ご無沙汰しています、英月です。
と、前回と同じフレーズをつぶやくとは、思いもしませんでした。我ながら「はぁ」と、ため息が出てしまいます。おまけに今回も、ご紹介したいイベントの直前。というか、まさかの実施日当日!成長しないというか、学習能力がないというか…。ある意味、安定の、そしてブレないギリギリ感。夏休みの宿題を8月31日1本勝負で片付けていたと、前回のコラムに書いていましたが、三つ子の魂百まで。時は流れ、歳を重ねて、お坊さんになったとしても、私という人間の根性は変わらないんだと、またまた「はぁ」です。
さて、先ずはイベント情報です!
『そのお悩み、親鸞さんが解決してくれます』の出版を記念して、講演会が開催されます。会場は京都の書店「丸善」さん。梶井基次郎の『檸檬』の舞台となった、あの書店。文学少女だった私にとっては、紅白の舞台に立つかのような、一世一代の夢舞台。嬉しい!
【イベント詳細】
日時:2018年6月27日(水曜)
時間:19:00~20:30(18:30開場)
場所:丸善京都本店 地下2階 MARUZEN CAFE
住所:京都市中京区河原町通三条下ル山崎町251 京都BAL 地下2階
参加費:1,000円(飲み物代込み)
定員:50名
【お申込み方法】
₋ 丸善京都本店地下2階レジカウンターにて、整理券を販売しております。
₋ 整理券が無くなり次第、配布終了とさせていただきます。
₋ イベント当日は、ご来場いただいた方からお並びいただきます。
₋ お電話でのチケットご予約承ります。
丸善京都本店
TEL 075-253-1599
【イベント内容】
現代人の「お悩み」に応えてくれる、親鸞さんの「ご和讃」について、一緒に学びませんか?波乱万丈僧侶・英月さんと、親鸞のプロフェッショナル・一楽先生を特別ゲストに迎えて、楽しく仏教に親しみましょう!
——————————————
残席わずか!です。有難いことに、すでに定員近くまでご予約をいただいているそうです。「気になる~」という方は、今すぐ電話でご予約を!毎回ギリギリのご案内で申し訳ない、かたじけない、ゴメンね。ほんと、お恥ずかしい。変わらない根性というか、なんというか、「はぁ」です。
ところで、この変わらない根性問題。数年前のことですが、こんなことがありました。
それは、お坊さんたちが集まった懇親会でのこと。私が10年近く暮らしていたことから、話題はアメリカでの生活に。しかも、温泉の話。意外に思われるかも知れませんが、アメリカにも数多くの温泉があります。私自身、友人たちとよく行っていたことから意気揚々と話し、お気に入りの温泉の紹介までする始末。ちなみに、お気に入りの温泉は Stewart Mineral Springs。
ここは本当におススメです。静かな山の中にある建物には小部屋が並び、それぞれにお風呂があります。一人ずつに部屋が与えられ、決められた時間、湯船につかります。そして隣接した山小屋のサウナに入ります。日本だと次は水風呂ですが、ここでは建物の外に出て川に入ります。これを1セットとして、3回するのが、ここでの温泉の入り方。ユニークでしょ?
