未来の仏教ラボ、はじめよう!

未来の住職塾のこれから

この「ひじりでいこう」ブログ1話〜5話で(4万字以上!)、私の問題意識をつれづれに綴ってきました。お付き合いくださった方、ありがとうございます。

ここまでの話をまとめるなら、なんでしょう。仏教の原点に還って、といっても昔に戻るのではなくて、一人ひとりが縁の中で無畏施(他者の不安や恐れを取り除く布施行)、自他の抜苦与楽を今ここで実践していくことが大事だなと、思っています。

今、仏教や宗教という枠にとどまらず、世界全体が時代の転換点を迎えています。祖師仏教の僧侶にとって、最も重要な問いのひとつは「今、宗祖が自分の身に再誕したら、何を考え、どう行動するか?」ではないでしょうか。もちろん、答えは一つではなく、一人ひとり違っていいはず。答えのない問いを抱えながら、縁の中で自ら考え行動していくことが求められていると思います。

2012年から7年、未来の住職塾には600名を超えるすばらしいサンガが生まれてきました。宗派も地域もお寺の状況も一人ひとりの個性も皆違うのに、このように心からの法友をたくさん持てたこと、ほんとうに感謝しています。未来の住職塾は、プログラムでの学び以上にコミュニティとしての価値が大きかったということを、卒業生は皆、口を揃えて言います。先日、そんなコミュニティの永続的な発展を願い、新たに一般社団法人未来の住職塾を設立しました。卒業生の同窓会事務局的な機能を集約し、コミュニティの長期安定の基盤となればと願っています。卒業生の集いの場として、みんなで永続的に続けていきましょう。

さて、未来の住職塾のコミュニティの規模がここまで大きく成長した今こそ、いよいよ実現できる何かがあるのではないか。そのことをずっと考えてきました。

以下のようなものがポイントになりそう。

・日本全国600ヶ寺以上、宗派を超えてつながる未来の住職塾の卒業生コミュニティに、新たな挑戦に賛同する全国のお寺がさらに加わったお寺コミュニティを、みんなの資源として開放し、簡単にアクセスできる仕組みづくり

・そのお寺コミュニティに企業やNPOや学校や病院や行政などさまざまな社会資源と接続し、よりよい未来社会にお寺や仏教がインフラとして貢献する実験場の立ち上げ

・仏教界内外の力を合わせて、これからの人や社会が参照できる知恵や実践のヒントを仏教から抽出し、現代・未来の社会に提案できる体制構築

・次代を担う「越境する僧侶」が生まれる学びの場づくりと、彼ら彼女らが社会で活躍しさらなる修行に励むことのできる環境整備

・僧俗問わず、あらゆる人が属性や立場の違いを超えて一人の人として不安や怖れなく共に仏道実践できる文化と環境づくり

・・・と考えて、
そしてまた、いろんな人と対話を重ねてアイディアをもらい、
生まれた方向性が、これです。

未来の仏教ラボ
Future Buddhism Lab

タイトルだけでは分かりにくいと思うので、私の頭の中にあるイメージで言うと・・・
参加者の誰もが研究員であり、開発者であり、発明家であり、起業家。
お坊さんとそうでない人が区別なく、半々くらい集まっていて、オンラインでも議論しつつ、主要都市にある研究室(部室?)に行けばいつも誰かしらいて、何かが起こっている。
どんな実験をするにせよ、必要な人的・財的・物的資源は揃っていて、身軽に簡単にチャレンジすることができ、成果は広くみんなに共有される。
実験から価値が生まれればそれが財政的にお寺の持続可能性を支える一助にもなる。
ラボから生まれた成果は広くお寺や宗派に還元されて、未来の仏教を開く資源となる。
・・・そんな感じです。

日本仏教の新たな始まりにつながることを願って

あなたは、そんなラボがあったら、どんな実験がしてみたいですか?

たとえば、私が前から思っていたのは、「未来の僧堂」をみんなで一緒に考えて作ってみること。人工知能が人間の知性を超えるのが2045年とも言われていますので、その先を行く「2050年の僧堂を作ってみよう」プロジェクト。現状、僧堂は各宗派の各本山で僧侶の修行場として設置・運営されていますが、時代の視点を一気に未来へ移してみたら、どうなるか。2050年にどんな仏教が生まれているのか。先取りして見てみたくないですか? デジタルネイティブ世代の僧堂はどんなものになるか、改革の方向性を試す実験にもなりますね。

そんなふうに、自分の温めてきたアイディアや企画を仏教界内外の仲間とシェアして、大きく展開して盛り上げていくのにも、ラボは活用できます。特に、放っておけばこれから縮小していくお寺の(一階)経済の閉塞感を切り拓くアイディアを、みんなで持ち寄ってどんどん事業化されるといいですね。未来の住職塾の卒業生の中では、ラボができる前からすでにたくさんのチャレンジがなされてきました。そこで生まれた種を、賛同する寺院で一緒に育てていけば、点ではなく面として広がり、お互いの大きな相乗効果が生まれます。

進化するポイントは、これまでの塾は参加するお寺から受講費をいただいて運営する学校モデルでしたが、新しいラボは、企業や個人なども含めて幅広く財的・人的資源を募り、できるだけ個々のお寺の負担のないかたちで運営する、研究所モデルを構想します。現代では、みんなが良いと思うことにはあちこちからお金が集まるファンドレイジングの仕組みも多様化しています。お寺からの持ち出しではなく、むしろお寺に還元されるような経済循環を生み出していければ、実験終了後も持続可能な事業に発展していきますよね。いわば現代の勧進プロジェクトです。僧侶は、お寺は、現代においてどのような価値を生み、どのように活動の持続可能性を担保できるのか、明らかにしていきましょう。

方向性を発表!といいつつ、今のところは「未来の仏教ラボ」のようなものがあったらいいよね!という私の発願のみで、現時点での事業計画は白紙です。とはいえ、それがまたひとつの方向性を表してもいて、塾長が考えるんじゃなくて、まっさらなところからみんなでアイディア出して、一緒に作っていきましょうということです。

実験は、期限が決まっていたほうが成果が出ます。2021年、東京オリンピック&パラリンピックの翌年に、未来の住職塾が始まってから10年の節目を迎えます。これまでの7年間の「未来の住職塾」を前期とするなら、2019年から後期に当たる3年を「未来の仏教ラボ」の期間として区切りましょうか。実験成果はみんなのものです。個々のお寺にも宗派にもしっかりフィードバックして、成功も失敗もひっくるめて、みんなで大いに成果を活用していただきましょう。

ラボの仲間は、未来の住職塾の卒業生で手を挙げてくれる人が多いとは思いますが、卒業生でない人も、お寺関係者でない人も、興味のある方はぜひ、コメントやメッセージお待ちしてます。「なんかよくわからないけど、参加したい!活動したい!研究開発したい!手伝いたい!応援したい!」表明も大歓迎です。企業やNPOなど法人から「お寺さんと、何か一緒にサービスや企画を開発してみたい」というご提案も、嬉しいですね。

2019年に元号は変わり、2020年にオリンピックが開かれます。
大きな変革の時期、未来の住職塾の新たな始まりが、日本仏教の新たな始まりにつながることを願って!

松本紹圭

東京神谷町光明寺僧侶。未来の住職塾塾長。 「ちりを払わん、あかを除かん」一緒にお寺で朝の掃除から、一日を始めてみませんか?