A. 他国への修行、ということは、それほど多くないと思います。
日本のお坊さんが、他の国へ修行へ行くということは、歴史を紐解けば、最澄や空海と言ったお坊さん達が、中国へ仏教を学びに行かれた事などを考えれば、かつてはよくあった事だと言えます。
今では、個人的に外国へ修行に行かれたり、仏教国でお坊さんになる方もおられると聞くこともあります。ただ、その数は、それほど多くないと思います。
と、申しますのも、以前も書きましたが、仏教には、様々なタイプの教えがあります。大きく分けると、「上座部仏教」と「大乗仏教」という二つのタイプがあるのですが、東南アジアの方へは上座部仏教が、中国へは大乗仏教が伝わりました。そして、中国から日本へと仏教が伝わり、そして様々な宗派に分化してきました。その各宗派では、それぞれに修行方法や、教えについての解釈が行なわれ、日本独特の仏教が発展してきました。そのため、他の国の仏教とは、趣が少しずつ異なってきているのです。
そう言う風に、各宗派の中で、教義や修行方法がすでに確立しているために、交流などはあっても、外国へと修行をしに行く、ということはあまりないのかもしれません。
ただもちろん、タイプの違う仏教を学ぶ事も大変有意義な事でありますし、タイプが違っていても、その根底にあるものは同じですから、タイなどのお寺に修行に行かれるお坊さんもおられないわけではありません。私も機会があれば、行ってみたい気持ちもあります。