「輝け!お寺の掲示板大賞2020」の受賞作品が12月7日に発表されました。第3回目となる今回の掲示板大賞に投稿された作品数は1677点。第一回目(2018年)が700作品、第2回目(2019年)が925作品でしたので、今回投稿数が一気に増えました。それに伴い、投稿作品の審査が大変難航しましたが、今年の「お寺の掲示板大賞」の大賞は熊本県の浄土真宗本願寺派明導寺の作品「コロナよりも怖いのは人間だった (神奈川県ドラッグストア店員)」が選ばれました。
この言葉は、今年の春ごろ、多くの人々がマスクを求めて混乱している状況の中でドラッグストアの店員がツイートしたもので、ネットニュース等でも大きな話題となりました。人々に少しでも他者を思いやる気持ちがあれば、こんな言葉が話題になることはなかったと思います。余裕をなくした状態、それはある意味、人間の本性を示したものです。コロナの感染者が急激に増え、社会が混乱しているときだからこそ、仏教を通して、自分自身の本性を見つめてほしいということでこの作品が大賞に選ばれました。
今年は新型コロナウイルスに動きが制限される特殊な状況でしたので、予想通りコロナに関連した作品が非常に目立ちました。また、「半沢直樹」などのドラマや流行語の影響を受けた文言も多かったように思います。しかし、受賞作品を見ると、それ以外の作品が数多く含まれています。バラエティに富んだ作品が選ばれていますので、仏教伝道協会のHPから入賞作品をご覧いただければ幸いです。
個人的に印象に残った作品は、静岡県の鳳林寺の作品「猫をしかる前に魚をおくな (板橋興宗)」。これは曹洞宗の管長を務められ、今年遷化された板橋興宗禅師のお言葉です。禅師の猫好きなお人柄が偲ばれると同時に仏教の因果について考えさせられる作品になっています。この掲示板は猫好きの人たちの間で話題となり、仏教伝道協会賞を受賞しました。
「お寺の掲示板大賞」は「お寺の掲示板」という古いメディアと「SNS」という新しいメディアを組み合わせた企画ですが、SNSだけでなく、テレビ・新聞・雑誌・ネットメディア等ともうまく連動できたことが3年も続いた大きな要因ではないかと思います。掲示板大賞のメディア露出に関する情報は下記のページをご覧ください。(リンク)
このように多くのメディアで取り上げていただいたおかげで今回はお寺とは関係のない一般の方からの投稿が増加しました。
これまで「お寺の掲示板」を使った伝道に対する世間の認知度はそれほど高いものではありませんでした。昨年、朝日新聞出版の『知恵蔵mini』という現代用語事典に「お寺の掲示板」という言葉が収録されましたが、この事典に取り上げられるということは「お寺の掲示板」は現代用語という扱いのようです。(リンク)
この「お寺の掲示板大賞」を通して、「お寺の掲示板」の存在が少しでも世間に認知されたのであればこれほど嬉しいことはありません。今後も低予算で細々とこの企画を続けていければと思っています。
おかげさまで「輝け!お寺の掲示板大賞2020」は大変多くの寺院関係者や撮影者の方々のご協力により無事終了いたしました。ご協力いただいたみなさまに心より感謝申し上げます。来年も7月1日から「輝け!お寺の掲示板大賞2021」を開催する予定ですので、何卒よろしくお願い致します。