生椎茸のシンプル焼き

大きくて肉厚で傘が広がっていない生椎茸を見ると、どうしてもこの食べ方をしたくなります。 実はこの料理、私にとって大変思い出深い料理なのです。 永平寺修行時代、大庫院に配属されていた頃のある日、宮崎奕保禅師(永平寺の現住職<2008年01月05日 御遷化されました>)の食事を作る役にあたりました。 100歳を超えるご高齢にも関わらず、講演などで全国を飛び回られ、それ故に永平寺に居ることの少ない禅師様に自作の料理を食べて頂くチャンスは滅多に回って来ません。 そこで、素材自体の味を損なわず、ご高齢であることを考慮して柔らかいものを、と考えて作り出したのがこの料理です。
簡単に作ることが出来ますので、皆さんも是非味わってみてください。

【 レシピ 】 <2人分>
・生椎茸(日本産で肉厚なもの)…2個
・大根…少々
・大葉…1枚

・塩…少々
・酒…少々

<合わせ調味料>
・薄口醤油…小さじ1
・みりん…小さじ1

【 作り方 】 出来上がりTIME 20分
(1) 生椎茸は軽く洗った後、石づきを切り離し、みじん切りにする。

(2) フライパンにアルミホイルを引き、傘を下にした生椎茸と石づきのみじん切りを置く。 生椎茸の傘の中に塩と酒を入れ、フライパンにフタをして弱火で10分程度蒸し焼きにする。 (途中で椎茸の香りが立って来ます。 香りが立って3分程度で火を切ります。)

(3) 大根をおろし、水分を切ったところに大葉のみじん切りと焼いた石づきのみじん切りを加え、混ぜ合わせる。

(4) 椎茸の傘にたまった汁がこぼれないように皿に盛りつけ、傘の中に<合わせ調味料>を入れ、その上に(3)を盛って出来上がり。

作り方のポイント
・ 料理でお酒を使う場合、私は料理酒ではなく、安価な日本酒を使用しています。 その方がより美味しく仕上がります。
・ 椎茸を網焼きする方法もあります。 火加減が難しく、焦がしやすいので、あまりお勧めしませんが、うまくいくと香ばしさがプラスされます。
・ 大根おろしに合わせ調味料をかけると彩りが悪くなるので、手順の(4)に従ってください。

ひとこと
捨ててしまう人も多い椎茸の石づきですが、今回は一緒に焼くことで大根おろしに食感と風味を加えることが出来ました。 食材を使い切り、無駄に捨てないという精神で作るのが、精進料理の心です。

 

吉村 昇洋

1977年3月生まれ。広島市街にある曹洞宗八屋山普門寺副住職。 相愛大学非常勤講師。 駒澤大学大学院にて仏教学修士を取得後、仏教を学問する世界から飛び出して実践の場を求め、曹洞宗大本山永平寺にて2年2ヶ月間の修行生活を送る。その後、広島国際大学大学院にて臨床心理修士を取得し、現在臨床心理士としても活動している。 彼岸寺では、2005年より【禅僧の台所 〜オトナの精進料理〜】を展開する。 現在、精進料理のみならず、禅仏教や臨床心理学、仏教マンガに関しても積極的に執筆や講演の活動を行っている。