「おてらおやつクラブ」がグッドデザイン賞を受賞!~評価された「古くて新しい仕組み」~

彼岸寺読者の皆さま、こんにちは。特定非営利活動法人「おてらおやつクラブ」事務局の野田芳樹です。

この度「おてらおやつクラブ」が、2018年度グッドデザイン賞を受賞いたしました。同時に、2018年度グッドデザイン賞受賞対象の中で、審査委員会により特に高い評価を得た100件としてグッドデザイン・ベスト100にも選出されました。グッドデザイン・ベスト100はグッドデザイン金賞等特別賞の候補として、10月10日に開催される特別賞審査会で公開審査されます。

受賞対象名:貧困問題解決に向けてのお寺の活動「おてらおやつクラブ」
http://www.g-mark.org/award/describe/48291

「おてらおやつクラブ」とは、全国のお寺の「おそなえ」を仏さまやご先祖様からの「おさがり」として、様々な事情により生活に窮する世帯へ「おすそわけ」する活動です。活動に賛同する寺院は全国961カ寺、連携する支援団体(子ども食堂や児童養護施設、各地域の社共など)は386団体。〔2018年10月現在〕

日々お寺からおすそわけが各団体のもとへ送られ、団体ごとの活動を通じて必要な方へおそなえが届く仕組みです。

グッドデザイン賞審査委員からは、以下のような評価を頂きました。

従来、寺院が地域社会で行ってきた営みを現代的な仕組みとしてデザインし直し、寺院の「ある」と社会の「ない」を無理なくつなげる優れた取り組み。地域内で寺院と支援団体を結んでいるため、身近な地域に支えられているという安心感にもつながるだろう。それができるのは、寺院が各地域にくまなく分布するある種のインフラだからだ。全国800以上の寺院が参加する広がりも評価ポイントのひとつであった。活動の意義とともに、既存の組織・人・もの・習慣をつなぎ直すだけで機能する仕組みの美しさが高く評価された。
(担当審査委員:岩佐 十良、伊藤 香織、太刀川 英輔、並河 進、服部 滋樹 )

そもそも、グッドデザイン賞とはどういったものなのでしょうか。当該ホームページにはこのように載っています。

グッドデザイン賞は、デザインによって私たちの暮らしや社会をよりよくしていくための活動です。1957年の開始以来、シンボルマークの「Gマーク」とともに広く親しまれてきました。
グッドデザイン賞は、製品、建築、ソフトウェア、システム、サービスなど、私たちを取りまくさまざまなものごとに贈られます。かたちのある無しにかかわらず、人が何らかの理想や目的を果たすために築いたものごとをデザインととらえ、その質を評価・顕彰しています。http://www.g-mark.org/about/)※太字筆者

つまり、デザインと聞くと建物やその内装など「物の意匠」が先ず思い出されますが、それだけでなくものごとの仕組みもデザインという概念に含まれるのです。

そして「グッドデザイン賞」と言えば、先進的で目新しいものが取り上げられる、とのイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし実のところ、先に書いたような「おてらおやつクラブ」の仕組み自体は、いわゆる「目新しいもの」ではありません。

というのも、もともとお寺はそれぞれの地域の困りごとに耳を傾け、それぞれの方法でもってその困難の緩和・解消の一助になってきた歴史があります。ときには「おそなえ」を「おさがり」として「おすそわけ」することもあったでしょう。つまり「おてらおやつクラブ」の仕組みは、元来お寺がやってきたことの拡大(横展開)版と言えます。加えて、活動の根っこにあるのは仏教の基本的な教えである「慈悲」と「布施」の精神であり、そのこころは今も昔も変わることなく大切に受け継がれてきました。

いわば昔ながらの仏教の精神、そしてそれに基づく行いを、現代の苦悩に呼応する形でアップデートさせたものが「おてらおやつクラブ」なのです。

そしてその「現代の苦悩」の一つとして、子どもの貧困問題が未だ横たわっているという事実を私たちは忘れてはならないでしょう。

グッドデザイン賞を受賞したことによって、より多くの人に活動を見てもらい、子どもの貧困がこの日本にもあることを知っていただく大きなきっかけになりました。先達が伝えてくれた仏教の精神は大切に継承しつつ、これから先もご賛同くださる皆さまとともに粛々と活動を続け、日々新たなる一歩を踏み出していきたいと思います。そして願わくば、子どもが生まれを問わずに笑顔でいられる社会が「デザイン」されていきますように。

引き続き応援のほどをよろしくお願いいたします。

なお、今後の予定は以下の通りです。ご都合がつけば、ぜひ足を運んでみてくださいね。

◆公開特別賞審査会「GOOD DESIGN PRESENTATION 100」に参加(10/10)
本年10月10日に開催される、2018年度グッドデザイン賞 特別賞審査会の第一部:ベスト100プレゼンテーション公開審査に、おてらおやつクラブ事務局より福井良應が参加いたします。

GOOD DESIGN PRESENTATION 100 – 2018年度グッドデザイン賞 特別賞審査会[第一部]–
日時:10/10(水)13:00 – 16:30
会場:東京ミッドタウン・カンファレンス(東京都港区六本木)
http://www.g-mark.org/activity/2018/presentation.html

◆グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」に出展(10/31〜11/4)
本年10/31(水)~11/4(日)の5日間、東京ミッドタウンで開催される、最新のグッドデザイン全件が集まる受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2018」において、「おてらおやつクラブ」の活動紹介が特別展示で紹介されます。その他、今年度に受賞した約1,300件の受賞デザインを見ることができます。

GOOD DESIGN EXHIBITION 2018 – 2018年度グッドデザイン賞受賞展 –
会期:10/31(水)〜11/4(日)
会場:東京ミッドタウン(東京都港区六本木)
http://www.g-mark.org/gde2018/

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