座り方のコツ

ご法事などで、長時間正座をした後、お参りされていた方が「足がしびれたー」とおっしゃることがよくあります。そんな時でもお坊さんが平気な顔をしてスッと立ち上がったりすると、「やっぱりお坊さんは足痛くなったり、しびれたりしないんやねえ」とか、「足がしびれない方法ってあるんでしょ?」と言われたりします。実はぜんぜんそんなことはなくて、お坊さんでも長い時間正座すれば足は痛くなりますし、しびれます。平気な顔でいられるのは、その感覚に慣れているだけで、もし正座で足が痛くならなかったり、しびれない方法があるなら私も知りたいくらいです。

かつて、先輩のお坊さんに、「正座のコツってありますか?」と尋ねたことがありますが、「我慢することや」と言われました。「なんだそれ、コツでも何でもない」と思いましたが、痛いからといって動いたり、足を組み替えたくなってしまいますが、膝などに負担がかかるため、あまり良くないことなのだとか。

もう一つ、正座をしていると辛くなりがちなのが腰。最初は姿勢を維持することができても、段々と背中が丸くなってきてしまい、その状態で座っていると、腰に負担がかかります。気をつけていても、長時間良い姿勢をキープするのは、かなり難しいもの。私も気がつけば背中が曲がっていることが多く、忙しい時期などは腰痛に悩まされてしまいます。

あぐらや体操座りに比べ、正座はあまり腰には負担のかからない座り方だと思っていましたが、やはり姿勢が悪いと、腰痛のもとになるようです。そこでいろいろと座り方を工夫してみたのですが、最近一つの座り方のコツを身につけました。とは言え、このコツを身につけても、足は痛くなることには変わりありません。しかし、この座り方をすると、姿勢が悪くなるのを防ぐことができて、結果腰への負担が軽減します。

そのコツとは、お尻の位置を少し変えること。普通に正座をすると、かかとの上に、お尻の真ん中あたりが乗ることになります。この状態だと、自然に腰が落ちて、背中が曲がりやすくなってしまいます。そこで、座る際にグッとお尻を後ろに突き出すようにして、おしりと太ももの境目あたりをかかとの上に乗せるようにします。すると、腰がしっかりと立って、背中が曲がりにくくなるのです。ほんのわずか、数センチの違いですが、お尻の位置を変えるだけで、姿勢の保持に大きな違いが出てきます。

これは、正座だけではなく、椅子に座る時にも使えます。同じように、座面に触れるお尻の位置を、お尻の真ん中あたりから、お尻と太ももの境目辺りにズラすだけで、やはり同じように姿勢改善の効果が得られます。

そんなこと今更言われなくてももう知っているよ!という方もおられるかもしれませんが、長時間デスクワークされる方にもオススメですし、今すぐ誰にでもできる簡単なこの方法。体格によって効果の違いはあるかもしれませんが、一度お試しください。

日下 賢裕

不思議なご縁で彼岸寺の代表を務めています。念仏推しのお坊さんです。