お寺てぬぐいコレクション

みなさんは、タオル派ですか? それともてぬぐい派?

わたしは、近ごろめっきり手ぬぐい派になりました。ふわふわしたタオルも気持ちいいのですが、使いはじめてみると手ぬぐいのキュッとした手触りや肌になじむ風合いがなんとも良いのです。手を拭いた後に、意外とすぐ乾いてくれるのも気に入っています。夏の汗をぬぐうのにこれほど適したものがあるだろうか、とにわかに入れこんでいるわけです。

でも、困ったことに雑貨屋さんなどに置いてあるオシャレ手ぬぐいはけっこういいお値段。1色刷りでも840円、フルカラーなら1200円くらいしちゃいます。とはいえ、ふだん使い向けに売られている”日本手ぬぐい”は、レトロを通り越してしまったものもあって、なかなかほど良くふだん使いしたくなるようなデザインでリーズナブルな手ぬぐいが見つからないのです。

ところが先日、衣替えのついでに引き出しの整理をしていたら、お寺にお参りした記念に買ったり、あるいはインタビューに伺ったお寺でお土産にいただいた 「お寺てぬぐい」がどさっと出てきたのです。お寺で頂いたものって、なんだか「ありがたくももったいない」気がして使わずにいたのですが、箪笥の肥やしに するよりはとおろして使うことにしました。

実は、お寺手ぬぐいにはデザインよし、値段良し(300〜600円)の逸品が多いです。古くから受け継がれてきた意匠が今見るとすごくキュートな『絵心経』てぬぐいは、白川密成さんの栄福寺で(たしか400円くらい)。格子柄がモダンな今風の手ぬぐいは、互井観章さんの 経王寺でいただきました。経王寺の手ぬぐいは、手ぬぐいファンにひそかに知られる名デザインで、他にもすてきなものがあります。写真中央の「おかめさん」 がたくさん描かれているのは、おかめ寺こと京都・千本釈迦堂のおかめ百福手ぬぐいです。これは、可愛くてひとめぼれで買ってしまいました。

日 常の暮らしの中にさりげなく仏教アイテムを取り入れる方法としても、お寺手ぬぐいはナイスポジション。今度、お寺にお参りしたら、ぜひお寺アイテムのなか に名手ぬぐいがひそんでいないかチェックしてみてください。四国八十八か所のお寺は特にお寺手ぬぐいの宝庫なのだそう。お遍路さんの必須アイテムとして需要が高いせいもあるのかもしれませんね。

きっと、日本全国のお寺にはたくさんの名・お寺手ぬぐいがあるはず。彼岸寺で手ぬぐい特集ができたらいいかも! なんてたくらんでいるので、良きお寺手ぬぐいをご存じの方はぜひ教えてくださいね(写真・お寺情報・値段もあるとうれしいです)。

お坊さん、地域で生きる人、職人さん、企業経営者、研究者など、人の話をありのままに聴くインタビューに取り組むライター。彼岸寺には2009年に参加。お坊さんインタビュー連載「坊主めくり」(2009~2014)他、いろんな記事を書きました。あたらしい言葉で仏教を語る場を開きたいと願い、彼岸寺のリニューアルに参加。著書に『京大的文化事典 自由とカオスの生態系』(フィルムアート社)がある。