去年まで彼岸寺のメールマガジンでイラストを担当しておりましたnihhi(にっひ)と申します。
私は日頃、消しゴム板に彫った仏さまのはんこ、「仏はんこ(ぶつはんこ)」を制作しているのですが、このたび、これまで彫ってきた仏はんこが一冊の本になりました。
今回はその本についてご紹介させていただければと思います。
仏像をきっかけに「仏さま」という存在に惹かれ、これまでいろいろな仏さまを消しゴムはんこという形で自分なりに表してきましたが、惹かれるほどに気になったのは「仏さまってつまりなんなの?」ということです。
仏像というのは様々な「仏さまの像」であるわけですが、仏さまそれ自体には本来形がありませんよね。
(仏像のルーツであるお釈迦さまは形をもって実在した仏さまであるともいえますが……。)
形のない仏さまに形を与えてみたらこんな感じになりました、というのが仏像です。とするなら、形にすることで伝えようとしている形のないそもそもの「仏さま」って……?
8月25日発売の新刊『消しゴムはんこの仏さま』では、タイトルの通り、仏さまの消しゴムはんこの印影がメインとなっております。しかし、「形をきっかけにして、形ではないものに目を向けてみる」という観点を大切にしたいという想いから、第1章の「仏さまを思う」では、そもそも仏さまってなんだろう?ということや、どんな仏さまがおられるのかなど、仏さまということにも私なりの言葉で表現してみました。他にも、各章の間でも「仏さまをより身近に感じてもらいたい」という想いを込めて、仏さまについてのコラムを書かせていただいています。
本書の中心となる第2章「色々な仏さま」では、いろいろな仏さまの印影と、それぞれの仏さまの解説が行われています。仏さまと申しましても、実はさまざまな役割があり、如来から菩薩、明王、天など、見た目もその姿が表わす意味合いも様々です。本書では、全部で72の仏さまの印影をご紹介しています。
そして第3章「仏さまを彫る」ということで、実際に消しゴムはんこで仏さまを彫る方法をレクチャー。彫り方の基本はもちろん、私の使っている道具なども披露しています。さらに付録として、仏さまのはんこ図案集もついており、消しゴムはんこ初心者でも取り組みやすい内容に仕上がっています。
本の中身を少しご紹介いたしましたが、一口に「仏さま」といっても、その言葉の意味はかなり幅広く、ちょっと捉えどころがないというか、遠く離れた存在というか、なんだか自分とはあまり関係なさそう……と思ってしまうこともあるかもしれません。
しかし私としては、仏さまのお話ってほんとうはだれにとっても自分ごとなのではないかなと感じているのです。ちょっと身の回りに目を向けてみると、仏さまって、そこここに見出すことができるのかも……?
そして様々な姿で、それこそ無数に存在していながら、同時にひとつでもあるような……?
仏さまって想像している以上に、身近な存在なのかもしれません。
そういうわけで、この本は仏像の本かと言われるとそうでもなく(「像」の話はほとんどしていなかったりします)、消しゴムはんこの本かと言われるとこれもまたそうでもないような、ちょっと珍しい内容かもしれません。なんにせよ、なにか仏さまとの新しい出会いのきっかけになってもらえたらこれほど嬉しいことはありません。
仏さまと出会うことは、自分と、世界と、また新しく出会いなおすというか、親しくなるようなこと。そんな気もしています。
[amazonjs asin=”4817082402″ locale=”JP” title=”消しゴムはんこの仏さま”]