営している。共著に『トランジション 何があっても生きていける方法』(春秋社)。