さて、水風呂の代わりに川に入るといいましたが、この川が凄いのです。近くにあるシャスタ山の雪解け水が流れてくるので、夏でも冷たい。めちゃくちゃ冷たい。あまりの冷たさに驚き、川に入るのを諦めてシャワーにする人がほとんどです。でもね、この川がいいんです。川に飛び込み、頭まで潜る。スカッとします。悲しいこと、苦しいこと、辛いこと、色々な悩み。ここに来るまで抱えていた心のモヤモヤ。それが、スカッと晴れるんです。真宗の僧侶として言っていいのか躊躇しますが、言っちゃいますよ。ハッキリ言って、悟ったような気持ちになります。
と、熱弁をふるった私。黙って聞いておられたある先生が、最後に一言仰いました。「それで英月の根性は変わったのか?」と。
ハッとしました。冷や水を浴びせられたような気がして、5秒くらい固まってしまいました。仰るとおりです。悟ったような気持ちになると言っていましたが、そんな気になっただけなのです。その証拠に、私の根性は何も変わっていません。
実際、川に飛び込み頭まで潜ることができる人は少数です。すると、「私はできたけど、できないの?」という気持ちが出てくるのです。言葉にこそ出しませんが、「私はスゴイ」という優越感に包まれ、ちょっぴりご機嫌さんです。
当時私が住んでいたサンフランシスコから車で片道6時間近くかかる場所にあるこの温泉、車もなければ免許もない私は、友達に連れて行ってもらわないと行くことができませんでした。そうしてお世話になっている友達でさえ、たかだか川に入れたか、入れないか、潜れたか、潜れないか、そんなくだらないことで「できないの?」と、見下すのです。友達を見下すなんて、悟る以前の問題です。
そうなんです。たまたま何かができたというくらいのことで、私という人間の根性は変わらないのです。何かができたことによって、傲慢さ、ヤラシサが増長してしまうことは、あるかも知れませんが。
最初に、「歳を重ね、たとえお坊さんになったとしても、私という人間の根性は変わらない」と嘆き、「はぁ」とため息をついていた私。
それは、歳を重ね経験を積めば、ましてやお坊さんになれば、根性がマシになる、いい人になる、素晴らしい人になる。そんな思いがあったからこその、「はぁ」です。言葉を変えれば、歳を重ねた人は、お坊さんは、「こうあるべき」との思い込みがあるのです。そんな思い込みにとらわれていることこそ、「はぁ」です。
今はダメダメでも、いつかはいい人に。そう願うのは、当然の感情かも知れません。しかし、そうでしょうか。
あの人はいい人だ、素晴らしい人だと評価をし、決めるのは、他人であり世間です。私たちは世間に認められるために、生きているのではないのです。世間での評価を得るために生きているとしたら、空しいことです。
それは、評価が可視化されるようなSNSで、「いいね」の数を増やすことを目的とすることの空しさに似ています。それはあくまで結果であって、目的ではないのです。もちろん人生の豊かさと「いいね」の数は、何ら関係しません。
「英月の根性は変わったのか?」。この一言は私にとって、「変えられると思っているのか?」という問いかけであり、同時に「変えないといけないものだと思っているのか?」との呼びかけでした。
根性は変えるものでも、変えられるものでもなく。こんな私だと、出遇わせていただくもの。
そんな大事なことに気付かせていただいた、「英月の根性は変わったのか?」との問い。そう問いかけてくださったのが、今回のイベントでご一緒させていただく一楽真先生です。
一楽先生は『そのお悩み、親鸞さんが解決してくれます』の「おわりに」で、ちょこっとご紹介させていただいていますが、実は彼岸寺のコラムにも登場していただきました。2015年2月17日付の「【まさかの書き直し】自分自身に「問い」を持つ」の「大学の先生」とは、他でもない一楽先生のことです。
本の「おわりに」でも書いていましたが、一楽先生、質問しても答えてくださいません。締切が迫り、とにかく早く答えが欲しい!と焦る私に対して、「どうして問いになった」と。それは後からゆっくり考えるから、今はサッサと教えてくれ~!との心の叫びを、何度飲み込んだことか…。先生にとっても、答えを私に与えた方が楽なハズです。けれどもそれをすると、この本は私の本ではなくなります。それだけでなく、もし答えを貰っていたら、問いに立ち止まることもなく、結果、前回お話したような私自身の「すくい」には繋がりませんでした。「答え」は与えずとも、「応え」てくださっていたのです。
そんな一楽先生とは、面白いエピソードがあります。日本に帰ってきて間もない頃、先輩に連れて行ってもらった勉強会で初めて先生のお話をお聞きした私。目から鱗の内容に感動し、その感動を伝えるためにハグをしようとしました。両手を広げて近付くと、先生は目の前で大きくバツ印をつくり、「女房子供がいる」と及び腰。イヤイヤ、それは抱擁。私がしたいのは、ハグ。
でもね、先生のお話を聞かれたことのある方だと、私の気持ちをわかってくださるハズです。まだの方は、この機会に是非!先生にお会いしていただき、お話を聞いて欲しいです。でも、お話に感動しても、くれぐれもハグはしないように!です。
写真はシャスタ山です。
[amazonjs asin=”4393163117″ locale=”JP” title=”そのお悩み、親鸞さんが解決してくれます: 英月流 「和讃」のススメ”]