宗教法人は本当に課税されるのか? ― 不安になる前に考えたいこと

お寺の運営や経営に関する学びの場、「未来の住職塾NEXT」で講師をつとめる遠藤卓也です。

2026年2月、ネット上で宗教法人への課税にまつわる記事が拡散されました。
デイリー新潮に掲載された『高市首相はタブー「宗教法人への課税」に着手できるか 創価学会が震え上がる「強烈カウンターパンチ」』という記事ですが、SNSなどでも話題にのぼり、私のもとにも数名のお坊さんから「うちは大丈夫でしょうか?」と、連絡が届きました。

「宗教法人は税金がかからない」と聞いたことがある方も多いかもしれません。しかし実際には、宗教法人が完全に非課税というわけではありません。

宗教法人の収入は大きく二つに分かれます。
お布施や法要などの宗教活動による収入と、駐車場経営や物販などの収益事業です。宗教活動は非課税ですが、収益事業には一般企業と同じように法人税が課されています。

そもそも宗教活動による収入が非課税なのは、宗教を特別に優遇しているというより、憲法で保障されている「信教の自由」を守るための仕組みと考えられています。宗教活動そのものに課税すると、国家が宗教活動に介入することになりかねないからです。

こうした仕組みは日本だけのものではなく、多くの国でも同じ考え方が取られています。

不安を感じるお寺が多いのはなぜか?

そうした状況の中で、このニュースを見て不安になるお坊さんたちの気持ちは、とてもよく分かります。

私は僧侶ではありませんが、長年お寺の現場に関わってきました。だからこそ実感があるのですが、多くの寺院は決して “余裕がある存在” ではありません。「もしも課税が強化されたら、お寺を続けていけるだろうか?」「正直、もたないかもしれない…」と、不安になるお寺は少なくないはずです。

しかし、その不安を大きくしているのはニュースそのものよりも、お寺さんの「孤立感」にあるかもしれないと私は感じました。

ニュースを見て、一人で検索する。
SNSを見て、余計に不安になる。
でも、誰に聞けばいいか分からない。

宗派の中では聞きづらい。
近隣寺院にも相談しにくい。
税務の専門家にいきなり聞くほどでもない。

結果、一人で抱え込む。

今回、未来の住職塾NEXTのポッドキャスト「職員室ラジオ」でこのテーマを取り上げたのは、そうした空気を感じたからでした。

対談相手は、未来の住職塾では「お寺のマネジメント」講義のメイン講師を務めてくれている木村共宏さんです。木村さんはビジネスの第一線を経験したのちに僧侶となった方なので、寺院経営と企業経営の両方を知る立場から、冷静に語ってくれました。

「適切に運営されている寺院であれば、過度に恐れる必要はありません」

宗教法人の収入は大きく二つに分かれます。宗教活動による収入と、収益事業。国際的に見ても、宗教活動は非課税、事業部分には課税というのが基本です。日本だけが極端に優遇されているわけではありません。

また、仮に課税を強化しても、国家規模の財源不足を埋めるほどの税収にはなりにくい。ニュースの印象ほど、現実味は高くないというのが木村さんの見立てでした。

ここまで聞けば、少し安心するかもしれません。

本当に問われているのは?

けれど私は、今回の議論が投げかけているのは「課税の是非」の話だけではないと感じています。
寺院会計は、全ての寺院において本当にちゃんと適切に管理されているでしょうか。

会計がちゃんと整理されているか。
宗教活動と事業は区分されているか。
外から問われたとき、説明できるか。

私の実感からすると、胸を張って「全部できています」と言えるお寺は決して多くありません。先代のやり方をそのまま踏襲しているだけでは、今の時代に合った管理になっていないこともあります。

優遇されている以上は適切に管理しておくべきですし、そこが曖昧になってしまっているお寺もあるから、こうした世論が起こってくるのだと感じます。

逆に言えば、ちゃんとできていれば不安も生まれないはずです。

孤立しないための学びの場

適切に管理するための第一歩は、「正しい情報を知ること」ではないでしょうか。

未来の住職塾NEXTには、地域も宗派も異なる仲間が集まっています。上下関係のない環境だからこそ、わからないことを素直に聞ける場にもなっています。
ニュースに振り回されず、事実を整理し、自坊の状況に引き寄せて考える。

そうした力を身につけていく場でもあります。

情報をどう読み解くか。腑落ちする結果を導くまで、問いを深められるか。考え方のものさしを身に着け、自坊の現状を分析し、これからのビジョンとアクションについて言語化を試みます。

それらのプロセスは、一人で抱え込んでいるだけでは、なかなか進みません。
講師・スタッフ、そして共に学ぶ仲間たちがいるからこそ、時間をかけて成し遂げることができます。
それが、これからの寺院運営にとって大きな力になると信じ「未来の住職塾NEXT」のプログラムを磨き上げてきました。

「未来の住職塾」としては通算15期目を迎えることになりますが、令和8年度はどんな仲間たちが集まるのか、今から楽しみでなりません。

最後に

今回のポッドキャストの対談では、宗教法人課税の現実性だけでなく、寺院がこれから備えておくべきことについても話しています。

詳しい内容は、以下のリンクよりお聞きください。

▼ 未来の住職塾NEXT 職員室ラジオ|#30 本当に実現される?「宗教法人への課税」ー 事実と備え

また「未来の住職塾NEXT」は現在R-8(令和8年度)の受講生を募集しています。
2026年3月13日に無料の体験講座を行いますので、ご関心のある方はぜひ詳細をご覧ください。

▼ 未来の住職塾NEXT 無料体験講座 2026

https://juku2026.peatix.com

2003年より東京・光明寺にて「お寺の音楽会 誰そ彼」を主催。地域に根ざしたお寺の ”場づくり” に大きな可能性を感じ、2012年に仲間たちと「未来の住職塾」を立ち上げる。全国に広がる受講生のネットワークを活かし、各地のお寺さんを訪ねて事例調査・執筆・講演等を行ない、時にお寺の音を録音する。現在、最も力を入れているのは音にフォーカスした新しい巡礼の形「音の巡礼」プロジェクトと、Podcast番組「Temple Morning Radio」の編集・配信。著書『お寺という場のつくりかた(学芸出版社)』、『みんなに喜ばれるお寺33実践集:これからの寺院コンセプト(興山舎)』。